上野の亀の子(こうずけのかめのこ)こと,上野鉄道(こうずけてつどう)のポーター製サドルタンク機が,千葉県成田市の“成田ゆめ牧場”に現われた.
 どこに保存されていたのか?どこから発見されたのか?と色めき立つ人も,少なからずおられよう.実は……

今年5月中旬現在では,おそらく世界で一番新しい,新造蒸気機関車なのである.作ったのは角田(つのだ)幸弘さん.もちろんボイラー本体や鋳物など大型部品は,それぞれ専門の会社に製作を依頼しているわけだが,構造を考え,プロポーションを見極めながら図面を引いた角田幸弘さんが,製作者ということになる.

“上野の亀の子”.とれいん誌との深いご縁というのは,今ではベテランの域に達するファンにしか通じないことかもしれない.もしも創刊号をお持ちならば,その52頁を開いていただこう.そうすれば,“僕の心象鉄道 山吹軽便鉄道の話”という記事が目の前に展開する.その挿し絵に登場するのが,この物語の主役である,“上野の亀の子”だった.昭和49年12月末のことである.

そして約44年後の,去る5月20日,物語の作者自身が製作しした“いちぶんのいち”モデルが,成田ゆめ牧場のトロッコ線…まきば線で,報道関係者向けに公開されたのだった.
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報道公開を控えて最後の調整に余年のない“上野の亀の子”.同協会の6輛目の蒸気機関車ということで,7号機と命名された.

成田ゆめ牧場の中の線路は,根っからの機関車好きが集まった羅須地人鉄道協会が,同協会の“まきば線”として運営管理しているもので,その歴史は四半世紀に及ぶ.歴史はさらに,昭和46/1971年に台湾の基隆炭砿で働いていた日本の楠木製作所製Bタンク機を里帰りさせたという活動まで遡る.その時点での会の名前は全日本小型機関車研究会.現在の羅須地人鉄道協会のスタートは昭和48/1973年である.
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機関手席でポーズを取る角田幸弘さん.岩崎・渡邊コレクションに収録されている“上野の亀の子”に乗っていた機関手のように
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角田さんの運転と同協会メンバーの誘導により構内転線中の7号機と,取材に勤しむ報道陣.駅や機関庫は25年の歳月を経てすっかり周囲の風景に融け込んで,まるでウェールズかどこかの保存鉄道のようだった.
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午後のまきば線で“お立ち台”ともいえる撮影ポイント.總總の麻飾りをたなびかせながらティンバートレッスルを渡る7号機.灯油焚きということで煙が出ないはずだったのに,山吹軽便鉄道に添えられた挿し絵のような,綺麗な煙を見せてくれた.ちなみに麻飾りは角田さんの奥様である角田由香さんのお手製.
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機関手席が手前に来るように,そして順光線になるように,特にお願いして転車台で向きを変えていただいての形式写真撮影.前照燈や砂撒管や製造銘板などが未整備で“まだ90%完成の状態”という.“100%”になって,適度なウェザリングが施されたころに,また,きっちりと撮影してみたい.

ここを御覧になって,“世界一新しい蒸気機関車を見たい!”と思った方に朗報!

今度の週末5月26日と27日の両日,7号機が一般へのお披露目運転を行なう予定である.運行時間は10時から16時.同時に6号機と11号機ポッターも運転されることになっている.
この機関車の全貌については,とれいん7月号26頁からの記事で知ることができます.ぜひともご覧くださいますよう.

成田ゆめ牧場
所在地は千葉県成田市名木730
電話は0476-96-1001(10時から17時)
最寄り駅はJR東日本成田線の滑河駅.下り電車の到着に合わせて無料送迎バスが運行されている.
営業時間は9時から17時(入場最終受付は16時)
※ゴールデンウィークや冬期(12月~2月)など,季節により変動する

※2018.05.25:一部語句修正
※2018.06.21:とれいんへのリンクを追加