モデラーな日々 とれいんスタッフブログ

月刊とれいんスタッフの,模型と格闘していたりしていなかったりする日々をお送りします.

トップページ > >
////隠す用
自社広報

   

このところ,各地で模型製作向きの小編成車輛が続々誕生している.本誌でも上信電鉄7000系JR東日本のハイブリッド車EV-E301系をMODELERS FILEで詳しく紹介したが,富士急行にも,新しい“フジサン特急”として3輛編成の電車が落成し,一昨日の午後,お披露目会が催された.
 これは元小田急RSEこと20000形で,“あさぎり”がMSEこと60000形に置き替えられた結果,2編成のうち1編成を富士急行に譲渡したものである.
  富士急行の“フジサン特急”は,元JR東日本の“パノラマエクスプレスアルプス”が2編成あったのだが,そのうちの1編成を,この元小田急の電車に置き替 えたわけである.RSEも2編成なので,両方とも一新されるのかと思っていたのだけれど,実際には第2編成が1本だけの譲渡で,第1編成は小田急で保存さ れた.
 だから,“フジサン特急”は,当分の間,2種類の編成が併存することになる.趣味的にはとっても楽しいことではあるのだが.
 構造的な部分の改造は日本車両で行ない,外部塗装仕上げと内装は富士急行技術センターで施工している.

MT-20140710-01
これまでの“フジサン特急”と新しい“フジサン特急”の顔合わせ…といっても,置き替えられるわけではないから,もっとまともな出会い風景を,これからも楽しむことができる.

さ て,本来の7輛編成のうち,どの部分を使って3輛にしたのかといえば,まずは両先頭車.幸い両方とも電動車だったから,それほど手間は掛らない.問題は中 間車.本来なら2階建車を使えばセールスポイントになったのだろうが,片側の貫通路の高さが通常の平屋の車とは異なるのだから,それを揃えるだけでも大改 造.ということで,パンタグラフ付きの付随車が選ばれた.小田急の形式ではサハ20050形である.
 この3輛を使って,富士山方から大月及び河口湖に向かってクモロ8001+サロ8101+クモロ8051という編成を仕立てた.
  まずクモロ8001は,運転室直後を展望スペースとし,さらに隣接の客室は腰掛けの配置を1/2人として“ゆったり感”を演出している.この1人掛け腰掛 けはRSEの2階建車から階下の普通車用を活用したものである.その後ろには4名分二組のセミコンパートメントを設けている.定員は60名(内座席45 名).
 2輛目のサロ8100は,大月・河口湖方約1/3の高床を撤去して側扉からステップレスで出入りすることができるように改造された.富士 山に向かって左側には向い合わせ3名分の座席を設置,通路の反対側には車椅子スペースを設けている.腰かけ側の側窓は下辺を下げて窓面積を拡大する改造を 実施している.そして,この下げた床部分にあった空調装置の代わりに,2階建車用の空調装置を屋根上のパンタグラフがあった位置に新設した.定員は72名 (内座席55名).
 3輛目のクモロ8051は,小田急時代の面影をもっとも色濃く残している.定員73名(内座席60名).

パンタグラフは富士急仕様のFPS33Fに取り替え.床下では抑速ブレーキ用として抵抗器を増設したのが目を惹く.
 車体外部色は先代2000系のイメージを踏襲したイラスト.なお車体側面に車号表記はなく,妻板にひっそりと記されている.

MT-20140710-02
富士山方から見た編成.手前が展望スペースを持つクモロ8001.2輛目はモロ8101,3輛目がクモロ8051.空気圧縮機と補助電源装置(SIV)は8001と8101に,パンタグラフは両先頭車に搭載.

MT-20140710-03
展望席.ブルーリボン賞のプレートは健在.仕切り窓右手に模擬運転台が見える.

MT-20140710-04
展望席の反対側.指定席とセミコンパートメント.1人掛けの腰掛けは種車の2階建車階下席からの転用.2階建車は解体されたものの,このほかにも空調装置など活用されている部分は少なくない.

MT-20140710-05
8101の大月・河口湖方は床が下げられて車椅子スペースの向かいに3名分の腰掛けが設けられた.側扉も新設で,この部分のみ引戸.側窓は腰掛側だけ下辺が下げられた.構造的にもっとも大きく手が入れられた部分である.

この8000系“フジサン特急”は,明後日12日に出発式を行ない,営業運転が始まる.その後は平日2往復,土休日に4往復の運転が予定されているが,7月26日以降はN'EXことE259系の乗り入れが始まるので3往復となる.

公開当日は天候が心配されたが,幸いにして晴れたり曇ったりの撮影日和.技術センター(車庫及び工場)と駅の間を2往復もさせ,できるだけ編成を綺麗に撮れるよう配慮してくださるなど大サービスだった.ありがたいことである.

