絵本で見た不思議な地下鉄といえば,トンネルから顔を出すというのはお茶の水と同じながら,大きな広場を横切って行きつく先が,立派なビルディング,広場には緑とクリーム色に装われた路面電車がたくさん停まっている……という風景もあった.
 今ならすぐに場所を言い当てることができる.渋谷の東口である.

僕が実際に触れるようになってから,渋谷駅は2度の大変身を経験している.
 最初は国鉄駅での貨物扱いの廃止とその跡地への“新駅”建設.二度目は東急電鉄東横線の地下化である.
 東横線の地下化によって,横浜とわが練馬区は1本の電車で往来することが可能となり,便利度がとても向上したというのは,既に何度もここで記した.
 以来3年間,地上駅の撤去と,それに伴う周辺の再開発は,今なお盛んに行なわれている.
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3年前に,ウチの脇が撮影した地上駅最終日のブログ掲載写真と,同じ歩道橋から見た,今年4月末の風景.変ったのは東横線の駅だけではない.背景の東横デパート東館も姿を消し,広場上空を横切っていた歩行者用通路も見えない.再開発工事真っ盛り.
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東横線渋谷駅の南側,渋谷川沿いの廃線跡.ここも再開発の対象.

東横線の駅跡地には,JR東日本の埼京線や湘南新宿ライン用ホームが貨物跡地から移ってくることになっている.それとともに,山手線のホームは現在の2面2線から1面2線の島式に改められる.
 東京地下鉄銀座線の駅は,デパート内から東口広場の上空に移動することになっている.そのために,線路は現在より少し南側に移動するので,そのための新しい高架橋の建設がたけなわである.新しい駅は1面2線の島式となり,現在のような乗車ホームと降車ホームの区別はなくなる.なお,その先にある車庫(上野検車区渋谷分室というのだそうだ)は存置されるようで,完成予想図によれば,北側の線路がホームの西側へ伸びている.
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新旧の高架橋を一望できる場所は……渋谷ヒカリエから,というのが最高.この日は仕事の帰り道だったので,まったくの逆光になってしまったが,お昼ごろなら,ほぼ順光で撮影できるのではないかと思う.銀座線電車の屋根上を観察できる絶好のポイントでもある.

地下鉄駅の場所が新しくなっても,車庫がなくならないのなら,鉄橋はそのまま残るのだろうが,山手線と地下鉄の乗り換えのための陸橋…跨線橋は多分新しくなるだろう.この跨線橋は古くから存在していたはずだけれど,でも見た目はそんなに時代がかっているように思えない.
 絶え間ない人の波を遮って(交通妨害でごめんなさい),ようやく銘板を読むことができた.それによれば昭和30/1955年の東京鐵骨橋梁製作所(平成9/1997年に東京鐵骨橋梁に社名変更)製であった.

なお,山手線の渋谷と恵比寿の間にあった,東横線の立派なトラス橋は,平成26/2014年夏から秋にかけて撤去工事が行なわれ,現在ではほとんどその面影を残していない.
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一部にリベットが残るものの,主体は熔接構造.昭和30/1955年製ということは,もしかしたら山手貨物線の電化時に架け替えられたものだろうか…でもそれは昭和29/1954年のはず.さて.
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跨線橋に併行して掛かる地下鉄のプレートガーダー.こちらはさすがに時代がかっているが,土木学会の歴史的鋼橋集覧には収録されていない.でも多分,昭和13/1938年の地下鉄開業時のものだろう.

ちなみにこれらの工事,貨物線上のホーム移転は平成32/2020年春,銀座線ホーム移設は平成33/2021年に完了の予定.
 工事はそのあとも続き,西口東急プラザ(メルクリン専門店レオが入居していた,僕には懐かしい思い出のビル)の跡地などを含め,幾つもの高層ビルが建設され,それらが完成するのは,平成39/2027年であるという.渋谷駅とその周辺の“変身”は,当分の間続くことになりそうである.