8月29日付のここでお知らせした,鉄道総研の燃料電池ハイブリッド電車R291系.リニューアルを果して性能がアップし,試験は新しい段階へと進むことになったわけだが,走行可能状態への整備が完了したということで,今日の午後に報道公開が催された.

車内はデータ採取中とのことで各部分のクローズアップなどの撮影は叶わなかったけれど,むしろ臨場感溢れる情景を記録することができた.
C8A_0063
クモヤE291の車内.さまざまな計測機器が積み込まれているものの,普通のロングシートが設置されているのが,最大の変化である.

まずは試乗して電気の流れを大画面のモニターで観察する.
DSCN8677
停止状態.左がリチウムイオン電池,右が燃料電池で,矢印で電気の流れを示す.バッテリーは放電と充電の双方向,燃料電池は放電のみである.
DSCN8679
力行中.燃料電池の針はそれほどでもないが,リチウムイオン電池の針は右(放電)方向に振り切れている.
DSCN8686
惰行状態.リチウム電池は主電動機からの回生電力によってフルに充電中.


そして走行風景撮影!スチール写真では,パンタグラフを降ろしたまま走っているということを表現しづらい.流し撮りが唯一の表現方法だといえるだろう.
C8A_0100
手前がクモヤR291,奥がクヤR291.先頭部は見事に(?)写し止めることができたのだけれど,パンタグラフは流れてしまった…….真横で撮るしかないのだろうか.

本来のプログラム終了後,特段のお計らいによって静止状態での撮影タイムを設けていただいた.
C8A_0141
クヤR291が先頭,奥がクモヤR291である.パンタグラフを上げていただこうかとも思ったのだけれど,パンタグラフを上げなくても走ることができる電車ということで,畳んだ状態での撮影となった.
DSCN8712
クヤR291に取り付けられた燃料電池ユニット.
DSCN8726
JR東日本新津車両製作所製のREDT902.オリジナルでは同製作所特有の濃い灰色だったが,リニューアルで塗色が他の床下機器と同じ明るい灰色に変更されている.側扉下部から車輪にのびるパイプは撒水管.さまざまな線路条件を作り出すのが目的である.

燃料電池チョッパ裝置はRG4095A-M.電力変換装置はRG6046A-Mで,いずれも,前回も記した通り,東洋電機製造製である.

さて,パワーアップを果たしたこのR291系電車.具体的な性能はどうなのかといえば,架線からの集電を行なわず,燃料電池からの電力だけで走ることができるのは約80kmだそうである.これは,1kgの水素で4km走ることが可能であり,この電車の水素タンク容量が20kgであることからの数字である.
 今後の課題として挙げられたのは,まず,水素を製造所から車輛基地までの輸送コストの問題だった.水素そのものは高価でないだけに,より重大な課題ということになろう.
 氷点下での起動時に難点があるとされる燃料電池だが,これは起動前に加温するなどの方策を採ることで解決することができるそうだ.

燃料電池ハイブリッド車は現在,JR東日本で研究開発が続けられており,また,自動車ではトヨタ自動車ホンダ,フランスのルノーで一部市販されている.これらうち,JR東日本トヨタ自動車とは情報交換を行なっているそうである.

今後さらに研究開発が進み,新しい動力源として実用化される日が一日でも早く到来するのを,期待しているところである.