最新型は8900形で9000形はもう存在するから9100形じゃないのか?と思った,そこの貴方は正しい.
 正しいのだけれど,やっぱり7700形なのである.
 どこの話だ?と思われた貴方は,昨年9月17日のここを,改めてご覧いただきたい.東京島交通局のお話なのである.
 そこで7700形という数字から,もしかして?と考えた貴方も,正しい.“あと1年半で完全に引退する予定”だった,7000形が生き延びることになったのだ.
 とはいえ,形式が変っているわけだから,どこかが変化しているはすだ.
 本日発表されたリリースによれば,制御装置や台車などは8900形と同等の新造品を使い,車体は7000形のそれを使う,という.
  なんでそんなことになったのか.発表によれば,“昭和30年代から今日に至り、多くの皆様方に親しまれてきた7000形車両の更新に際し、その一部(8 両)を廃車とはせず、大規模な改修を行い再生させた「7700形車両」を下記のとおり導入することとした”のだそうだ.趣味的に正しく表現するならば,昭 和30年代から引き継がれているのは形式であって,車体は昭和52/1977年の登場ではある.
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完成して荒川車庫のトラバーサーに乗る7700形電車.車体塗色は緑.各所に明るい茶色のとリムを入れているのは,“クラシックモダン調の配色とし、全盛期の都電をイメージ”した結果としての,“木”を意識しているのだろう.空調装置は活用品だが,台車は新品.写真:東京都交通局

さてその工事の内容だが.
車体は活用するとはいえ,車内表示器を2画面の液晶に取り替え,客室に縦手摺を設置,降車押しボタンを増設,ロン グシート横に大型袖仕切りを新設,照明はLED式に変更.さらに加えて側扉の幅を900mmから1,000mmに拡大するという,大掛かりな改造が施され ている.
 制御装置は先述のとおり,新品のインバータ方式となり,台車も8900形と同形品を用意するという.
 これではほとんど新車ではないか.

で,2輛の9000形に続く“イベント電車”として1輛だけ…と思ったらとんでもない.なんと8輛も“製造”するのだそうである.
 その8輛の内訳はといえば,みどりが2輛,臙脂と青が3輛ずつ.


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続いて登場する臙脂(上)と青(下).真横からみると,側扉が拡張されている様子がよく判る.また,運転席側面腰板部に窓が新設されて安全確保のための視界確保が考慮されるなど,運転面でも最新の8900形に準じた施策がとられているのが判るだろう.写真:東京都交通局

と,なると気になるのが,荒川線車輛の総数.
 現在は8500形が5輛と8800形が10輛,8900形が全部揃えば8輛,イベント車 9000形が2輛の,合計25輛に,昨年末現在で7000形13輛が在籍している,8輛の8900形で7000形を完全淘汰すると発表されていたのだか ら,それを信じるならば,今回の8輛は“余分”.なのだけれど,当たり前のことながら,そんな気まぐれであるわけもなく,実際には2年前から,きちんと計 画されていた“大規模改修”なのであった.

営業運転開始は5月ごろの予定.それに先だって3月28日の午後には,最初の1輛が荒川車庫で一般公開されることになっている.