先週のここでお話しした,JR東日本E235系量産先行編成の変身.その編成を待ち構えている間も,目の前にはいろんな電車が現われては通り過ぎてゆく.その中で,視界の端っこを通り過ぎていったE235の編成に,少しの違和感を覚えた.これまで,少なくとも一般向けにはラッピング広告が開放されていないはずなのに,ラッピングが…….
 思い起こしてみれば,7月23日にJR東日本から発表されたリリースに,“JR東日本における東京2020 開催2年前気運醸成の取組みについて”というのがあって,その中にE235系へのラッピング実施が含まれていたのだった.
 “それに違いない”と思いはしたものの,なにしろ山手線を一周して戻ってくるには1時間を要する.それが目的ならば逆方向の電車に乗って待ち構えることもできる…実際,量産先行編成に対してはそれを実行した…わけだが,この日はそうではなかった. いずれそのうち,と課題リストに入れることにして,本来の目的である量産先行編成を待ち続けたのだった.

それでも,ジリジリと照り続ける日射しと暑さから気分をそらす必要がある.その格好の題材が,西武池袋駅の真上に建設中の巨大ビルである.
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東武デパートのデッキから見た“(仮称)西武鉄道池袋ビル(池袋旧本社ビル建替え計画)”の威容.
西武鉄道からの発表によれば,この建物は,地上20階地下2階,鉄骨造り(一部鉄筋コンクリート及び鉄骨鉄筋コンクリート),敷地面積は約5,530平方メートル,延べ床面積は約49,661平方メートルだという.完成予定は2019年春.西武鉄道の本社も,約30年ぶりだろうか,所沢からこのビルに…と思ったら,移転するのは西武ホールディングスであって,鉄道は所沢に残るのだそうである.しかもホールディングスも,このビルではなくて,旧西武鉄道本社ビルの敷地に建設されつつあるビルへの移転だそうだ.
 しかしそれにしても,いにしえの木造社屋から比べれば雲泥の差.お持ちの方は,ぜひともレイルNo.92の34頁から35頁にかけて掲載されている写真をご覧いただきたい.いや,決して貧相であるわけではなく,それなりに立派な規模ではあるのだが.

さてこの日のお出かけの本来の目的は,E235系量産先行編成の追い掛けではなく,新橋駅近くにある旧新橋停車場鉄道歴史展示室だった.我らの黒岩さんの没後20周年を記念する企画展を取材する,ということである.担当学芸員さんの熱意が会場全てに満ち満ちているこの企画展,ぜひともご訪問いただきたいと思う.取材の結果は今月発売の“とれいん”9月号をお楽しみに!

話を本筋に戻そう.この日の帰宅後,自宅でメールを順に読んでいたら,西武鉄道からのニュースリリースが届いていて,このビルの名称が“ダイヤゲート池袋”に決まったという.
外観②(2018年7月撮影)
リリースに含まれていた写真.どうやって撮影したのだろう.ヘリコプターか,今はやりのドローンか….写真:西武鉄道

ビルの名前の“ダイヤ”とは,ダイヤモンドではなく,列車のダイヤグラムのことだという,四周にめぐらされたメッシュは,列車ダイヤを表現し,“ゲート”は列車を跨いでいることと,お客様を池袋へ迎え入れるゲートというふたつの意味をこめているのだろいう.

さらに翌日,事務所のメンバーにこの日の成果を報告がてら,ラッピングや西武のビルなど四方山話をしていたら,脇が“それ,私,撮ってますから”と.いうではないか.さっそくこのブログへの借用を予約した.
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これがそのラッピング.E235系へのラッピングは,記憶に間違いがなければ,昨年秋のJR東日本自身によるマナーキャンペーンが最初で,これが2度目のはず.今回は2編成に施されていて,公式マークと,マスコットの“オリ”が登場する.池袋 写真:脇 雅恵

このラッピング,発表によれば,第1期として2編成に施されたという.期日は7月23日から8月9日(今日だ!)まで.調べてみたところ第3編成と第7編成だった.
 これで終わりではなく,8月10日から25日まで第2期が展開される.今度はマスコットが[ふたつ]に増えて“オリ”と“パラ”が登場する.そして第3期もあって,8月24日から9月6日まで,今度は“パラ”をあしらった編成が走る予定だという.いずれも2編成ずつに施されることになっている.
 E235系が一般企業のラッピングを受け入れるのは,いつごろになるだろうか.情報のアンテナを張っておこうと思う.

そして後日談その1.
今週の月曜日に,JR東日本東京支社から“板橋駅板橋口一体開発事業”で建設するビルの完成イメージが発表された.共同施工会社が野村不動産に決まったというのがその趣旨なのだが,時を同じくして,隣接する駅に巨大ビルが建設されることが明らかになったわけである.こちらは地上35 階地下3 階だというから,池袋よりも背が高い.
 板橋駅といえば東武鉄道上白石駅からのセメント列車が発着していた印象が強い.古くは大宮機関区のD51が姿を見せていたし(僕は実見したことがないが),そしてそれが東京23区内で最後に残った,旅客駅での貨物扱いだったということでも歴史と印象に残っている.
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地上35階建の新ビル完成予想イメージ図.東口の駅ビルとともに,板橋の新しいイメージ造りに大きく貢献することだろう.写真:JR東日本

後日談その2.
脇が“ラッピングといえば,こんなのもありますけれど…と見せてくれたのが,下の写真.判る人には解るキャラクター.貼られているのはE231系の545編成である.
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ホームドア越しでの撮影には苦労が伴う.そんな中で,よくぞ捉まえたものである.とにかくE235系の増殖スピードは早いから,E231系の記録も急務である.池袋 写真:脇 雅恵