列車で旅をする楽しみのひとつに,食堂車と駅弁があった.完全に過去形になったわけではないけれど,普通に列車に乗っていてふらりと食堂車へ出向いて食事をすることはおろか,列車の停車中に駅のホームで売っている駅弁を買う,などということすら至難の業となってしまった.
 そんな時代の変化の一方で,企画列車としての“お食事列車”は,全国各地に登場している.先週ご紹介した富士急行の“富士山ビュー特急”も,そのひとつ.
 それに引き続いて,本日お披露目が行なわれたのが,西武鉄道の“52席の至福”.
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お披露目会場となった豊島線豊島園駅に到着する4000系改造の“52席の至福”.正面貫通扉上の列車種別・行先表示装置は活かされている.

種車は秩父線を中心に使われている4000系.種車はクハ4009+モハ4109+モハ4110+クハ4010の編成で,車番は変っていない.車内銘板によれば,改造担当は総合車両製作所.実際には同社が西武鉄道の武蔵ヶ丘車両検修場での出張工事ということである.
 外観のディテールとしては車体側面の列車種別・行先表示窓を塞いでいることのほかに,大きな変化は見当たらない.

しかし車内は大変化.飯能方先頭車である4009…1号車に至っては,全部の座席を取り払って多目的スペースに“転身”した.
 2号車は定員26名の客室.元の腰掛の約半分だけテーブル付きの座席を設けて,実にゆったりしたスペースを産み出している.そして目を見張らされたのが天井の造作.これまでの鉄道車輛の概念とはかけ離れた仕上がりとなった.

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2号車の全景.実際の営業運転時にはテーブルクロスが掛けられるのだろうか?.照明は電球色のLED.低い背もたれによって開放感が強調されている.4号車もほぼ同じ造作である.

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駅でのお披露目に引き続いて催された西武秩父までの試乗会のための準備に大童の3号車,キッチン.手前がオープン,奥がクローズスペースになっている.撮影ポイントの背面には小さなバーカウンターと業務用スペースがある.

今日はじっくり観察することが叶わなかった外観全景は,1輛ずつデザインが異なっており,1号車は“芝桜 長瀞の桜”.2号車は“秩父の山野緑”.3号車秩父連山の紅葉”.4号車は“あしがくぼの氷柱”.これらの詳細については,いずれ近いうちに紹介したい.お楽しみに.

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4月から6月にかけて提供される,ブランチコースのお料理.鶏団子 蛤のスープ 青海苔の香り.至福の12種類の前菜 こんにゃくオランダ煮/鶏のチーズこがね焼き/パイナップルスモークサーモン奉書巻き/笹麩茶巾/さつまいも甘露煮/サーモンチーズボール/大黒本しめじのピクルス/パテ・ド・カンパーニュ/ロースハム/くらげ頭の甘酢漬/長芋湯葉巻き カニフカヒレあんかけ/口水鶏(よだれ鶏).メインが武州和牛のポ・ト・フ~サプライズ仕立て~.デザートビュッフェ.お飲み物.

この“52席の至福”.今週末の4月17日から営業運転を開始する.以後,毎週末や祝日を中心として運転が設定されている.乗るためにはオフィシャルサイトからご予約を,どうぞ.
 ちなみに,運転区間は西武新宿と本川越の間,そして池袋と西武秩父の間.コースはブランチとディナーがあり,西武鉄道一日フリー切符を含む旅行代金は,ブランチが10,000円.ディナーが15,000円という設定である.

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武甲山をバックに早春の風景を走る“52席の至福”.早く乗ってみたい…….写真提供:西武鉄道