最初は実は,夏休みの子供向け企画展だと思っていた.いや,実際,そうなのである.けれど,大宮の鉄道博物館のニュースリリースには“お子様から大人まで,幅広く…”とある.モハ31000に施された“オリンピック塗装”編成の写真…宮松金次郎さん撮影だったろうか…も掲載されている.これは……というわけで,本日開催された報道公開にお邪魔してきた次第.

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2階のスペシャルギャラリー1で7月4日から開催される,“みんなのでんしゃ展~今度の電車はてっぱく行きです~”のエントランス.現代の車輌のラインナッ プは当然として,カナリヤ色の山手線101系カラー写真や,昭和12/1937年のオリンピック協賛(?)試験塗装モハ31000編成が含まれているとこ ろが,いかにも“鉄道博物館”.

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そのエントランスの真ん前に特設された,“好きな電車と一緒に写真が撮影できる”という,“メモリアルフォトスタジオ”.ハガキ大の印画紙に,自分のポート レートを今回のテーマの各線車輛と一緒に焼き込むことができる(1回1枚500円).そしてその左にはその場でプリントできるデジカメプリント機も設置さ れている(Lサイズ1枚30円).ブースも特注品で,シングルアームパンタグラフもちゃんと表現.

ギャラリー内に足を踏み入れると,いわゆる“東京五方面”の各線区について,現在走っている電車と過去の車輛,それぞれにちなんだ1/20模型,床近くには,それぞれ3問ずつのクイズが用意されている.どこかで見たことのあるような……と思ったら,この春に催された“ふたつのスタート”展では,大人の目の高さに詳細な解説が,床近くには北陸新幹線や上野東京ラインの車輛が走り回っていたのだった.

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画面左から中央快速,京浜東北,上野東京ライン・湘南新宿ライン・横須賀総武直通…常磐と続く.画面中央で“休息中の黒い人”は,乗務員の自動起床装置実演用のお人形であった.

自動起床装置は,もう半世紀近くの歴史を持つ装置だけれど,改良を重ねた現在のバージョンは,実に静かに,しかし確実に乗務員を目覚めさせてくれる.
  その裏手には,“運転士と車掌の仕事を見てみよう!”と題した,乗務員の勤務の実際を紹介する.僕たちにとっては当たり前のような,“泊り”や“明け”な どのサイクルの様子が,実にわかりやすく説明されている.珍しく異常時の対応なども詳しく解説されている.このようなアピールは,もっともっと積極的に行 なってよいのではないかと,改めて思ったことである.

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壁面には運転士と車掌のスケジュールが表になっており,手前のケースにはいわゆる“七つ道具”の現物が並べられている.実にさり気ないような展示だが,これらの現物を間近に見るチャンス,実は,なかなかない.9月までの会期中には,さらに展示物が増えるかもしれない…….

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その隣りには,101系…モハ90000というべきかとE235系量産先行車の客室が原寸大で比較されている.寸法だけではなく設備品や各部の見付けなど, 半世紀を経ての変化が一目瞭然.まったくもって解りやすい展示.企画展会期中のみならず,館内のどこかで常設展示してもよいのではないかと思うほど.

会場内にはまだまだ“仕掛け”がたくさんある.見通しのよいレイアウトだものだから,あっという間に見終えてしまいそう…という第一印象とは裏腹に,子供そっちのけで,あるいは大人だけでも存分に楽しむことができる,今回の企画展であった.

■ 会期:2015年7月4日(土)~9月27日(日)
■ 会場:鉄道博物館(電話048-651-0088)2階 スペシャルギャラリー
■ 入場料:鉄道博物館の 入館料のみ
※鉄道博物館の入館料は  一般1,000円 小中高生500円 幼児 (3歳以上未就学児)200円
■開館時間:10時~18時(入館は17時30分まで)
■休館日:毎週火曜日および年末年始(春休みや夏休みなど学校の長期休業中の火曜日は開館する場合がある)

※ここに掲載した写真は,報道公開に際し,このブログに掲載するために予め許可をいただいて撮影したものです.会場内は撮影禁止です.