来る10月1日,東急バスが電鉄のバス部門から独立して20周年を迎えるという.
思えば創刊間もないころの“とれいん”では,他に先駆けて路線バスの話題を積極的に採り上げていた.当時,仕事を手伝ってくれていた小林 悟さんと上野和秀さんが積極的に題材を集めてくれたお陰で,路線バスのページを組むことができていたのだった.
その頃は現役としてのボンネットバスが最終期を迎えていて,東京23区内で最後まで残ったボンネットバス路線と車輛を紹介したり,彼らと一緒に奈良交通の
営業所を訪問したこともあった.僕自身も単独で湖西線の堅田駅前で,江若交通の“途中行き”という,知らなければ訳のわからない行先のボンネットバスを記
録したりした.
だから,トミーテックの“バスコレクション”にも,抵抗を持たないどころか,共感するところ大だったりもする.
その“バスコレクション”や“トミカ”として東急バスの限定製品を発売すると聞いて,久し振りにちょっと胸踊ったりもしているところ.
その製品は,“とれいん”の10月号(書店では21日発売です.台車の大特集号で,定価1980円です)の146頁で紹介しているので,ぜひともそちらをご覧いただくことにして,ここでは“いちぶんのいち”の20周年記念塗装車をお目に掛けることにした.
5台勢揃いした記念塗装車.手前から二代目観光バスカラー,初代観光バスカラー,都市間急行バス“MILKY WAY”カラー,先代路線バスカラー,そして観光バス現行カラー.写真すべて東急バス株式会社提供
こ の記念塗装車の凄いところは,鉄道車輛のような“塗装変更”ではなく,すべて新車で用意したことだろう.鉄道車輛に比べて使用期間の短いバスでは,現役と しての使用中に塗装更新を行なうことが少ないわけだが,普通なら,最近流行の“ラッピング”を思いつくところ,今年度新車の中から5台をそれぞれの色に仕 上げたのだった.東急バスの心意気やよしである.
先代の路線バスカラー.AO 1130.現行のデザインに似ているが,“フェンダー塗り”の面影を残す腰の水色と,赤ストライプ上下のオレンジ(注:正式には黄色とのこと)が特徴.青葉台営業所配置車.
こちらは観光バスの初代カラー.SI 1126.日野製.意外に地味だったのね,というのが改めて見ての率直な感想.先代路線バスカラー車と同形(注:同形ではなく,こちらは全長9m以下の中型車,AO 1130は全長10m程度の大型車とのこと).下馬営業所配置.
今回の記念塗装車の中で唯一の長距離仕様.空港路線や深夜急行に使われる.NI 3175.三菱ふそう製.新羽営業所配置で,かつての都市間高速バス“MILKY WAY”を再現している.
あとの2台のうち1台は現行の観光バスカラーに装われたNJ1153(虹が丘営業所配置のいすゞ製).もう1台は二代目の観光バスカラーを再現したH1179(東山田営業所配置の三菱ふそう製).
これら5台の記念塗装車は8月11日から順次営業運行に就役しており,早くも沿線のバスファンから注目されているようである.
東急バスでは10月以降,さまざまな記念イベントを予定しており,また,記念グッズも企画しているようで,当分の間,目を離すことができない.同社ウェブサイトのほか,“とれいん”誌上でも告知されることになっているので,どうぞご注目を.
色と車体の大きさについての注釈追加