久し振りの写真展レポート.東京銀座のキヤノンギャラリー銀座で今日から開催の,持田昭俊写真展“星空列車~輝きの瞬間(とき)~”である.
 持田さんといえば,1990年代,とりわけ前半の“とれいん”誌上で,しばしばグラフページを飾ったフォトグラファーとしてご記憶の方も多いだろう.
 あのころ,“記録としての写真”ではなく,“写真としての写真”を精力的に撮影していた持田さんは,まだ30歳になるかならないか,という年代だった.
 その若さ,そして持田さんならではの感性は,モデラーとしてのとれいん読者にも,大きな影響を及ぼした.
 取材の過程での,溢れる熱意から発したさまざまなエピソードも,忘れることができない.

あれから四半世紀.折りしも,日本から定期列車としての夜行客車列車が消え去るこの3月に,そして新幹線が北海道に達するこの週に,夜行列車をテーマとした写真展を開催した持田さん.当然のことながら,それは偶然ではなくて,最初から会場側に希望を出しての実現であった.
 そんな思い入れの写真展.並んだ写真は,迫力とともに“夜行列車”という存在を見送る,“今の持田さん”の気持ちが溢れ出している.

20160324-01-前里
会場入口の“夜景”.ショーウインドウを飾るのは,朝陽に輝くEF510-510牽引の“カシオペア”.
20160324-02-前里
会場は,夜行列車がテーマの写真展にふさわしく,照明をギリギリまで落として雰囲気を盛り上げている

20160324-03-前里
会場を巡って最後を飾るのが,19日の土曜日に上野駅を発車する,最後の“カシオペア”風景.撮影から5日しか経っていない写真が,写真展を締めくくる…こんな演出,今までみたことない

20160324-04-前里
持田さんと,お手伝いに駆けつけた親戚の若き助っ人さん,そし て奥様.持田さんが手にするのは,やはり写真展にタイミングを合わせて刊行されるDVD付き写真集“最後のブルートレイン 星空列車”(宝島社刊 定価: 本体2,480円+税 ISBN978-4-8002-5291-3)


ずっと追い求めてきた,いわゆる夜行客車列車が日本から姿を消して,持田さんの写真は,どこへ行こうとしているのか,これからも皆さんとともに注目したいと思う.

持田 昭俊 写真展:星空列車 ~輝きの瞬間~
開催日程及び会場

2016年3月24日(木)~3月30日(水) キヤノンギャラリー銀座
3月26日(土)14時からギャラリートークを開催

2016年4月7日(木)~4月19日(火) キヤノンギャラリー福岡

2016年5月19日(木)~5月25日(水) キヤノンギャラリー梅田
5月21日(土)14時からギャラリートークを開催

2016年6月23日(木)~7月5日(火) キヤノンギャラリー札幌

※会場内の写真は,このブログに掲載するために予め許可を得て撮影したものです.

※2016.03.26:一部写真順序入れ替え及び一部文章修正