西武鉄道池袋線沿線住民ながらも東急電車には親しみ深い日常である.東京地下鉄副都心線を介して乗り入れてくる…それどころか,タイミングによっては,“ここはどこ?”状態になることもしばしばである.なにしろ,いつも使っている駅に停まっているのが両側のホームともに東急電車で,さらに急行線を東急電車が通過して行く……などというのが日常風景なのだから.
 2月の下旬から,その東急電車にピカピカの編成が登場したのには.気づいていた.気づいてはいたけれども,カメラを構える暇もなく,持っている時には姿を見せず…という状態が続いて,はやくも3月下旬となってしまった.
 ということで昨日,出逢いの運を天に任せ,暇を盗んで東横線沿線に出掛けてきた.

※いつもより長くて写真の数も多いです.お気をつけくださいませ.


最初は,ピカピカの新車.それは5050系の23本目となる,5178編成.昨年8月末に,5118編成の事故修繕車と,4011という編成に組み込まれるだろう車号を記した中間車2輛とともに総合車両製作所横浜事業所から出場したのだけれど,一向に営業線上に姿を見せてくれなかったものである.だからピカピカの新車の正体は,きっとこれだろうという見当だけは付いていた.
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祐天寺の駅での5178編成との遭遇.渋谷行きである.今回は待ち構えていたという表現が正しいかもしれない.でも,そういう時に限って,横浜方面行きの列車gあやってきて,全編成を一望することができなかった.

一目で気付くのは,列車無線アンテナが西武などでも見ることができる新型の逆Lタイプになっていること.前面スカートは,3年前に増備された5177編成と同様の,スノウプロウ付きである.
 主制御装置は,5177編成と同じ形であるように見える.電動空気圧縮機も,これまでの5050系と同じ三菱電機製のようである.補助電源装置は,反対サイドだ.
 で,渋谷行きだから,すぐに折り返してくる.反対ホームに移って向う側の床下観察をするか,乗ってみるか,ちょっと迷っているうちに,5177編成が和光市行きの急行として通過して行ったではないか……あっけにとられているうちに,もはや折り返して来てしまったではないか.乗るしかない.
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最初に見たのが腰掛.基本的には5177編成と同じ背摺りが高くて座面が完全に独立したタイプ.色も同じ.けれど,戸袋部にあったヘッドラストは姿を消した.

自由が丘まで乗って,都立大学方面へ少し歩いた踏切へ向かう.今度は走行風景を撮ろうというわけである.ただこの場所,午前中は横浜方面からの列車に対しては完全逆光である.幸い?今度も渋谷行きだったので,その折り返しを待つことにした.

先にやってきたのは5122編成.気になっていたヘッドマークには“NO END 東横 渋谷ターミナル”という文字と,5000系青ガエルのイラスト,東横百貨店が描かれていた.
 この件に関しては東急からプレスリリースが出ていて,今月一杯で閉店する東急デパート東横西館を惜しむ企画なのだという.車内にも趣向が凝らされているらしいから,あとで乗ってみなくちゃである.
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その次の次だったかに,5178編成は姿を見せた.スノウプロウの様子がよく判る.通過する列車の床下に目を凝らして補助電源装置を確かめようと思ったけれど,目が付いてゆかなかった.
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再び和光市行き急行となった5178編成.補助電源装置は…在来の5050系と同じにもみえるが,よく判らない.それよりも,サハ5478の転落防止外幌が大きくなっている,すなわち誘導無線アンテナがないことに気づいてしまった.

追い掛けてやってきたのが5122編成.やっぱり,乗るしかない.
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客室は,まさに渋谷一色.僕は知らないロープウェイや,地下食料品売場の“東横のれん街”など,沿線で暮らした人々にとっては思い出の風景で溢れかえっていた.僕が辛うじて知っている風景は,駅を発車して行く青ガエル5000系ぐらいである.

それにしても,90周年記念イベントであって,昨夏で終了のはずだった,青ガエルラッピング.好評につき1年延長……なのだけれど,なんだか,その時点で既に“NO END 東横 渋谷ターミナル”イベントが構想されていたのではないかと,思えてきた.
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その,東急百貨店東横店営業終了のお知らせ.85年分の総決算,だそうである.
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そのすぐそばにはデハ5001.背後が東横百貨店.

夏頃には取り壊しが始まるという建物の2階通路からは5001を見下ろすことができるのだが,工事が始まると屋根上を見ることができなくなる……と思っていたら,なんと,青ガエルが姿を消すのだという.再開発に支障するためらしい.解体?と危惧したけれど,それは避けらることができて,“ハチ公”のルーツである秋田県大館市に引き取られることになったのだとか.まずは安心.
 具体的には大館市の施設である“秋田犬の里”の敷地内の芝生上に置かれるのだそうである.公開予定は7月.その準備のために,ハチ公広場からは5月頃には搬出される予定とのことである.

そうこうしているうちに,5178編成が和光市から戻ってきそうな時刻となった.そこで再び自由が丘のさっきの場所へ出向いて…ベストポジションには先客があり,僕はもうちょっと都立大学寄りで待ち構える.
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5178編成に続いてやってきた5122編成.10輛編成はちょっと苦しいが,8輛なら何とか納まった.

そして最後はどこでどのように出迎えようかと考えたのだけれど,3月下旬とはいえ関東地方の市街地では既に線路はほとんど影の中.それならばと,今まで識別できていなかった補助電源装置を撮るために,自由が丘駅の田園調布方で待ち構えた.
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やはり在来車と同じ東芝製だった.そういえば床下の色は,近年の2020系グループの灰色ではなく,5000系グループの黒である.それからもうひとつ,側窓裾に記された文字は,戸袋部のロゴとともに“TOKYU CORPORATION”である.

ということで,知りたかったことのほとんどを確かめることができて,大満足の1日であった.そして駅に戻ったら……
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5122編成がやってきた.でき過ぎのような,でも本当のお話である.