昨年夏の東京地下鉄13000系に続いて,東武鉄道の地下鉄日比谷線乗り入用電車70000系が,北春日部駅に隣接の南栗橋車両管区春日部支所で披露された.

この電車は,東武鉄道と東京地下鉄が,日比谷線の抜本的な輸送改善を目的として共同開発したもので,従来の18m車8輛編成を20m車7輛編成に変更するという,画期的な企画なのである.

画期的なのはそれだけではなく,近畿車輛への車輛発注ということも,東武鉄道にとっては,恐らくは同社始まって以来,初めてのことだと思われる.
 先日の西武鉄道40000系川崎重工製であったことといい,このところ,各鉄道会社では,従来の永年にわたるメーカーとの関係を見直す動きが急で,古い頭の中はいささか混乱を来していたりする……もっとも30年以上前に,西武鉄道が東急車輛(現在の総合車両製作所横浜事業所)で101系を作らせた時には,鉄道の趣味界のみならず,社会的にも大きな話題となったわけだが.
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報道関係へのお披露目では,東京地下鉄13000系と並べての撮影も行なわれた.大枠は共同設計ということなので,外観的に異なっているのは,カラーデザインと正面の造形.


編成は7輛編成で全電動車.もっとも各台車のうち車端側の1軸だけが動軸という,いわゆる0.5M方式.中央寄りは付随軸であるわけだが,これは自己操舵システムを導入した結果でもある.台車は新日鐵住金のSC107.東武部内の形式はTRS-17M.東京地下鉄13000系はSC103だったから,どこかが異なるわけだけれど,どう違っているのかは,今日は解明できなかった.
 主制御装置はIGBT素子を使った2レベル方式で1C1M制御の三菱電機製MAP-214-15V284A.13000系はMAP-214-284.補助電源装置も三菱電機製でハイブリッドSiC素子使用のNC-GAT185Bで13000系はNC-GAT185A.どちらも,どこか変更されているはずだが,外箱からは判然としない.
 両先頭車の山側床下に取り付けられている電動空気圧縮機は,1月末に公開された500系と同じナブテスコ製のRR8.13000系は三菱電機製だったから,これは東武独自ということになる.
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南栗橋方先頭車77701の台車.車端側が動軸で中央側が付随軸.動軸の車輪は普通の板輪心で付随軸は波打ち輪心.軸箱支持装置はモノリンクだが付随軸側は舵取り装置のため形状構造が動軸側と異なっている.


さて室内.ここは個性を発揮できる部分であり,実際,腰掛け表地の色や柄,天井の見附,照明などが13000系とは大きく異なっている.荷物棚の棚板がガラス製であることは同じであるものの13000系の切り子模様に対して普通の透明であり,独特の照明もない.室内燈は,一見するとカバー付蛍光燈のようだが,実際には東芝ライテック製のLED.10000系の更新車などに使われているものと同じである.
 貫通路のガラスには,乗客が衝突するのを防止するために模様が入れられているが,スカイツリー,千住大橋,東武動物公園,草加松原,桜並木,藤と大凧,東武動物公園と,1輛ごとに異なるデザインとなっている.
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袖仕切りにガラスを使うのは,近年の流行?この電車では枠の金属部分が目新しいデザイン.側扉上の液晶モニターは,東武電車としてははじめての3画面となった.車椅子スペース(正式にはフリースペースというのだそうだ)は全車輛に設置.


運転室は東武と東京地下鉄と,双方の乗務員が使うことから,出来る限り13000系と同じとしている.他の相互乗り入れ路線でも同じことではあるが.
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主要メーター類は液晶による表示.ハンドルはT字形両手操作式.

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お披露目に登場したのは第1編成.その編成全体を浅草・中目黒方山側から見る.先頭は7号車で71701.パンタグラフは6号車72701の浅草・中目黒方,4号車74701の両端に2基,2号車76701の浅草・中目黒方に搭載.


1枚目の写真でお判りのとおり,本来のセッティングでは架線柱のビームの影が先頭部の,いわゆるほっぺたに相当する部分に掛かっていた.時間の経過とともに改善するかと思ったのだが,無理だった.でも,せっかくの新車を,少しでも美しく撮影したいという僕の気持ちを,広報の方が汲み取ってくださり,特段の,例外的な計らいによって撮影時間終了間際,少し前に出していただけることになった.お蔭で撮影できたのが,お目にかける写真というわけ.心から感謝である.