////隠す用
自社広報

   

時系列がちょっと前後するが,6月22日にJR西日本の白山総合車両所が公開された.
 来年開業する北陸新幹線の,JR西日本における車輛基地として,まったく新規に建設された車庫である.
 位置は長野と敦賀の中間よりもやや敦賀寄り.石川県白山市内.駅間でいえば金沢と小松の間ということになる.ということは,来春に開業する区間の先ということで,かつての山陽新幹線博多や長野新幹線長野と,同じようなパターンであるわけだ.

MT-20140703-01
上から見た群線.着発線は全部で9本.いずれも12両編成に対応した長さを確保している.注目すべきは,群線の脇(画面右端の受電設備のさらに奥)に“総合 試験車庫”が存在すること.JR東日本からの借り入れではなく,独自の検測車編成を導入するということではないかと思う.写真4点:来住憲司

MT-20140703-02
検修庫を見る一般見学者.画面右から,2本の交番検査線,1本の始業検査線,1本の“融雪線”が用意される.

MT-20140703-03
検修庫に隣接して工場設備がある.台車検修場と車体検修場,塗装職場が設けられている.写真は台車と車体を分離するジャッキが設けられた台車振替線.W7系が留置されているのは全検整備線.工場スペースは画面外右側に位置する.

MT-20140703-04
この日は,編成を組んだW7系電車も公開された.ただし,判っていたこととはいえ,ほんとうにE7系とうりふたつ.車体側面のロゴマークに添えられた文字が“EAST”から“WEST”に変っていることと,形式標記の数字ぐらいしか,違いを見つけることはできない.

8月からは本線での本格的な試運転が始まるから,在来線列車の車窓からも,運がよければW7系を見ることができるだろう.
 新幹線の開業とともに,並行区間の北陸本線は,石川,富山,新潟の3県のエリアに3分割される.その行く末は…….

※2014.07.05:1枚目写真の説明を修正
////隠す用
自社広報

   

いろいろ立て込んで,ちょっと間が開いてしまった.そのお詫びというわけでもないが,今回は最新情報として,昨日午前中に報道公開されたばかりの,JR東日本のE3系新幹線電車改造“足湯”電車“とれいゆ”をご紹介しよう.新幹線車輛を使った最初のリゾート列車である.
 この“とれいゆ”,“とれいん”(本誌“とれいん”と同じひらがな表記で,一文字しか違わないという,ちょっと紛らわしい命名ではあるが)と“ゆ(=湯”)を合成した愛称で,“列車でお湯”という趣向.

MT-20140701-01
配置区所である山形車両センターで公開されたE3系700番代“とれいゆ”.編成番号は改造前と同じR18.先頭は最上川のブルー,側面の緑濃淡は月山などの美しい山々の姿と色,白は蔵王のすがすがしさを表現したという

形式と車号は,東京方からE321-701+E326-701+E329-701+E328-701+E325-701+E322-701.営業上の号車は,東京方から11号車…16号車.
 11号車は元のグリーン車で,床材や日除けカーテンを新調した他は,種車の面影を強く残している.定員は23名.
 12~14号車は,畳張りの腰掛けを設けた座席車.2/2人掛けから1/2人掛けに変更されたので,“ゆったり感”はたっぷり.定員は順に42,36,42名.
 15号車は湯上がりラウンジとバーカウンター.定員には算入されない.
 16号車が注目の“足湯”車.客室内前後に,定員5名程度とされる浴槽がひとつずつ設けられ,その間にソファベンチを設けている.連結面川車端には更衣室も設備.15号車とともに床には人造石材を使っている.
 種車はE3系0番代の第18編成.E326~E322の5輛は川崎重工で内装を中心とした改造を担当,E321(元のE311)の内装と,全6輛の外部塗装は仙台の新幹線総合車両所で担当している.ただし,デッキの銘板はE321を含め,全部が川崎重工となっている.

MT-20140701-02
注目の“足湯”車は16号車E322-701.室内前後に2組の浴槽を,中央にソファベンチを設けている.最急38パーミルの勾配線上で,ちょっと傾きながら寛いで眺める板谷峠は,どんな印象だろうか

“足湯”の構成と運用だが,お湯は車輛に水タンクを設けるのではなく,車両基地で補給し,運転中は濾過裝置付きの循環システムを使って,常に新鮮なお湯が供給される.そのお湯が,どこか温泉からの…ではないのが,ちょっと残念なところか.
  走る車輛内でお湯がこぼれないようにするにはどうすればよいのか.なにしろ天下の板谷峠を往来するのだから,その対策は万全.さらに試運転を重ねて,もし かしたら浴槽内に仕切り…タンク車やタンカー,タンクローリーで積み荷が極端に移動しないように設けられている隔壁のようなものを追設するかもしれないと のこと.

