気がつけば3月も半ば.来週はお彼岸である.あたふたしているうちに世の中ではどんどん新しいことが始まっている.
 昨年の秋に落成した東京地下鉄丸ノ内線の2000系電車も,営業運転が始まった.なかなか昼間の本線での試運転が始まらないので,もうちょっと先のことかと思っていたのだけれど,2月19日に“丸ノ内線新型車両2000系いよいよデビュー!”という発表が行なわれた.
 2000系の概要については,本誌の“いちぶんのいち情報室”や,昨年10月11日のここlでもお伝えしている.けれど,地下鉄車輛としては異例ともいえる丸い顔が,東京の風景と,どのようにマッチするのか,あるいはアンマッチなのか,興味津々であった.
 そのチャンスは,今週のはじめにようやく巡ってきた.夕方からの都心での打ち合わせに出向く途上,中野坂上で僕の目の前に登場してくれた.
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3月12日16時22分,中野坂上駅に到着の2000系第1編成.ちょうど丸窓のあたりを写すことができた.

乗ってみて,02系より,一段と静かになった感じがしたのは,操舵台車のことを知っているからだろうか.
 注目していたのは,各車1ヵ所ずつのフリースペースに設けられたコンセントが活用されているかどうか…….込んでいる車内を6輛全部見て回るわけにはいかなかったが,少なくとも四ッ谷までの間,編成の牛穂半分3ヵ所では,使われている様子がなかった.ちょっと残念.
 それどころか,物珍しげに車内を見回しているのは,ただ,僕ばかり.まぁ,営業運転開始から2週間以上も経っているのだから,当たり前なのかもしれないが.中野坂上での写真でも,電車に気づいて目を見張っている,なんて人はいない,ということが判るだろう.
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四ッ谷に到着して去り行く後ろ姿を…と思ったのだけれど,向こうから02系がやってきたものだから,アングルを調整しきれず,2000系の左端は切れるし,なによりピンぼけになってしまった…….

ということで,用事を済ませて,池袋からの戻りを待ち構えることにしたのだけれど,それよりも前に,別の2000系が新宿方からやってきて,びっくり.
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こちらは第3編成だった.運行番号は51.ちなみに先ほどの第1編成は運行番号81だった.
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そして戻ってきた第1編成.西武001系ほどではないにしても,正面の窓には,いろんな風景が写り込む.眺めている分には楽しいが,写真撮影となれば,悩ましいことこの上ない.僕以外に,この電車に注目するお客さんがいた.

2000系を待っているうちに,02系を観察しながらスナップしていて,いろんなことに気づいてしまった.初期のチョッパ制御車はインバータ制御に更新し,室内も模様替えし,さらに車体外部帯にサインカーブを描いた…ということは知っていたのだけれど.
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最初からインバータ制御で新造されたグループ.平成4/1992年製の途中,第20編成からだったように覚えている.
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インバータ制御に更新されたグループ.新造時は行先表示が幕式だった.更新時にLEDに交換.よく見ると車掌側(丸ノ内線はワンマン運転だが)窓下部に二桁の数字がある.編成番号のようである.

チョッパ車のグループは,行先表示を途中でLEDに変更して新造されている.また,最初の4編成は,冷房装置は準備工事だけで,非冷房のまま落成している.これらは現在,すべて統一され……と思ったら,帰りがけに見た第33編成…東京地下鉄の編成番号では93編成…は,最初からのインバータ車なのに,編成番号札を窓に取り付けていた.

ということで,今さらながら,02系各編成ごとの特徴観察も急がなければならない.なにしろ後3年で53編成全部を一気に置き替えるというのだから.このような一斉置き換えでは,製造年次にかかわらず,検査期限の近いものから順次廃車になるのが通例だから,まったく目を離すことはできないのである.

それにしても,古い編成で30年,新しい編成は25年しか経過していない,素人考えでは,ほとんと雨にあたっていないのだから,まだまだしっかりしているはず.とはいうものの,ゲージが1,435mmだということと,集電が第三軌条ということは,他鉄道線への譲渡には大きなハンディとなるのも,また,間違いないところではある.どのようになるのだろうか.と,いつものとおり,課題がひとつ増えた,早春の夕暮れであった.