先週のここでは,中央本線の御茶ノ水駅と千駄ヶ谷駅の変化を観察してお話してみた.その直後,7月12日の始発から,今度は飯田橋駅のホームが移転し,新築中だった西口の駅本屋もめでたくオープンした.この工事についてはJR東日本のウェブサイトで2014年7月2日に概要が発表され,今年の6月16日にホーム移転日付けなどが案内されている.
DSCN3772
外濠を渡る牛込橋に面した西口駅本屋は2階建の鉄骨造りで,延べ床面積は約2,200平方メートル.ガラス張りのモダンなデザインである.けれど古い江戸城の遺跡とも不思議にマッチしているのはシックな色遣いの効果だろうか.

訪問したのは営業開始2日目の月曜日.あいにくの曇り空で,晴れた日に再訪すればまた印象は異なってくるかもしれない.とりわけ西日の反射に期待しているところである.
 その駅前の牛込橋から新しいホームを見下ろしてみた.
DSCN3752
元の引き上げ線用地を活用して建設されたホームは,駅本屋と軌を一にしたモダンなデザインとシックな色調で仕上げられている.ホームドアはまだない.来年度以降に整備される予定とのことである.

改札を入ってすぐに,東口への階段付近までは通路として残されるという,元のホームがどのようになっているのか,観察に向かう.
DSCN3787
取り敢えずは鉄パイプで仕切って東口への通路に仕立てられた旧ホーム.東京方の先端は締め切られた.
DSCN3283
これが6月末の状態.“300”という数字の曲線標と東京へ向かって上り10‰の勾配標を再確認.その横をE353系の“あずさ”が通り過ぎて行く.

この半径300メートルという急曲線が,ホームを移設するに至った最大の理由である.なにしろ新宿方面行きの場合,4扉車の中寄り扉では30センチもの隙間が生じるうえに,カントがあるものだから,天地方向の段差も,すごかった.
DSCN3271
ご覧の通りである.高低差は20センチぐらいだろうか.

その点,新しいホームはほぼ直線である.ややカーブしてはいるものの,これまでとは比較にならない.
新しいホームは,さっきも記したとおり,従来より東へ約200メートル移動し,かつての引き上げ線スペース,そして駅西口への通路……見事なアーチを描いた古レール製の柱で支えられていた.その様子は2016年10月13日付けのここで“中央・総武緩行線の古レール”と題して紹介したことがある…そういえば古レールの上屋柱の行く末にも注目せねば…があった用地に建設されている.東京から新宿に向かって,明らかな下り勾配となっている.改めて勾配標を観察してみてビックリ.最大はなんと18.5‰だったのである,
DSCN3820
18.5‰の勾配標.先日までの仮跨線橋の真下あたりに植えられている.裏は18.0%.レベルから10‰,18.0‰と,目まぐるしく変化する.

でもこの18.5‰という数値は,東洋経済オンラインというウェブサイトの記事によれば,実は勾配緩和の賜物でもあって,元は33.3‰だったという.そのつもりで4枚目の写真を眺めてみれば,ホームの土台が仮受構造になっているのに気付かされる.ホーム事務所がホーム上面より一段高いのも,勾配改良のための措置だろうか.それにしても,毎日朝から晩までひっきりなしに電車が走っている線路の勾配を,どうやって改良したのだろうか.小まめに観察したかったところだが,今となっては,無理.残念.
DSCN3827
ホームからはこんな風景も.お壕の一部が線路に迫っている.というか.この線路敷がお壕の一部だったはず.意味もなく立っているように見えるコンクリートの柱は,旧西口駅本屋の土台である.柱の根元には“950”という,この辺りの曲線半径を示す標識が植えられている.

なお,東口は従来通り機能しているが,みどりの窓口は新しい西口本屋内に移動した.

このあと,7月19日には新宿駅の東西を結ぶ大自由通路が完成するという.それにしても,東京という町は本当に工事の絶えることがないところである.