9月2日付けのこのブログで,門鉄タイプの切り取りデフレクタを装備した,秩父鉄道の(そういえば,正式の所有者は秩父鉄道なのだろうか,それともJR東日本なのだろうか……)C58 363の姿をお目に掛けた.
  デフレクタの後ろの柱が少し傾いていて,正当な門鉄デフとは趣が異なっているのが,僕には少し気になっていたのだけれど,10月に入って,また新たなデフ レクタを装備したという報が入った.その姿は,本誌12月号の“いちぶんのいち情報室”に写真を掲載しているので,ご覧になった方も多いだろう.
  僕の声が届いたのかどうか,今回は後ろの柱もちゃんと直立している.デフレクタ本体の形も先のものとは異なっており,前端上部が斜めに欠き取られてい る……すなわち,“本物”の世界でいえば,従来のデフレクタの一部を活用して改造したタイプということになる.僕の記憶に残るのは,D51 833,C59 124やD52 333(写真で見ているだけだが),先のブログで挙げたC58 10も,そうだった.D51 833とC58 10は,後藤工場(現在のJR西日本 後藤総合車両所)で改造された後藤デフだから,門鉄デフとはプロポーションが全く異なる.
 数ある門鉄デフ の中でも,関 崇博さんの分類で“K9”と命名されているこのタイプの門鉄デフは,先に挙げたC59とD52のほか,C57 196やD51 783,924,48695,そしてC58 112が装備したとされている.このうち48695はC59からのおさがりということだから,実質的は6組だけしか存在しなかった,レアな存在ともいえよ う.
 さて,では出掛けてみようかと思っていたのだが,腰があがる前に,またもや荒木 徹さんが写真を送ってくださった.

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初冬の柔らかな日射しの中,永田と小前田の間を走るC58 363.この日のナンバープレートは,形式標記なしの小型版だった.平成22/2010年11月27日 写真:荒木 徹

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広瀬川原の車庫で出発準備中の姿.朝日にボイラーとデフレクタが輝く.前回に引き続いてモノクロで仕上げられたこの写真からは,“本物”の香りが漂ってくる.写真:荒木 徹

そういえば,“本物”のK9デフレクタを装備していたC58 112は,昭和40年代後半まで現役だったのだから,12系客車との組み合わせは,現実にも存在したかもしれない.こうやってモノクロで見れば,全く違和感なく“現役”と言い張ることもできるわけだ.

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あす12月3日は“秩父夜祭り”.C58 363も今年最後の一般営業運転を特別に行なうことになっている.無事に走り終えて,来シーズンもまた元気な姿を見せてくれることを祈りたい.武州中川-武州日野 写真:荒木 徹