伊豆急行といえば,開業当初からさまざまな面でユニークなメンを持つ鉄道路線として各方面から注目されてきた.
 “リゾート21”と呼ばれる2100系電車もそのひとつ.1985年にその第1編成が姿を見せた時には,鉄道関係者はもちろんのこと,各方面から大いに注目されたものである.最初は100系電車の部品を活用していたが,1988年の第3編成からはすべて新造となり,1990年の第4編成(1990年3月号=通巻183号で紹介)では正面窓を1枚ガラスとするなどの変更があったうえ“ロイヤルボックス”(1991年8月号=通巻200号で紹介)と呼ばれる特別車輛を組み込んだ.そして1993年には車体断面を大きく変更した第5編成“アルファリゾート21”が登場した(1993年8月号=通巻224号で紹介).
 この“リゾート21”編成は,東京駅まで乗り入れる“リゾート踊り子”として運転される一方で,伊豆急線内ではロイヤルボックスを含めて普通列車としての運用もあり,多彩な活躍を続けてきた.
 とれいん本誌でも何度にも亘って誌面上で採り上げてきたから,おなじみの方も多いことと思うが,現在では最初の2編成は引退し,残り3編成も通常時はロイヤルボックスを編成から外しての運転となっているなどの変化があり,塗色も,時に応じて次々と変化して,今ではオリジナル塗装車は見ることができない.
 そんな状況の中で昨年の7月,最新の第5編成を大改造して東海道本線の横浜駅から伊豆急下田までの間で“THE ROYAL EXPRESS”と銘打った列車を走らせるという構想が発表された.しかもその事業主体は東急電鉄であると.
 通常時はクルーズ方式で下田市内の高級宿泊施設と組み合わせた1泊2日の旅が募集される.同時に,横浜と伊豆急下田の間の片道で食事付きの乗車プランも募集される.
 列車では,特別な食事が提供されることになるが,ミニコンサートや結婚式,展示会などにも使うことができるように,インテリアデザインにはざまざまな工夫が施されているというのだ.

現車は昨年10月に改造を担当する東急テクノシステムに入場し,今年の5月11日には伊豆急へ戻った.その後,伊豆高原の車両区で内外の艤装工事を行なっていたのだが,このほどめでたく完成し,去る15日に報道公開が実施された.そこで,早速,その模様を御覧いただくわけだが,なにしろ8輛編成がすべて1輛ずつ異なるインテリアであり,まずは速報として各車1カットずつ,全体の姿をご覧いただく次第.
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伊豆急下田方から見た“THE ROYAL EXPRESS”.全体をロイヤルブルーで装い,ゴールドのストライプを各部にあしらっている.燈具はほぼオリジナルのとおりだがLEDの列車名表示装置は埋められ,窓上に補助燈を新設.車号は以前のままで伊豆急下田から伊東へ向かって2162+2125+2124+2123+2191+2122+2121+2161の順.号車番号は2162が1号車で2161が8号車.そのうち5号車2191が元のロイヤルボックス.走行装置も車体そのものも大きな改造点はない.列車全体のデザインは水戸岡鋭治さんが率いるドーンデザイン研究所が担当している.

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1号車2162.“親子で楽しむ”がテーマ.先頭部はソファ席.連結面寄り明るい色調の親子席.一角には木の玉と戯れることができる“木のプール”を設置.

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2号車2125.ウォールナットを使ったシックな内装が特徴のゴールドクラス車輛.床は寄せ木.両車端にはコーヒーマシンが備えられ,伊東方にはショーケースがある.パンタグラフ付き電動車.

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3号車2124.“マルチカー”と名付けられた車輛で,展覧会や結婚式,会議などに使うようことができるように小さなテーブルと移動可能な椅子が並ぶ.座席番号は振られていない.電動車.

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4号車2123.キッチンカー.2群に分かれた厨房があり,それぞれに配膳口が設けられている.パンタグラフ付き電動車.

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5号車2191.元のロイヤルボックスはプラチナクラス用の座席車となった.客室中央部に置かれたピアノが奏でる音楽とともに車窓風景や食事を楽しむことになる.伊東方にはトイレを設置している.付随車.

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6号車2122.2輛目のプラチナクラス用座席車で,5号車のウォールナットに対してこちらはペアウッドによる明るい色調の仕上げ.やはりピアノが置かれている.この“THE ROYAL EXPRESS”のテーマは,“ななつ星”などで活躍中であり,写真中央でヴァイオリンを演奏中の大迫淳英さんが担当.サービスクルーの左にみえるのがにぎり寿司コーナー.右端が厨房.パンタグラフ付き電動車.
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7号車2121.3輛目のプラチナクラス用座席車はチーク仕上げ.5号車と似たレイアウトで,セミコンパートメントが伊東方にあるのと,ピアノが設置されていないのが違い.写真は伊豆急下田方から伊東方を見た客室全景.

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8号車2161.伊東方先頭車.4輛目のプラチナクラス車輛.伊東方客室内に,このクラスの乗客のためのライブラリーを備える.床は細かい柄の寄せ木.

と,いうことで大急ぎで編成を一巡してみた.営業運転開始は7月21日,横浜駅発の列車で予定されている.
 ちなみに料金は,クルーズプランが一人あたり140,000~200,000円.食事付乗車プランのプラチナクラスが一人あたり35,000円.ゴールドクラスが25,000円.大人と小学生未満の子供がセットのゴールドクラス・ファミリーシートが40,000円となっている.問い合わせと申し込みはTHE ROYAL EXPRESS公式サイトまで.

※2017.07.21:一部語句修正