初めてDE10という機関車を見たのはいつどこで,だっただろうか.多分,中学生のころの尼崎駅.その頃,汽車会社の新製機関車の落成試運転が,安治川口から吹田で折り返して福知山線の川西池田だか宝塚だか,あるいは三田あたりまでの区間で行なわれていたらしいから,その途上か帰路だったのだろう.
 そのDE10は,使い勝手がよくて,蒸気機関車を早急に淘汰する必要もあり,発展形の開発を重ねながら大量産されたのは,ここの読者の皆さんならご存じのことと思う.あれから50年以上が過ぎたとは,とても信じられないのだけれど,事実は事実.かつてほどの需要は見込めないにしても,必要不可欠な存在として,後継機の開発が急がれていた.
 平成22/2010年にはJR貨物画期的なハイブリッド機関車HD300が登場,2年後の平成24/2012年から量産が始まって北海道から中国地方までの各地で構内入換に活躍をはじめている.
 しかしこのHD300も万能というわけではなく,自力で本線を走行する場合には最高速度が時速45キロに制限されるほか,航続距離が短いなど,本線での列車牽引には大きな制約があった.
 そこで登場したのが,今回の電気式ディーゼル機関車,DD200というわけである.
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2エンド側となる神戸方から見たDD200-901.外観的にはDE10譲りのセミセンターキャブを踏襲し,さらにHD300での実績を反映させたデザインと構造である.平成29/2017-7-5

昨日,新鶴見機関区で公開されたDD200の第一印象は“大きくなったHD300”.全長は15,900mmで,HD300より1,600mm,DE10より1,750mm長い.
 DE10ではSGが積まれていた2エンド側には補助電源装置と主変換装置が積まれ,1エンド側にはラジエター,エンジン,発電機が搭載されている.
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運転室.DE10やHD300と同様の横向き配置で1エンド,2エンドともに基本的には同じ機器配置となっている.

台車はJR貨物の機関車用としてすっかり標準タイプとなったボルスタレスで,軸箱支持は軸梁式.主電動機は三相交流誘導電動機.
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1エンド側のFDT103台車.軸距は2,300mm.2エンド側は,速度発電機の取り付け位置が異なり,内側に駐車ブレーキを備えたFDT103A.
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キャブ外観.JR貨物のロゴと機関車番号板はともに金属板のエッチング仕上げ.細い縁取りがあるのが目新しい.番号板の下のライトは使用運転台の識別表示燈.

製造所は機械部分が川崎重工,電機部分が三菱電機の担当である.銘板は両社併記.これまでの銘板に比べ,天地寸法が約半分になっている.

これからの予定だが,まずは東京貨物ターミナルの構内で性能確認試験などを実施し,その後,関東近県で本線試運転,今年度後半から年度末までは仙台地区での試験を予定しているとのこと.
 一日も早い量産開始を期待したいものである.

※2017.07.07:一部語句修正