JR東日本の中央本線を走る特急“あずさ”.昭和41/1966年12月に181系電車によって運転が始まったこの特急,昭和50/1975年には183系化された…この辺りの経緯は“レイルのNo.5に詳しい(残念ながら売り切れ)….
 JR化後は平成5/1993年12月にJR東日本ではじめての振子式電車E351系が登場…本誌平成6/1994年2月号通巻230号の車輛の視点で紹介(残念ながらこの号も売り切れ)…,さらに平成13/2001年には通常構造のE257系がデビュー(本誌の平成13/2001年8月号通巻320号MODELERS FILEで紹介),と変遷を重ねた.
 そして一昨年の夏,次世代の主役たるべく姿を見せたのが,車体傾斜システムを採り入れたE353系電車(本誌平成27/2015年11月号通巻491号MODELERS FILEで紹介).
 その記事では営業運転スタートの時期についてなにも触れていなかったが,つい先日10月26日,ようやく“12月23日の新宿発スーパーあずさ1号と松本発スーパーあずさ4号から営業運転開始”と発表された.10月12日には最初の量産編成が総合車両製作所から松本車両センターへ自力回送されていたので,“間近”という空気は熟成されつつあった.

そして昨日11月22日,新宿-大月及び松本-甲府で報道関係者向けの試乗会が行なわれた.関東甲信のTV各局ではニュースとして放映されたから既にご存じの方もおられるかもしれない.そこで,ここでは車輛面の趣味的なことがらを中心にレポートしてみることにした.

朝9時40分,新宿駅に姿を見せた量産編成.一見したところでは先行編成と変わりない.でも,配布資料によれば,動揺防止制御装置(アクティブサスペンション)を全車輛に設け,その代わりに車輛間ダンパを廃止したとある.そして12輛中の7輛に大型荷物置き場を新設とも記されている.ということは……
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新宿駅10番線に到着の,E353系量産第1編成の基本9輛.先頭は4号車クハE353-2.編成番号は先行編成に続くS102.付属編成はS202.11月7日には量産第2編成となるS103とS203が落成している.


編成は付属がクモハE353+モハE353-1000+クモハE352.基本がクハE353+モハE353-500+モハE352-500+モハE353-2000+サハE353+サロE353+モハE353+モハE352+クハE352.
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ダンパが姿を消して普通の風景となった連結面間.写真は5号車と6号車の間.


荷物置き場が設けられたのはクモハE353,クモハE352,モハE353-500,モハE353-2000,サロE353,モハE353,クハE352.いずれも松本方南側(東海道本線基準では海側)で,サロE353以外はその部分の側窓がなくなっている.
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大型荷物置き場.写真右が松本方.設置された各車は定員が2名ずつ減っている.


サロE353は客室の外側,先行編成では配電盤があったスペースに大型荷物置き場が設けられた.定員は変更なく30名.
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サロE353の松本側通路.画面手右手前から奥へ順に業務用室,洗面所,多目的室,そして大型荷物置き場.多目的室の扉はこの変更に伴って1枚引き戸から2枚引き戸となった.


あれやこれや観察しつつ撮影していたら,列車は折り返しの大月へ到着.僅か7分間の停車で新宿へ向けて発車した.
 ここで技術スタッフから,主な変更などについてうかがうことができた.
 それによれば,12輛中10輛に取り付けていた電動空気圧縮機は,車体傾斜のための空気供給能力に余裕を持たせるために1基増設して11輛とした.客室設備は基本的に先行車からの変更はない.量産先行編成は,荷物置き場設置などのため長野総合車両センターに入場中で,完成次第運用に投入予定とのこと.

そして新宿着.下車後10分間程度停車してから折り返すとのことなので,旧知の取材メンバー何人かと中央本線の“どこか”で捉まえようということになった.降りたのは西荻窪.対向の緩行線電車の動向を気にしつつ待っていたら……
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クハE352-2を先頭にやってきたS102編成を無事に撮影することができた.200ミリレンズではこれで精一杯.ちょっと300ミリ以上のレンズが欲しくなってしまった.

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そして振り返って各車ごとにシャッターを切る.画面左からクハE352-2,11号車モハE352-2,10号車モハE353-2.モハE353の側扉脇,LED式の情報表示装置下にあった半幅の窓がなくなっている.

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9号車サロE353.台車間に電動空気圧縮機の箱が見える.


と,いうことでE353系の今回の取材は無事に終了した.このあと,夕刻まで都内で別の撮影にいそしんで帰宅後に,改めて渡された資料類の入った袋を検分してみたら,卓上カレンダーとともに姿を見せたのが,RailBar(レイルバル)とプリントされたパッケージ.
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ふたを開けてみれば,“おりがらみ”と名付けられた未濾過のワインと“かしのみ”という名前のキウイと柿のドライフルーツ.カップの
E353系ロゴはこの日だけの特製品かもしれない.
 
JR東日本グループが山梨県内のワイナリーと共同で開発したブランドなのだそうだ.スタートは今年1月のこと.テーマは山梨県産のワインと伝統的加工食品.
 140mlの各種ワインと,各ワイナリーが選んだおつまみ,そしてカップがセットで税込み1,400円.今のところ6~10種がラインナップされているようだ.
 車内販売で…と思ったら,そうではなくて,八王子や上野,秋葉原,塩山,甲府の各駅の他,横浜駅隣接のクイーンズ伊勢丹,JR北海道石北本線瑞野駅“東武イーストモール”,東急ハンズの銀座,岡山,広島,博多,熊本,大分,長崎,鹿児島の各店で取り扱い,ということは,なんと,“全国展開”!

で,感想はといえば,ワインとおつまみがともに惹きあって渾然一体.くせになりそう.

そうそう,肝心の,12月23日からのE353系充当列車.
新宿発はスーパーあずさ1,11,23,29号
松本発はスーパーあずさ4,18,22,36号

一挙に半数が置き替えとなるようだ.そうなれば気になるのがE351系の行方だが,特殊構造の車輛だけに,転用はなかなか難しそうである.さていかに.
そして奇しくも昨日,唯一残っていた“あずさ”塗装の189系M50編成が年を越した1月20日に富士急行への,そして25日の長野行きツアー列車をもって引退することが,八王子支社から発表された…….


※2017.11.24:一部語句修正