早いもので,大宮に鉄道博物館がオープンしてから10年以上が過ぎた.
 10年間,つねに変化し続けてきたこの博物館だが,来たる7月5日には,新館がオープンする.これまでの本館だけでも充分に広いと思っていたのだけれど,実は“まだまだ展示したいものがたくさんありまして”と,訪問する度に関係の皆さんから聞かされ続けてきた.
 そこで敷地の南側に地上4階建で延べ床面積が約6,000平方メートルという新館の建設が始まったのが2016年7月のことだった.
 この新館計画に並行して,本館の既存展示物も大幅な模様替えが行なわれ,それは例えば,とれいんの昨年9月号(通巻513号)でご紹介した鉄道ジオラマ…パノラマレイアウトを完全新製するなど,広範囲に及んでいる.

鉄道博物館では,6月26日に,一般公開に先駆けて報道公開を行なった.詳しい紹介は本誌をお待ちいただくとして,まずは速報としてハイライトをご覧いただくことにしよう.
 なお,落成のセレモニーは7月4日に催されたが,会場には安倍晋三内閣総理大臣も姿を見せ,テープカットに参加したとのことである(追記:2018.07.05)
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新館の外装は,本館と同じイメージのシックな黒基調.4階建てで本館とは地上通路のほかに2階の渡り廊下でも結ばれている.
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空から見た新館……ではなく,一足早く,鉄道ジオラマ上で落成していた模型である.計画段階の図面で製作されたので,実現した新刊とは少し形や規模が異なっている.

新館に入ってすぐ目に入るのは,山形新幹線400系の東京方先頭車411と,E5系の新函館北斗方先頭車E514.まだ現役どころかまだまだ新型のE5系がなぜここに?というのは当然の疑問.実物通りの図面で日立製作所が製作したモックアップなのである.
 もっともモックアップといえども,特に実物通りの材質や構造が再現されていて,台車も付いている.異なるのは走行関係や保安装置などの機器類が艤装されていないことである.
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左が400系411-3,右がE514-9001.9001とは実は試作車が存在してそれが保存されているとしか思えない番号である.411-3は,“つばさ”の最終列車に使われたL3編成の先頭車で,新幹線では初採用となった分併装置を備えた側ということでも意義ある選択といえよう.

1階の“仕事ステーション”では運転士などの馴染み深い職種だけではなく,保線などを含む,普段は目に触れない分野まで丹念に紹介している.2階は“未来ステーション”と、“仕事ステーション”のうち運転士の仕事を体験する運転シミュレータも設置されていて,205系,211系,E233系,そしてE5系の運転体験が可能である.E5系だけは有料で,他は無料.
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E5系シミュレータのデモンストレーション風景.特別な仕掛けはついていないというが,加減速では身体が前後に振られるし,カーブでは内側に引っ張られるような気がするのが不思議.
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左は本館との連絡渡り廊下.その下には4月26日のここでも紹介した183+189系の“ランチトレイン”が鎮座している.右奥に見えるのは3月から公開されているE1系東京方先頭車E153-104である.その右に見える線路は博物館構内線と大宮総合車両センター試運転線,そして埼京線と高崎線.
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僕たちにとっての最大のハイライトは,もしかしたら3階の“歴史ステーション”かもしれない.まもなく開業150年を迎える日本の鉄道の歴史を6つの時代に区分して,“これでもか”と思うほど綿密に解説している.このフロアを丹念に展覧すると,多分,朝から夕方まで丸一日を要すると思う.

なお,この3階の内容から“鉄道開業前後”について,より深く切り込んだ企画展“明治150年記念 NIPPON 鉄道の夜明け”が,本館2階のスペシャルギャラリーで開催中(9月30日まで)である.こちらも見逃せない

そして4階.新幹線線路側には“ビューレストラン”を新設している.本館1階にあった食堂を移設したと表現することもできるだろう.在来線側には“トレインテラス”が設けられている.こちらでは眼下に博物館構内線と大宮総合車両センター試運転線,そして埼京線と高崎線を一望できるほか,遠くには東北本線を往来する列車を望むこともできる.
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“ビューレストラン”.窓際の席の目の前には新幹線の架線が……なかなか味わえない眺めである.
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“トレインテラス”.埼京線のE233系が大宮駅への地下線に飛び込んで行く.目の前には保線基地もあるから,その作業の様子もじっくりと観察することができる.

なお,鉄道博物館の入館料は,この新館オープンに合わせて改訂されることになっている.ご注意いただきたいとのことである.
※2018.06.29:一部語句修正
※2018.07.05:一部追記及び修正