3月14日の土曜日,JR東日本で“上野東京ライン”の営業運転が始まった.
 先週のここ鉄道博物館での“ふたつのスタート”展でも記した通り,この線路は,単なる東北本線の線増なのだけれど,実際はどうなのか.開業日もその翌日も仕事に追われ,17日の夕方になって,ようやく接することができた.

MT-20150319-1
こ の日は札幌行の“カシオペア”が運転される日.ということで鶯谷のホームでお見送り.“北斗星”が臨時列車化されたのを知ってか知らずか,ダイヤ改正前と 同じ表情で,地平ホームからの上り勾配を力強く加速しながらやってきた.牽引機のEF510-509は,昨年春頃以来の,久し振りの再会だった.

続いて上野駅地平ホームの表情を観察すべく13番線へ.折りしも上野止めのE531がやってきたが,こんな使い方,ダイヤ改正前からやってただろうか…….
 地平ホームに発着していた常磐線の特急は,ほとんどが高架ホームへ移って,しかも品川折り返しに変更されてしまい,そればかりか,各線の普通列車も大半が上野発着ではなくなった.なんだかちょっと閑散としているように感じたのは気のせいばかりではないと思う.
 そして高架ホームへ上がると,今度は一転して,次から次へと列車がやってくる.しかも案内板には,“熱海”だの“伊東”だの“平塚”だのという駅名が次々と表示される.

MT-20150319-2
上野駅コンコースの上野東京ラインと常磐線の案内表示板.常磐線の上の始発列車は2本に1本だけ.画面にはみえないが,その左の東北本線に至っては,6本表 示されている列車のうち,始発は2本だけだった.そういえば,この“始発”表示も,上野駅では上野東京ラインの開業に合わせて追加されたもの.これまでは “上野始発”が当たり前だったのだから.

MT-20150319-3
上野駅のホームで列車やお客さんを観察していたら,E231系とE233系を組み合わせた列車がやってきた.これまでは,少なくとも営業運転では行なわれていなかったはずだから,この改正からのことなのだろう.

そしていよいよ上野東京ライン初体験.
 乗ったのは小山車両センター配置のクハE230-8025.もちろん運転台のすぐ後ろにかぶりつき.平日の夕方とあって,一人占めこそ無理だったものの,前面展望を体験するには充分なスペースを確保することができた.

とにかく“よくもまぁこんなスペースに線路を敷いたもんだ”と,ただただ感心.とりわけ,神田駅横の“頂点”から日本橋川に架かる常盤橋に向けての,30‰以上の勾配が壮絶.原因は日本橋川の上を走る首都高速道路.これさえなければ…….
 そういえばこの高速道路,日本橋の景観を取り戻すために高架をやめて移設するという構想があったけど,どうなったのだろう.実現していれば,もうちょっと緩やかな勾配にできただろうが…….

MT-20150319-4
東京駅7,8番線の北端から神田方面を見る.強烈な勾配と線路の曲がり具合から,敷設の苦労をしのぶことができる.デジタルズームを使った粒子の粗い写真だけれど,却って迫力満点になったと思う.

東京駅では,これまで東京駅では見ることのなかった“籠原”や“宇都宮”“高崎”などの駅名が新鮮だった.加えて常磐線のE231系やE531系も頻繁に姿を見せる.
 で,乗ったのが取手からのE231系.でも東京でも新橋でも,誰も乗らない.ちょっと不思議に思ったのだが,考えてみれば,いや考えなくても当然.品川行きなんだもの.

そ うして品川.つい先日まで大々的に行なわれていた線路移設がようやく一段落した10番線に到着.折り返しの常磐線電車は隣りの11番線も使い,そして特急 は9番線で折り返し.3本も線路を使っている…….中間駅と化した東京や上野に対して,品川は新しいターミナル駅になった感じ.

MT-20150319-5
品川駅での“取手行き”.慣れるまでにしばらく時間は掛かるだろうが,既に乗客は多い.特急“ひたち”と“ときわ”のE657系を含めれば,3種類の常磐線用電車がやってくる.なんだか品川駅が常磐線の始発駅になってしまったような

ということで,ほんの数時間接しただけの上野東京ラインだったが,なんだか,とてつもなく大きな変化がおこりそうな予感がする.長い目で観察を続けたい路線…ではないのだけれど…である.