JAMコンベンションの呼び物の一つが、クリニックです。昨年夏のコンベンションでもさまざまなジャンルのクリニックが行われ、いくつかを私も聴講しました。その中で、一番インパクトの強かったのが、今野喜郎さんの「蒸機工作のABC・フレームとロッドを作る」でした。
 数々の古典蒸機をスクラッチビルドで完成させてきた今野さんですが、私自身はこれまでに取材などの形で技法を聞く機会もないまま過ごしていたので、JAM事務局のボランティア仕事(といっても、迷子案内ばかりなのですが)を放り出して、参加しました。
 先ず驚いたのが、聴講者の面々。顔見知りの方もいれば、初対面ながらその高名を古くから存じ上げている人など、まさにきら星のごとし、でした。
 それはさておき、このクリニックで私が一番ショックを受けたのは、「寸法をノギスの先を削った罫引きで取るのは、誤差のもとになるし、それ以上に大切な測定器を傷つけるという、良くない習慣のもとになる」というところでした。
 私など、「とれいん」誌でもノギスを罫引きに使うことを紹介してきたので、ちょっとショックだったのですが、今野さんがそれに変わる手段として取り出した測定具を見て、考えをすっかり変えてしまいました。
 それがハイトゲージです。写真でごらんの通りの姿で、ベース面からの高さを測るのが目的ですが、その測定面先端に焼きの入った刃物がついています。これを使って、工作物上に寸法をケガくのです。
HK-20090422
 私も以前からハイトゲージの存在は知っていましたが、今野さんの説を聞いて、自分がほとんど工作しなくなっているにもかかわらず、寸法取りはこれからハイトゲージだ、と心に決めてしまいました。
 東急ハンズやホームセンターなど、私が普段行くところでは、16番の製作で必要と思われる30センチクラスのものがありません。インターネット上で検索したら、この種の工具専門の通販ショップがあるんですね。値段も比較的安く、ネットの気軽さもあって、30センチクラス、デジタル表示のものを注文してしまいました。価格5万5千円余り、昨今の量産蒸気機関車モデルぐらいのプライスです。
 えっ、使ってどうだったかって?
 それは、次回のお楽しみに…