今週はじめ,京急電鉄から1通のリリースが届いた.タイトルは

「京急電鉄に帰って来たデハ230形」復元へ向けて鋭意修繕中!!進捗状況をお知らせします

昨年5月26日付けのここで,総合車両製作所への移送を速報し,とれいんの2018年新年号の中で“保存車輛めぐり”として下から見上げた台枠や,床下機器の裏側までお目にかけた,京浜急行電鉄デハ230形236号のこと.
 新年号の締切時点では,まだ本格的な整備作業に取り掛かっていなかった…実は,搬入から半年後の姿,と銘打っての記事化を,勝手に目論んでいたのだが….
 それからさらに4ヵ月.このリリースによって,その後の工程は急ピッチで進んでいることが明らかになったのである.
 添えられた写真は全部で24枚.これにそれぞれの解説を付ければ,優に8頁分ぐらいの記事になる.しかし残念なことに,その時点では既に今月発売号の頁割は,がっちりと固まってしまっていた.“いちぶんのいち情報室”でも,このところ常にスペースが足りなくて困っているほどなので,1枚掲載がようやく,という感じ.
 そこで…思いついたのが,全部というわけにはいかないまでも,概要が判る程度にはご紹介できる方法としての,ここ.カラーであるというのも,様子を知っていただくのに,有益であろうというわけである.
塗装剥離(ハンマー)
最初は,車体の状況調査.ハンマーで外板を叩くなどして腐蝕具合を探る.写真:京浜急行電鉄

塗装剥離車号
そして塗装剥離.昨年12月上旬のことのようである.
写真:京浜急行電鉄
錆止め塗装車両2
続いて錆止め塗装.復元整備作業中に錆が発生するのを防止するのが目的.剥離から約1週間後.
写真:京浜急行電鉄

並行して内装部品の取り外し作業が行なわれた.
電気扇撤去
年代物の電気扇…扇風機を取り外す.京急のことだから,きっと可動状態に復元されることだろう…これは個人的な願望であるわけだが.
写真:京浜急行電鉄
網棚2
網棚を取り外す.古い車輛では,壁面に近いところにピンを軸として持ち上げることができるようになっていることがあるが,実際に持ち上げられている情景をみるのは,初めて.本来は,側窓整備をしやすくするための工夫なのだろうか.
写真:京浜急行電鉄
シート,パンタ,戸閉機械
1月下旬.取り外され,京急ファインテック久里浜事業所への移送のため集積されたインテリア部品.左端のパンタグラフやその手前の戸閉機械(ドアエンジン)などはオリジナルだろうか.銘板が気になる…….
写真:京浜急行電鉄
外販補修2
2月上旬.腐蝕した外板を切り取って新しい鋼板を当て,熔接する.手前の,腐蝕しきって穴があいた部分が痛々しい.写真:京浜急行電鉄
外販溶接1-2
2月上旬.側扉脇の外板裾に新しい鋼板を当てて丁寧に熔接する.ひとつ前の写真とは,側扉を挟んで反対側に位置する.基地か基部の上にアングル材が点付けされているのは,健全な部分の鋼板の変形を防ぐため.その上方に目をやれば,ウィンドシルも完全に撤去されているのがわかる.
写真:京浜急行電鉄

それにしても,こうやって“裸”の車体をみると,間柱の細さなどから,この電車の軽量化への努力が,よく理解できる.床下機器が取り付けられたままであるのは,台枠の撓み点キャンバーを完成状態と同じに保って,外板などの切り張りに際して歪みが生じないようにするため,だろうか.

ちなみに,台車は昨年11月8日に総合車両製作所から京急ファインテック久里浜事業所へ移送されている.今は,全部がバラされているところだろうか.

2019年秋に完成する予定の京急グループ本社ビル(仮称)1階への展示が目的の,この整備.
 その本社は既に工事が着々と進んでいる.
 概要は,敷地面積が3,641.95平方メートル,容積率800%,建蔽率89%.地上15回,地下2階,塔屋1階,延べ床面積は23,007平方メートルとある.所在地は,横浜市西区高島一丁目2番51ほか.
 搬入は,ビルが完成する前に行なわなければならないわけだから,今年中か来年はじめぐらいには現地へ移送することになるのだろうか.待ち遠し…

※2018.02.09:誤挿入写真削除