またもや写真展.今度は,今や大ベテランといえる,諸河 久さん初の個展である.
会場は品川駅港南口徒歩約10分にある,キヤノンギャラリー S.会期は7月5日から8月9日までだから,既に会期の半分を過ぎてしまったが,まだまだ充分に見に行っていただける時間はあると思うのでご紹介する次第.

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会場入り口の壁面には,超特大のプリントが来訪者の目を驚かす.写っているのは神戸市電や函館市電.組立暗箱で撮影された鮮明な形式写真である.

広い会場は日本の路面電車で埋めつくされている.諸河さんの地元である東京の中央区……例えば銀座界隈の半世紀前の風景が中心だけれど,昭和40年ごろに日本を走っていた路面電車は,ほぼ網羅されているように見える.
 そしてすべての写真から,“路面電車大好き”という撮影者の気持ちが,いやでも見るものに伝わってくる.

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諸河さんの写真に欠かせないのは,やっぱり銀座の都電風景.大きな縦位置の写真は,当時,七丁目にあった銀行のビルにあがらせてもらって撮影したものだそう だが,ここに写っている建物は,いまはもう,ほとんど存在しない.画面右下隅には,古いジャズファンには懐かしい“ACB(アシベ)”の看板も見える.

とはいえ,この写真展は回顧展ではない.今も変わらぬ路面電車への熱意を具現化した作品も大切なポジションを占めている.
“だってさ,現役のフォトグラファーなんだから.なつメロだけじゃあ,つまんないでしょ.”とは諸河さんの弁.

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最近作もたくさん展示されていて,諸河さんの,今も変らない路面電車への愛情を感じさせてくれる作品に接することができる.写真は土佐電鉄のコーナー.

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昔を振り返れば,N電は撮れなかったし,静岡市内線も中学の頃に1枚撮ったっきりだったりで,“あと5年早く生まれてればもっと撮れたのに”と思うこともあるけどね.でも,“今”を,もっと撮り続けたいよね.”旧友,荒川好夫さんと語り合う諸河さん.

会  期:平成24/2012年7月5日(木)~8月9日(木)
開館時間:10時~17時30分
休 館 日:日曜祝日
所 在 地:東京都港区港南2-16-6 キヤノン S タワー 1階
電   話:03-6719-9021

※掲載した写真は,このブログのために,前もって許可をいただいて撮影したものです.