本誌12月号の“伝言板”でご案内した,東京高輪にある物流博物館の企画展“物流写真館-運ぶ風景の時代証言-”だが,最終日の12月20日になって,ようやく訪問することができた.
 この博物館自体にも興味はあって,行きたい行きたいと思いつつ果たせていなかったのだ.

MT-20111222-01
品川駅の高輪口から目の前の道を上りつめた先で左折すると,この愛らしい博物館が見えてくる.前身は日本通運の通運史料室で,平成10/1998年にこの地に移転したという.現在の運営母体は財団法人 利用運送振興会.

入 館料200円を払って展示室に入ると,目の前に鉄道,道路,海,そして空における各年代の“運ぶ風景”が展開されていた.軸になっているのは写真家である 花岡弘明氏の作品だが,そればかりでなく,さまざまな人が撮影した記録写真にも興味ぶかいものが多かった.例えば,変圧器輸送用の200トントレーラーが 鉄道の大物車そっくりだと感心したり,帯広駅の構内に配置された荷扱い用の設備施設が平面図と写真で展示されていて,合理的な物の配置というものを再認識 させられたり…….
 貨車への貨物の積み込み方や有蓋車の引戸の正しい開け方など,これまで知らなかったことも,もちろんたくさんあって,なぜもっと早くに訪問してこのブログで紹介しなかったのかと,悔やむことにもなったが.

MT-20111222-02
貨車への貨物の正しい積み方や,有蓋車の引戸の正しい開け方を示す写真.無蓋車の写真撮影場所が木次線の木次だったり,有蓋車の貨車がワム3500形であって撮影地が大分の佐伯だったりすることに,意味もなく感心してしまった.

企 画展を見終えてから,常設展を見せていただくために地下へ.そこは“現代の物流展示室”と銘打たれていて,貨物荷物の近代的な運ばれ方が判りやすく展示さ れているとともに,道路,鉄道,船,飛行機での物流の様子を直感的に理解できるように,物流ターミナルの一日がパノラマ展示されていた.

MT-20111222-03
パノラマではEF210が牽く石油タンク車やDE10が牽くコンテナ列車も走っていた.この他に16番でEH200やEF66の牽くコンテナ列車も展示されている.

そ して2階は映像展示室と図書コーナー.昭和36/1961年の東京都内で荷物を各家庭や会社へ配達する人の一日というスライドショーでは,50年前の東京 の様子を顧みることができたし,壁に展示されていた風呂敷の歴史では,風呂敷も物流の道具の一つなのだなぁ,と,ここでも感心することになった.

MT-20111222-04
風呂敷のさまざまな使われ方.こういうことも,マメに記録しておかないと,そのうち解らなくなってしまうかもしれない.

さ てこの物流博物館.次の企画展は2月11日から3月11日まで開催される“達人写真館 新幹線輸送を撮る!”.これは,鉄道車輛…とりわけ新幹線車輛の陸 送風景の写真展であるという.なおこの“達人写真館”というテーマでは,物流に魅せられていろいろな趣味を極める人を,順次紹介することになっているとい う.大いに期待したい.

※ここに掲載した写真は,事前に博物館の許可を得て撮影したものです.
※物流博物館,年内は12月20日で終了し,常設展は1月5日から公開とのことである.