昨日,JR貨物が新型機関車2形式の概要を発表した.これは,かねて同社が事業計画などで製作を公表していた,青函トンネル通過用EH800と,山陽本線“セノハチ”の後補機用EF210-300番代である.

EH800 は,新幹線の新函館開業に際して架線電圧が変わることに対応するために開発された機関車.EH500をベースにし,交流25kV - 50Hzと交流20kV - 50Hzの複電源となっている.その他,保安装置としてデジタルATCを搭載,列車無線もデジタル無線装置を搭載している.
 塗色は赤を基調とし,車体全面及び側面中央に白のラインを入れ,波模様を描いた銀のストライプをからませたデザイン.

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EH800の完成予想図.シングルアームパンタグラフの採用と,EH500-901のような前照燈位置が目につく.写真:JR貨物

完成予想図から読み取ることができる情報は様々だが,まずパンタグラフがシングルアームになっていること,前照燈位置がEH500-901と同じ位置まで下がっていることに気づく.
 台車はEH500と同じようにみえる.
 屋根上機器は,電圧が高くなっているためかパンタグラフの碍子段数が増えていること,特高圧引き込み碍子が特大となっている.
 車体側面は,概ねEH500に似ているが,東芝の製造銘板取り付け位置が変更され,機関車番号のすぐ下まで上昇している.
 試作機としてのEH800-901が東芝から出場するのは10月以降の見込み.直流区間では走行不可能だから,受け渡しはEH500のような新鶴見ではなく,少なくとも郡山以北ということになるだろう.

EF210-300 番代はEF67の代替機として企画された機関車で,在来のEF210をベースとして,上り方連結器に新型のシリコン緩衝装置を組み込むなど,後補機用とし て最適化したものである.とはいえ,EF67と違い,普通に本務機としての運用にも組み込むことを可能にしているようである.
 塗色は青を基調とし,黄色のラインを車体側面の上部と中央に配したデザイン.
 
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EF210-301の完成予想図.車体色は現在のEF210の青より濃く見える.黄色のストライプは車体側面上部と中央やや下に入れられている.“桃太郎”のロゴも描かれている.写真:JR貨物

こちらはEF210そのものだが,やはり塗色の違いで印象は大きく変わるものだという実例.特に黄色のストライプのうち,下部は太さが異なるストライプを並べた,いわゆる“子持ち罫”になっていて,なんだか“北斗星”や九州寝台特急のグレードアップ編成を思わせる.
  完成予想図は下り方先頭になるだろう2エンド側が描かれているので,上り方がどのような装備になっているのかは不明である.今では“セノハチ”の補機も走 行解放を止めてしまっているから解放テコへの空気シリンダー取り付けなどなく,密着自動連結器を使った貨車も存在しないから連結器も普通の自連だろう.そ のあたりは,いまのところEF67の100番代のディテールから想像するしかない.
 こちらは,最初の1輛が9月3日に落成予定と公表されている.予想図には描かれていないが川崎重工製であることにほぼ間違いないだろう.

本線用の電気機関車としては,JR東日本のEF510-500番代以来,2年ぶりの新バージョン登場である.まったくの新形式としては,何年振りだろうか.本当に久し振りのことで,おおいに楽しみなニュースである.

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