京王電鉄の5000系といえば,僕の年代ならば,まぁるい顔でアイボリーの派手やかな装いを纏った,あの電車の記憶が頭に焼き付いている人が多いだろう.
 当時はしかし,“あの電車の側窓,外ばめのユニットサッシだから…”ということで好まれない方も,中にはおられた.けれど,京阪電車が大好きな僕には,なんとなく2000系以降の新系列電車と相通ずる表情が大好きで,ユニットサッシだって,153系が好きだった僕には,なんら問題となる点ではなかった.なによりあの,パノラミックウィンドウが,とてもかっこよく見えたのだった.だから,後に京阪3000系がこの5000系と似た正面窓で登場した時には,とても嬉しく思ったものである.
 そんな5000系が京王線から姿を消してから,早くも20年が経とうとしているこの夏,二代目の5000系が,6月末に総合車両製作所横浜事業所から搬入され,7月19日に報道関係者向けのお披露目が実施された.
 この二代目…新5000系電車,ロングシートとクロスシートの転換式デュアルシートを備えて京王線初の座席指定列車として使われることが,昨年の秋に発表されているわけだが,どんな仕上がりなのか,まずは第一報.
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京王八王子・橋本方から見た第1編成.この新5000系の車体は,外板に継目がなく,雨樋も屋根との間に収められた,すっきりした仕上がりが特徴.そこに京王レッドと京王ブルーのラインをあしらい,正面窓周辺はブラックアウトして表情を引き締めている.正面のフルカラーLEDによる列車種別・行先表示装置は1/250秒程度までなら文字欠けなく撮影可能.


現時点で判明しているのは,20m級4扉でステンレス鋼製.車体は総合車両製作所のsustina工法を採用して側面には継目がなく,雨樋も内側に組み込み.
 編成は10輛固定.前面はFRP製で非常口付き.
 6M4Tで主制御装置は日立製作所製のIGBT,SiCハイブリッド方式.形式はVFI-HR2820W.
 第1編成の車号は,新宿方からクハ5731(Tc1)+デハ5031(M1)+デハ5081(M2)+サハ5531(T1)+デハ5131(M1')+デハ5181形(M2')+サハ5581(T2)+デハ5231(M1")+デハ5281(M2")+クハ5781(Tc2).
 台車は総合車両製作所製のボルスタレスで軸箱支持は軸梁式.軸ダンパの取り付け準備工事が施されている

なによりの特徴は客室.既に近鉄の5800・5820系や東武の50090,西武の40000系などに採用されているとはいうものの.京王電鉄では初採用のデュアルシート.
 今のところ,平日及び土休日の夕・夜間時間帯の新宿発京王八王子及び橋本行きで座席指定列車が設定されることになっている.それ以外の時間帯にはロングシートで京王線内での一般列車に充当するとのこと.
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クロスシート状態の客室.車端部はロングシート固定だが,席番号は振られている.ロングシートを含むすべての座席に100Vの電源コンセントを装備しており,座席指定列車で使用可能.天井には液晶による情報商事装置が取り付けられ,そのキセの中には防犯カメラが備えられている.枕木方向の吊り手用パイプは側面衝突に備えたロールバー取り付けている.

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ロングシート状態.側窓には巻上式の日除けカーテンを備える.

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運転室.運転席前面には3面の液晶モニターが設けられている.左端の1面には速度計と圧力計,電流計など,中央の1面には編成内の各種情報,右の1面には保安装置の状況や列車種別類が表示される.ブレーキ・マスコンハンドルは両手操作式のT字形.

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5号車デハ5581の北側床下に取り付けられた主回路蓄電池箱.回生率の向上とともに,停電時などに自力で最寄り駅などまで走行できるようにするのを目的として装備された.同じものが二組セットとなっている.赤い色で存在を主張している.
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付随台車TS-1018C.写真はサハ5581の京王八王子・橋本方.外観的には電動台車TS-107Cも同形.側梁端には軸ダンパを追加取りつけできるように準備工事が施されている.

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新宿方先頭車の非常扉を開いたところ.当面,都営地下鉄新宿線に乗りいれる計画はなさそうだが,寸法や保安装置などは乗り入れ規準に準拠しており,この非常扉もそのうちのひとつ.


座席指定列車は来年春からと発表されている.運転されるのは,平日及び土休日の夜間帰宅時間帯に新宿発の京王八王子行と橋本行.
 それに先駆けて,今年9月29日には,ロングシートでの営業運転が始まることになっている.一日も早く,本線での走りっぷりや乗り心地を堪能したいものである.