昨年は10月6日の,一昨年は10月21日の,そして2009年は10月15日のここでお伝えした,毎年恒例の,ニュルンベルク国際玩具見本市のプレス・コンファレンス.
 最近2年間は会場が六本木のビルの51階だったのだが,今年,在日ドイツ商工会議所から届いた案内には,港区南麻布4-5-10…という住所が記されていた.これだけでピンとくる人は,よほどのドイツ通.
 ご存じでない方も,地図を検索してくださればすぐ判る,ドイツ大使館.正確にはドイツ大使公邸で催されるという.なんとも驚きの設定である.
 地下鉄広尾の駅から,有栖川記念公園横の南部坂を上る途中にある,大使館は一般公開の日にお邪魔したことはあるものの,その隣の公邸は,外から眺めるだけで訪問のチャンスなどおいそれとあろうはずもない.
 という,そちら方面への興味と関心もあって,本日,追い込み週間であるにもかかわらず,お邪魔してきた次第.

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立派な門から,それこそ冗談ではなく長い道程を経て辿り着いた大使公邸.凝った装飾はないけれど,シンプルな中に暖か味を感じさせてくれる建物だった.

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歓談するキックさん(画面左)と駐日ドイツ連邦共和国大使フォルカー・シュタンツェル博士.大使に片言のドイツ語でご挨拶したら,返答は流暢な日本語だった

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広間で繰り広げられるプレゼンテーション.増え続ける出展希望会社に対応するために新築中のホール3Aについての説明中.床面積約9000平方メートルのこのホールは現在工事中で,2014年には完成する予定.

さて,ブエノスアイレスから32時間を要して日本に到着したばかりのキックさんのプレゼンテーションは,主に2013年のテーマとして,デジタル・ネイティブ世代への対応が説明された.
 子供向けのタブレット端末やその端末のためのアプリケーション,その他のデジタル玩具の全てを特設ブースで展開し,実際に遊んでみることによって今後のデジタル玩具の将来を探ることができるようにするという.
 “デジタル玩具”と,キックさんは表現したが,鉄道模型にも無縁ではない.それは,例えば本誌に好評連載中の“ABC of DCC”などをお読みになっていれば,すぐ理解できようし,欧州型製品に馴染みぶかい読者なら,商品展開で身をもって感じておられることだろう.
 その他,鉄道模型に関するもっと突っ込んだ話も出てきたが,詳しくは,ちょっと間が開いてしまうけれど11月発売の12月号まで,楽しみにお待ちいただければ幸い.

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プレゼンテーションのあと,カクテルレセプションがテラスで催された.ここで挨拶するのは,日本へ着任したばかりの公使ルッツ H. ゲアゲンス博士.

ゲアゲンス公使は挨拶の中で,同じように鉄道が発達している日本とドイツで,鉄道模型でもジョイントベンチャーを企画すれば,きっとうまくいくだろうと,キックさんに対してユーモアたっぷりの提案.
 おや,と思って,個別にインタビューしてみれば,ゲアゲンスさんは子供のころ,鉄道模型を買って欲しくてしょうがなかったのだけれど,親は与えてくれなかったのだとか.でも,鉄道が好きなのは今でも変らないとのこと.
 もっと話しをしてみたら,生まれはデュセルドルフとのことで,“僕が1974年に初めてドイツへ行った時,最初に泊まったのがデュセルドルフでした”と話ししたら“それは偶然だ!僕も1951年に初めて泊ったんだよ!”と.通訳のお嬢さんが目を白黒させる応対であった.

ということで,“いつもの”プレスコンファレンスと,“初めての”ドイツ大使公邸訪問の速報であった.