東武鉄道の南栗橋にC111がやってきた.といっても,青梅鉄道公園で保存されているC11 1が移動してきたわけではない.はるばる北海道の江別から到着したのである.
 11月14日の午前,東武鉄道南栗橋車両管区での取卸作業が報道公開された.
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東武鉄道南栗橋車両管区構内に到着したC111.江別から苫小牧港まで陸送,そのままフェリーに乗って大洗港に上陸した.写真は,南栗橋構内をバック運転で取卸現場へ向かうトレーラーとC111の本体.

載っているのは札幌の三和重機が保有する低床トレーラー.スウェーデンのスカニア製ヘッドと東京のトーヨートレーラー製3軸セミトレーラーの組み合わせだった.
 11月8日には保存されていた江別市内で積み込みが行なわれ,翌日には苫小牧港に到着した.出航したのは天候の加減で1日遅れとなった12日.大洗港へは13日に到着して南栗橋へ向かったのだった.

さてこのC111.生まれは愛知県熱田の日本車輌.江若鉄道のC111である.製造番号は1473.1418から1472までの55輛は国鉄C11最終グループのC11 327~381であり,次の1474は片上鉄道C11-101,その次の1475~1477は三井芦別鉄道C11-1~3となっている.
 当時の江若鉄道沿線には日本陸軍から引き継いだ米軍キャンプがあり,そのための輸送力増強のため割り当てられたものだろうか.
 近江鉄道ではディーゼル機関車導入に伴って昭和32/1957年に廃車となったが,北海道の雄別炭礦鉄道へ引き取られることになった.昭和45/1970年には釧路開発埠頭へ移って入換作業に従事し,昭和50/1975年まで使われている.
 その後は個人の手によって長らく保存されていたが,今回,東武鉄道が運行する鬼怒川線の“SL大樹”の増強用として東武博物館が譲り受け,東武鉄道南栗橋車両管区SL検修庫で動態への復元が実施されることになったものである.
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2台の大型クレーンに吊り上げられたC111.煙突や蒸気ドーム,砂箱,キャブなどは輸送時の高さ制限をクリヤーするために取り外されている.
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大勢の担当者が息を詰めながら見守る中,東武の線路に載る寸前のC111.ディスク輪心の先輪は戦時中から戦後にかけて新造されたC11の特徴のひとつ.動輪のタイヤは,見たところ充分な厚みがあるようだ.

取卸作業が終わってから機関車に近づくことができたのだが,各部には分厚くグリースが塗り込められていて,刻印などを確認することはできなかった.けれど,このグリースに守られていたお蔭で,40年以上も現役当時に近い姿を保つことができたのである.
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検修庫内に拡げられたキャブやドームや各部の部品.まるで自分の工作机を見ているような風景である.隣りの線路にたたずむのは,大井川鉄道から運ばれてきたヨ5000形13785.南栗橋の構内で控車などとして使われているようだ.

このC111.東武鉄道の発表によれば,このままの番号で使うかどうかは未定とのこと.青梅のC11 1との混同をおそれているのだろうか.同番号の車輛が他鉄道に存在することなど,日常茶飯事である.相互直通運転が行なわれるわけでもないのだから,ぜひとも由緒あるC111という番号を継承していただきたいものである.

なお,復元の完成は“2020年冬”とのこと.なんとでもとれる表現だが,2020年12月ということなのだろう.
 復元工事は,SL検修庫を中心として,動輪は新日鐵住金(あと130日で日本製鉄に社名が変わるが)で,ボイラーはサッパボイラで整備されることになっている.
 重連運転とか2往復運転とか……いろいろと妄想が膨らんだ半日であった.