猪井貴志さんは,真島満秀さんとともに昭和50年代前半から国鉄の広報写真を手がけたフォトグラファーである.このブログでは平成25/2013年12月に上野御徒町で開催された写真展“鉄道日和”をご紹介している.
 6月22日から,東京品川のキヤノンギャラリーSで開催されている今回の写真展,テーマは“鉄景漁師”.案内のハガキには
“最高の瞬間が撮れるまで、何日も何日も待つ。待つことも、これがまたいいのです。”
とある.“待つこと”が漁師に繋がるということなのだろうか…….
 いろんなことを考えながら訪れた会場に入る前,通路に面した壁面に飾られた,スリットカメラで撮られた列車編成写真が目に入る.
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最上段の“四季島”から最下段の371系“あさぎり”まで16段.同じ段に2列車並んでいるところもあるから全部で20種以上の列車が出迎えてくれる.

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会場に入ると一転して抽象絵画的な作品が並ぶ.そして正面にタイトルの“鉄景漁師”が.


“鉄景漁師”の文字の横にはサブタイトル?“撮って 飲んで 追いかけて”.撮るのはもちろん写真,飲むのは当然お酒,追いかけるのは鉄道と季節とそれらがからんだ風景,ということなのだろう.
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続いては国鉄時代の車輛と風景.新幹線,それも0系が,思いの外多いのは,広報写真のお仕事が多かった結果だろうか,それとも猪井さんが好きなのだろうか.ちょっと聞きそこねた.

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この一角には比較的最近の作品が並ぶ.真正面の,逆光に浮かび上がる線路の上を歩くネコの写真は,4年前の写真展で“もっともお気に入り”だった.


会場にはプリントで60点の写真が展示されているほか,大型モニターによるスライドショーでも鑑賞するという,ひと味違った演出もある.
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受け付け前でポーズを取る猪井さん.頭上には特製の大漁旗が.


どうかこれからも,ずっと,僕には見つけることができない鉄道情景を発表してください.

会  場:キヤノンギャラリーS
会  期:2017年6月22日[木]~8月8日[火]
     10時~17時30分 日曜祝日休館
入場無料

なお,キヤノンギャラリーではこの夏,全部で4つの鉄道写真展を企画している.
 そのうちのひとつである米屋こうじさんの写真展は残念ながら東京銀座での会期が終わってしまったが,このあと,7月には同じ銀座で諸河 久さんの“モノクロームの国鉄蒸機 形式写真館”が7月20日から1週間.品川のキヤノンオープンギャラリー1・2では7月19日から8月29日まで,JRPS(日本鉄道写真作家協会)の写真展“煙のゆくえ ~今を駆ける蒸気機関車~”と続く.
 なお,米屋さんの写真展は大阪と名古屋を巡回,諸河さんの写真展は名古屋と大阪と福岡を巡回することになっている.詳しくはキヤノンサロンのウェブサイトへ!

※ここに掲載した会場風景は,ブログへの掲載のため事前に許可を得て撮影したものです.