毎年秋恒例の,ドイツ,ニュルンベルクからのお客様が,今年も来日された.シュピールヴァーレンメッセ組合(Spielwarenmesse eG)社長エルンスト キック(Ernst KICK)さんである.

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シュピールヴァーレンメッセ社長 エルンスト キックさん.見本市運営に携わって30年近く,ニュルンベルクでの社長職も10年を越したベテラン.

プレスコンファレンス“ディアログ”には,大勢の報道や出展関係者が参加して,10月7日に六本木で催された.ちなみに昨年はドイツ大使公邸で開催され,その模様は10月5日のここで速報,本誌12月号Coffee Cupでも,ドイツ観光局の話題を交えてお伝えしている.
 ちなみに,今年の4月には,この見本市の名称をドイツ語と英語の併記からドイツ語に統一することとなり,日本ではカタカナでシュピールヴァーレンメッセと定めたと案内されたので,ここや本誌での表記も,以後,変更となる.
  さてその内容は,来年に向けてのコンセプト解説や,事業報告など,いつも通りの進行.具体的には,2013年の来場者数は72,595人,出展社数は 2,747社.人数ベースで56%,出展数ベースで71%が,ドイツ以外の国や地域からの参加だったという.ちなみに日本からは27社が出展し,877人 が参加している.ただしこの数字には,現地法人は含まれていない.あくまでも“日本の法人が出展申し込み”を行なった数である.現地法人や現地代理店から の参加を含めるとどのぐらいになるのか,それは把握されていないので,現在,改めて集計中とのことである.
 来年は1月29日から2月3日までの 6日間の開催となるが,昨年の報告にあった新ホール“3A”が完成するため,約9,000平方メートル拡大して約170,000平方メートルとなる.コレ に伴って,場所が移動する製品カテゴリーもある.また,これまでは見本市の対象となっていなかった乳幼児向けの用品も扱う.これで全ての年齢層が対象の見 本市となったわけである.鉄道模型は4A.

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会場見取り図.新しいホール3Aは右上,赤い大きな矢印がある建物.地下鉄の“見本市(Messe)”下中央やや左にある.4Aは3Aのすぐ隣.その隣は工作模型の展示館7A.

僕たちにとって最大の関心事は,やはりドイツと欧州大陸での鉄道模型業界の動向.
 個別の質疑応答のチャンスに,キックさんが答えてくださった内容は,以下の通り.
 まず,動向としては好景気ではない.しかし,前年並の実績を確保できていれば,現在の鉄道模型業界としては,よいといえるのではないか.それは,マーケットの高齢化などが顕著であり,新規顧客の増加が鈍いのが理由.よくいえば成熟している,ということになるだろうか.
 中・東欧圏,とりわけハンガリーあたりは,引き続いて有望な新マーケットであり,同時に生産拠点としても注目されている.この地域の人たちの“ホビー”への関心度は,極めて高い.とりわけ,“物作り”が大好きであるようだ.
 さらに今後はロシアもマーケットとなりうる可能性がある.モスクワで開催している見本市の数字は,10%単位でアップしているから,
 生産拠点といえば,中国大陸への依存度は一時期に比べて低下している.それは物理的な距離のほか,意思の疎通の難易度が高いことが明らかになってきたということが,理由として考えられるだろう.

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コンファレンス会場全景.コンファレンス終了後,おなじみの方や初めての方などとの歓談の場も設けられて,思い出話や将来のことなど,さまざまな話に花が咲いた.