三連休の週末,皆様いかがお過ごしでしたか? 私も普段の週末は平日にできない雑用やら洗濯やらで,なかなか家でゆっくりビデオなど見る時間がないのですが(というよりビデオを見ると,すぐ寝てしま う…),久々に連休で落ち着いた時間が持てたので,しばらく前に買い込んであったビデオテープを見ることにしました.
HS-20090720-01
写真はアメリカの自然科学雑誌として知られるナショナル・ジオグラフィックが出しているビデオです.ブッ○オフに大量に放出されていたものを見つけて,面白 そうなものを拾ってきました.科学雑誌がインドの大鉄道?? と,ちょっと訝りながら手にとったのですが,値段も安かったので… VHSだし.ところが見てみると,インドの鉄道の成り立ちをなかなか端的に伝えていて興味深いものでした.
 インドに鉄道をもたらしたのは,19 世紀にこの国を支配していた英国だったのですが,その伝統が1947年の独立以後も妙なかたちで生き続けていて,例えばボンベイにいる局長が地方の現場を 視察するのに,豪華なインスペクションカーを繰り出して,まるでお殿様の大名行列のようなことを大真面目にやってたりするわけです.
 また“ブ ラック・ビューティー・コンテスト”と称する,蒸気機関車の整備コンテストがある(あった)そうですが,性能や安全面を競うのはもちろん,機関車のそこか しこに派手な装飾が施され,煙室扉に象の鼻みたいなものまで付けたりするセンスがいかにもインド.ブラストに合わせて鼻から勢い良く水が噴き出すというオ マケまで付いてます.
 もう一つなるほどと思ったのは,インドには英国からの独立以前にマハラジャが統治していた地域が多くあって,そうした地方 にはかつての王侯貴族たちが走らせていた“宮殿列車”や,マハラジャが自分の領地に敷いた鉄道が今でも残り,地元民の誇りとして生き続けているのだという こと.
 インドの鉄道といえば,ブロードゲージの鉄道が広大な原野をノンビリ走っているという印象しか持っていなかったのですが,これを見てイン ドの鉄道が昔も今も物心ともに国家を支える重要な柱となっていることを理解しました.1995年の製作なので最新の事情を伝えるものではないですが,とて も面白いドキュメンタリーですので,図書館などで見かけたら是非見てみてください.

HS-20090720-02
さて,インドにまつわる映像をもう一つ.“インド夜想曲”という1989年のフランス映画で,アントニオ・タブッキの同名小説を映画化したものです.
  失踪した友人を訪ねて主人公がボンベイ,マドラス,ゴアを訪ねる…… という筋書きは正直どうでも良いものなのですが,行き倒れや薬物中毒者など,助からなそうな人々を収容した貧民街の病院の光景や,山深いヒンズーの洞窟寺 院など,諸行無常な映像がいかにもおフランスなセンスで淡々と流れる,とてもユニークな映画です.
 観ているうちに自分がインドを彷徨っているか のような気分に酔ってくるので,無常観に浸りたい時にはとってもおすすめ.鉄道は旅の車中のシーンがちょっと出てくるだけですが… これも少し前の作品なのでレンタルで探すのは難しいかもしれませんが,見かけたら是非ご鑑賞あれ.