MT-20140701-03
15号車E325-701には湯上がりラウンジ(画面手前)とバーカウンター(奥)が設けられている.カウンターでは地酒やワイン,フルーツジュースなどの飲み物や軽食,スイーツなどを販売する.床には16号車と同じ人造石材を使用.

MT-20140701-04
14 号車から12号車は畳敷き腰掛けのお座敷指定席.“語らいの間”と名付けられている.基本の造作は同じだが,背もたれと天井の装飾が,14号車では洋梨 (ラ・フランス),13号車は葡萄,12号車はサクランボとと趣向が凝らされている.写真は12号車E326-701で,背もたれと天井のアクセントは洋 梨.

MT-20140701-05
そして11号車E321-701は普通指定席.グリーン車時代のまま,普通車として使っているので,ゆったり感は満点

さてこの“とれいゆ”.“とれいゆ つばさ” として7月19日から福島と新庄の間で運転される.運転日は主に週末と祝祭日.今のところ,9月28日までの運転が発表されている.福島発が10時2分, 新庄着が12時16分,折り返しの新庄発が14時43分,福島着が17時41分.単独での指定席特急券のほか,“ぴゅう旅行商品”のひとつとして各種の セットも企画されている.楽しみ.
////隠す用
自社広報

   

JR北海道の電車として711系電車が最初に頭に浮かぶのは,もう相当のベテランファンだろう.JR発足後に開発された721系ですらデビューしてから25年以上が経過した.
  その後に登場した731系や733系は,711系の後継車であるとともに,電車の需要拡大に応じた増備車という意味合いも強い.だからこそ,711系も後 期車は今日まで現役として活躍を続けているわけだ.とはいえ,流石に命脈が尽きようとしている.その具体的な姿として去る16日に披露されたのが,733 系3000番代.地元のベテラン,奥野和弘さんに取材をお願いしたので,まずは速報.

711系も721系も,当初は3輛ユニットで企画製造 されたが,721系の途中から6輛固定編成が登場し,札幌都市圏での鉄道輸送需要の旺盛さを感じさせてくれたものである.731系や733系では3輛ユ ニットに戻ったものの,今回の3000番代では再び6輛固定が登場した.
 その理由は,この3000番代が主に使われるのは札幌と新千歳空港を結ぶ快速“エアポート”だから,ともいえる.
  快速“エアポート”といえば,全国でも数少ない“普通列車の指定席車”の需要が旺盛であることでも知られる.自由席車の混雑率が高く,大きな数多い荷物を 持った飛行機からの,飛行機への乗客が安心して乗りたいという要望に応えるため,というのが,主な存在理由といえるだろう.
 ということで,“uシート”と名付けられた指定席車は存続する一方で,自由席車はロングシートとなった.もとより,731系以降の電車はロングシート車だから,なんら不思議はない,ともいえるが.

MT-20140619-01
旭川及び苫小牧向き先頭車であるクハ733-3101を先頭としたB3101編成.モハ733-3101+サハ733-3101+サハ733-3201+モ ハ733-3201+クハ733-3201と続く.サハ733-3201以降の3輛はB3201編成とされている.札幌運転所 平成 26/2014-6-16 写真全部:奥野和弘

車体はステンレス鋼製.側扉は片開き式で片側3枚.“uシート”車であるサハ733-3201~の2枚の扉以外は戸袋窓はない.側窓は扉間2枚の固定式.ガラスの内側に日除けのための細い柱がある.
 ざっと眺めて気がつくのは,極寒地の電車に欠かせない装備といわれてきた“雪切室”のルーバーが姿を消していること.これは,主電動機を全閉式とした結果である.雪切室がなくなったことで,客室スペースが拡大している.

MT-20140619-02
“uシート”車サハ733-3201~.窓下の帯が濃い青であるのが自由席車との識別点.側扉の2枚戸袋窓があるのも他の車輛とは違う点

MT-20140619-03
“uシート”車の客室.回転クロスシートを備える.車端部には車掌室と業務用室を設備.

MT-20140619-04
自由席車はロングシート.吊り手と腰掛け表地がオレンジの部分が優先席.照明にはLEDを採用.“uシート”車と共通の直管式.

トイレはクハ733-3101~に通常サイズの,サハ733-3101~に車椅子対応サイズのものを設備している.サハ733-3101とクハ733-3201~には車椅子スペースを設けている.

運転室は733系1~と基本的に同一の機器配置で,左手操作式ワンハンドルのマスコン・ブレーキが採用されている.
 編成重量は218.4t,編成定員は821名と発表されている.

