関東地方の方は既にTVニュースでご覧になった方もおられるかもしれないが,今日の午後,西武鉄道(2月23日以降はこちら)40000系電車のお披露目が小手指の車両基地で催された.
 この電車については,既に試運転風景列車愛称が“S-TRAIN”であることとその運用について,このブログでご紹介しているが,ようやく間近に触れることができたわけで,エキストラで速報をお届けする次第.
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池袋方からみた40000系第2編成.この電車の最大の特徴を表現するには,やはり通勤電車としては破格の大きさを持つ側窓がある,こちら側の先頭車をお目にかけねばなるまい.行先・列車種別表示のフルカラーLEDは,残念ながら1/200秒以上のシャッター速度では文字が切れてしまう.


その池袋方先頭車の形式は40001で10号車となる.編成は所沢方から下記のとおり.
40100(TC1)+40200(M1)+40300(M2)+40400(T1)+40500(M3)+40600(T2)+40700(T3)+40800(M5)+40900(M6)+40000(TC2).
 パンタグラフは40200,40500,40800の,それぞれ飯能方に東洋電機製造製のシングルアームタイプを搭載.主制御装置は40200,40500,40800の2位側(飯能に向かって左側)の床下に取り付けている.配布された資料にはIGBT式VVVFインバータ制御,PMSMベクトル方式と記されている.ちなみに東芝製.
40200と40800の主制御装置は2輛の電動車の8基の主電動機を制御する.40500は自車の4基の主電動機を制御するタイプ.従って,ほかの2輛とは大きさが異なる.このあたりは30000系10輛編成と同じ考え方である.
 台車は新日鐵住金製のモノリンク式ボルスタレス台車.形式は電動車がSS185M,付随車がSS185T.
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40200の主制御装置.製造所は東芝である.40500の主制御装置は自車の主電動機を制御するだけなので,大きさは約半分である.


 東芝といえば,主電動機は東芝の永久磁石同期電動機で,定格出力は190kW.
 三菱電機製の補助電源装置は3レベルIGBT(ハイブリッドSiC)インバータ方式.やはり三菱電機製の電動空気圧縮機とともに,40200と40500の2位側に搭載.

ここで気付くのは,西武鉄道が長年パートナーとしてきた日立製作所の名前がないこと.車体も川崎重工製だし.他の鉄道でも見受けられることとはいえ,なんだか感慨ひとしお…….

客室で最大の特徴は,いわゆるロング・クロス転換式の腰掛け.近鉄に始まり,東武鉄道に波及し,そして西武鉄道にもやってきたわけである.システムは同じながら,腰掛けの形はそれぞれの電車で異なっている.当たり前のことではあるが.
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クロスシート状態.先日は折り返し駅でも操作…と記したが,実はまだ最終的な決定に至っていないそうである.

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ロングシートとクロスシートの切り替え操作途中.西武電車で,というのはやはり新鮮.

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そしてロングシート状態.写真では肘掛けがおりているので,ロンドン地下鉄や,鉄道院時代の優等客車を思い起こさせる風景だが,もちろん跳ね上げることは可能.
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天井を見上げれば,枕木方向に取り付けられたデジタルサイネージ“Smileビジョン”が目を惹く.折りしも,実物のデビューとほぼ同時に発売される予定の,KATO製と思しき模型電車が画面の中で元気よく走り回っていた


そしてもうひとつのハイライトは,池袋方先頭車の“パートナーゾーン”.特大の側窓と,窓の外側に向かって軽く座ることができる腰掛けが特徴.運転室との仕切の窓も大きく,前面展望も楽しむことができる.
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パートナーゾーンの全景.側窓には日除けがないので着色ガラスを使っている.今回の2編成では2位側が1位側より色が濃い.次回増備分からは2位側の濃さが採用されることになっているという.


室内照明がLEDであるのは,今や当たり前になったけれど,その形状や配置にも工夫が凝らされている.また,各車の妻板にはシャープ製の空気清浄器“プラズマクラスター”が取り付けられている.40400の池袋方には大型車椅子対応のトイレがある.各側扉の内外には半自動扱いスイッチが設けられている……と,記しはじめると,とんでもない長さのブログになってしまう.お楽しみは,MODELERS FILEで,ということで,今回最後の画像は,運転室.
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左手操作式ワンハンドルのマスコン・ブレーキ.30000系を基本としているが,貫通扉を設けているため,機器配置も見た目も異なっている.