東急電鉄は,今年3月26日に“当社初!平日夜の有料座席指定サービスを大井町線で開始!”というニュースリリースを発表した.12月から営業運転開始ということは秋ぐらいまでには車輛を用意せねばならない.6020系に組み込むとのことだけれど,この電車,新造したばかりである.改造するのだろうか,それとも増備分2020系の中間車と差し替えるのだろうか……と思ったが,“新造である”と発表され,10月の甲種・特大運行計画に,新津から長津田まで"2020系+6020系電車 10輛”という情報が掲載されたことで,より確かなものとなった.
 ひとつ疑問は解決したが,もうひとつ.それは編成のどこに組み込むのだろうかということ.リリースには“6020系(7輛編成)のうち1輛を…”としか記されていない.どちらかの先頭車なのか中間車なのか.中間車とすればどの車輛なのか…….
 それは10月9日から11日にかけて実施された甲種輸送の目撃談で解決した.車重増となることからど真ん中のサハ6420形かと思っていたのが大外れで,大井町方から3輛目のデハ6320形となったのである.
 そのことは,愛称名を発表する10月23日付け東急電鉄リリースに添えられたイラストにも,明記されていた.
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図版のタイトル末尾に“3号車”と明記されている.ということは,大井町方から3輛目ということになる.それにしても,他の6輛の車体側面の大部分がステンレス鋼無塗装仕上げであるのに対して,オレンジ色の全面ラッピングとは.写真:東急電鉄

愛称は“Q SEAT”.その意味づけは“東急のQ”,“品質(Quality)のQ”,“迅速(Quick)のQ”に“座席(SEAT)”を組み合わせた“Q SEAT”なのだそうだ.

そして11月11日の日曜日,長津田検車区で鉄道趣味誌向けの報道公開が実施されたのだった.
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前頭に“Q SEAT運転開始”のステッカーを貼った6021編成.3号車は全身に艶やかなオレンジのラッピングを施されて,いやでも目を惹く存在となっている.長津田検車区 20-18-11-11
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その3号車デハ6321.ロゴが各戸袋部と中央部腰板にあしらわれている.

そして客室.近鉄5800系や東武50090系,西武40000系京王5000系などと同様の,ロング・クロス転換式腰掛けが並ぶ.とりわけり京王5000系のそれと似た雰囲気を感じるのは気のせいだろうか.電源コンセントが腰掛基部の機器箱側面に取り付けられているのも同じだし.異なっているのは表布の色や柄,背摺り背面にカップホルダーが備えられていることあたりである.
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ロングシート状態の客室.照明のLEDは電球色.腰掛を回転させるためロングシート時にはその位置が中條より中央に寄っている.その対策のひとつとして,荷物棚の奥行は通常より浅くなっている.車端のロングシート固定部は通常通りである.

車端部の腰掛はロングシート固定であり,指定券は発売されない.しかし電源コンセントは装備されており,しかもこの部分だけはロングシートでの運転時にも使うことができる.
 また,客室にはWi-Fiが設備されていて,無料で使うことができる.
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クロスシート状態の客室.腰掛下部に電源コンセントが見える.なお腰掛の転換は運転室からではなく,この車輛内で操作する.また,営業運転中に乗客が自由に向きを変えることができるよう,レバーが備えられている.

なお二代目デハ6320形の定員は133名でそのうち座席は45名.自重は34.8tである.オリジナルは155名と51名,そして33.3tであった.
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報道公開の翌日,別の用事があって二子新地の駅で電車を待っていたら6020系がやってきた.早くも営業運転が始まったのかと思ったら,まだ組み替えを行なっていない6022の編成だった.

そして11月13日の火曜日,6021の編成はロングシート固定状態で通常の運用に充当されはじめた.一方,6022の編成は初代のデハ6322を抜いて新造の二代目デハ6322を組み込む作業が始まったという.
 抜かれた初代デハ6321とデハ6322は,それぞれデハ2326とデハ2327に改番の上で2026と2027の編成に組み込まれることになっている.

それにしても平日の夕方から夜間にかけてのみであるとはいえ,5本もの列車を2編成で運休なくこなし続けるために,どのような方策が採られるのか.5連に組み替えて大井町線カラーに装いを改めた2003編成の動向も気になる.
 こうして,大井町線も,僕の,“目を離せない,注目すべき路線”に加わることになったのである.
※2018.11.16,17:一部文章修正