今年秋までに5編成30輛が投入されることになっており,これによって,これまで快速“エアポート”で使われていた721系が一般運用に転じ,その結果として711系が完全に引退する予定である.

////隠す用
自社広報

   
とれいん2014年7月号
【今月のオススメ記事】
京阪電車の京阪三条と浜大津,そして石山寺と坂本を結ぶ線区を総称して大津線と呼ぶことがあります.この大津線で20世紀末に新時代を築いた500,600,700形の3系列を,徹底的に観察してみました.連載第1回は,登場順に500形.意外に記録されていないその姿を,堪能していただきます.
 もう1本のMODELERS FILEは,名鉄6750系2次車の補遺です.新年号(本誌2014年1月号No.469)で紹介できなかった部分をフォローしています.
 Products Data fileは大阪の老舗,ツカサ模型店の渾身の作,京都市電2600形です.クラフトマンシップの塊りともいえるこの製品を徹底紹介です.
 模型では,カラフルな私有コンテナを自作し,牽引機も製品を加工して現代の貨物列車を再現した作品が注目です.
 静岡のグランシップ トレインフェスタと静岡ホビーショーレポートもお楽しみください.
 型紙は久々登場の型紙工務店から,富山地鉄西魚津風の駅本屋です.


【目次】
MODELERS FILE----------------------------
  6 京阪大津線の高性能小型電車 第1回 500形
    本文・写真(特記以外):新宮 琢哉/協力・図面提供:京阪電気鉄道
 24 名鉄6750系2次車(補遺)
    客室・運転席・簡易運転台を観察する
    写真:松本 まさとし/協力:名古屋鉄道
-----------------------------------------
3・44 企業コンテナが彩る最新の貨物列車
    機関車の加工とコンテナの自作で,製品にない列車を仕立てる
                           松下 友紀
  4 Products Data file
    ツカサ模型店製 京都市電2600形(16番)
 32 型紙工務店
    第4回:地方私鉄の駅舎II その1
    設計・解説・型紙大工:松井 大和
 36 名鉄旧型車を作る
    その2 HL車・SR車            大島 仁知
 66 「和」のジオラマ
    和は“和み”であり,昭和の“和”である   森田 博路
 72 蕗狩通信 
    第26回ミニカー改造のレールカーたち(HOn30)   北村 昌三
 76 グランシップ トレインフェスタ2014
 84 第53回 静岡ホビーショーから
155 型紙工務店 型紙 西魚津風駅本屋       作図:松井 大和
-----------------------------------------
 26 国鉄時代の私有コンテナ /吉岡 心平
    第36回 UV1形通風コンテナの解説(2)
 30 Coffee Cup /前里 孝
    南西ドイツ 黒い森へのいざない
 42 線路は続くよいつまでも /信沢 あつし
    第47回 ポイントもある15.5インチゲージの線路
    八百津のヤマコノ醤油味噌 平醸造
 50 Model Makeup of EF58 58のstory /めだか帝国鉄道 S.I.
    EF58 61,EF58 60,EF58 172(3輛のお召本務機)
 54 おとなの工作談義
       /嶽部 昌治・武本 典幸・杉本 憲一・岡田 宣昭・本間 篤
    つくるを知れば模型は3倍楽しくなる
    第42回 魅惑のフルインテリア
 58 EVOシリーズ103系を組んで“進化”しよう!
    連載第10回:EVOシリーズ・国鉄(JR)103系の製作(7)
    解説:牛久保孝一/協力:グリーンマックス
 62 N GAUGE EURO REMIX /解説:橋本 孔明
    第7回 自作エッチング板を用いたオリジナル車輛の製作
    コラム:客車の形式記号・車番表記の読み方
 74 モデリング・リサーチ・センター /解説:P.S
    第31回 純色塗料
 90 輝け!日本の運転会
 91 新車登場
114 E.NUKINAのB級コレクター道 /貫名 英一
    第36回:天賞堂の電車(その2)
115 子連れ鉄日記 /写真・文:山本 晃司
    第2回:初めてのおでかけ
116 伝言板
140 いちぶんのいち情報室
146 BOOKS
147 甲種・特大 運行計画
148 各種募集のご案内
149 G線上のマリア 第48回:回想 /荻野目かおる
    モデラーな日々 とれいん出張所
150 新車登場INDEX
152 月刊とれいんバックナンバーのご案内・とれいんスケール呼称早見表
153 Combo Caboose・掲載広告索引

2014年6月21日(土)発売  定価:本体1,435円+税

バックナンバーの内容はこちらからどうぞ

eshumi-kounyu

↑このページのトップヘ