気がつけば7500形の姿なく,7000形も少しずつ数を減らして,8500形以降の新系列車輛が約半数を占めるようになった東京都交通局荒川線.
 もっとも,8500形のデビューが平成2/1990年のことだから既に四半世紀.実にゆっくりとしたペースである.
 そして今年度,“最初の新造”から60年を経た7000形の完全置き替えが発表され,その代替車として8900形が登場することになった.

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雨の中で行なわれた,都電荒川線新型車8900形のお披露目.8800形に比べて直線的なデザインとなったのが外観上の特徴.正面窓上や運転席側面窓に水切りが取り付けられて運転士の視界向上がはかられるなど,実質的な改良も各所に施されている.

全 長13,000mm,幅2,200mm,最大高さ3,800mmという基本寸法は在来車と同じ.主電動機の定格出力60kW,3.0km/h/Sという加 速度や常用最大4.5,非常5.0km/h/Sという減速度も同じ.台車は新日鐵住金のFS91Cで,サフィックスを除けば8800・9000形と同じ. 駆動装置は平行カルダンWN継手式,ギヤ比は85:13(6.54).
 主制御装置は東洋電機製造製のRG699A1-M,補助電源装置は同じ東洋電機製造製のRG4072A-M.

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運転台の眺め.基本的には8800・9000系の機器配置を踏襲している.ブレーキ装置は電気指令式電空併用電磁直通ブレーキ.応荷重制御と回生発電ブレンディングブレーキ付きである.

客室は8800形に準じた座席配置で,定員は62名,そのうち座席は20名となっている.優先席は1人掛けのクロスシート,その他はロングシート.8800形に比べて,天井の色をやや明るく,床の色を少し濃くしたことで室内が広く見えるようになったりもしている.

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全体の眺めは8800形に共通点が多いが,よりスムーズな乗降が可能なように,降車知らせボタンの数が飛躍的に増え,スタンションポールの位置や曲げ角度などにも工夫が施されている.吊り手も増設されている.中にはちょっと変わった形も…….室内燈は直管タイプのLED.

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運転台背面の液晶による情報表示装置と,その傍らに設けられた監視カメラ.液晶は2面あり,向かって左は次停留所など,右は広告などが表示される.向かう先は立体的に表現しているのがユニーク.

今回は2輛がアルナ車両から納入されたが,今後も6輛が製造される.外部塗色のアクセントカラーは,今回のオレンジに続き8903と8904がブルー,8905と8906がローズレッド,8907と8908がイエローとなる予定.ブルーは新色.

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車庫での撮影が終了した後,町屋駅前まで往復の試乗会が催された.その終点,荒川車庫前では,あと1年半で完全に引退する予定の7000形との出会いが見られた.前面窓を一面に覆うのは,7000形の涙雨か新型車デビューの嬉し涙か.

この8900形,9月18日から営業運転に就役する.

※2015.09.18:一部語句及び数値修正