この春は,いつになく新型車の話題が多い……とは,既に3月1日付で富士急6000系とJR貨物HD300量産機を紹介した時に記した.その後も第三セクターや京阪電車でも新型車が披露されている.京阪の13000系は先週のここで紹介したばかり.

そして今週はといえばつい昨日,営業運転開始を4月11日に控えて,東京メトロ銀座線1000系の試乗会が開催された.
 午前中は上野から中野富士見町の工場へ向けて沿線自治体や企業,住民の皆さんが招待されての試乗と報道陣への披露.
 午後が,一般公募(抽選)による小学生以下のこどもとその家族を対象として,中野富士見町の工場から上野駅へ向けて実施されたものである.

試乗会の途上では,赤坂見附の銀座線と丸ノ内線の渡り線や,中野富士見町から中の車両基地への入出区線という,普段通ることができない線路を体験することができたし,丸の内線内では各駅ともノンストップという,これも得がたい体験をすることもできた.

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四谷駅を“通過”する1000系試乗会列車.翌日放送されたNHKの映像によれば,お壕の土手の上には多くのファンが詰めかけてカメラを構えていたようである.きっちりと指差し確認で通過列車を見守る駅員さんの姿が印象的だった.

そ の試乗列車である第1編成の車内には,銀座線の歴史とともに,尾張町交差点……というと年齢を疑われるかもしれない……銀座四丁目にそびえる服部時計店の 時計塔や精工舎の歴史を綴ったポスターで埋めつくされていた.なんでも,デビューから当分の間,ギャラリートレインとして運転するのだそうだ.東京に生ま れ,育ち,そして生活する人には,思わず見入ってしまいたくなる好企画.

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幕板部の“銀座線駅物語”.室内燈のLEDは,この1000系のご自慢の一つ.

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対面には“セイコー ミュージアム”として精工舎…セイコーの製品史,そして和光の1階ショーウィンドウの記録に残るディスプレイの数々を纏めた“和光ショウウィンドウ美術館”と銘打ったポスターが.駅間の短い銀座線では,全部を読み通すのに苦労するかもしれない

到 着した中野富士見町の車庫では,外観の見学会と,報道陣に対する車輛内外の撮影会が催された.既に昨年10月には最初の報道公開が催されていて,本誌でも 11月号の“いちぶんのいち情報室”でその概略をお伝えしている.しかし,その公開時は生憎の天候だったので,改めて晴天のもとでの編成写真撮影を期待し ていたのだった.
 その車輛外板には,デビュー記念のステッカーが貼られていたので,いわゆる“ストックフォト”にはなり得なかったけれど,やはり太陽光の中で見る車輛は,一段と美しい.
 ということで,満足して,“とれいん5月号”の締切が待つ事務所へと戻ったのだった.

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ようやく晴天のもとで撮影できた1000系.今の01系もなかなか愛らしいが,ラッピングとはいえ色がついた車体は,眺めていて気分が落ち着く気がするのは,頭が古いせいだろうか.

なお,東京メトロのウェブには,1000系の特設サイトが公開されていて,営業運転開始以後の運転スケジュール(初日を除く)が公開されていたりもする.興味と関心のある方は,是非ご訪問を.

※東京メトロの施設内や車内では,三脚の使用や運行中の列車に向けてのフラッシュの使用による写真撮影は禁止されています(一般的常識ではありますが).ここに掲載した写真は,報道公開ということで許可されて撮影したものであります.

※2012.04.06:営業運転開始日修正

※2012.04.19:注釈修正