先だって、とうとうアメリカ本土でもコダクロームの販売が終了したという報道があった。日本でもフィルム売り場はカメラ店の奥の方に追いやられ、なにか秘密のものを分けてもらうような雰囲気になりつつある。
  とれいん誌は1980年代から「電算写植」を使用し、また誌面のデザインをコンピュータ上で行うDTPも、90年代末から本格的に取り入れてきて、データ デジタル化の恩恵には早い時期から浴してきたのだが、銀塩写真がこんなに早く「マイナー」なものになろうとは10年前には予測することはできなかった。
 本誌に掲載される写真も、編集部での撮影はほとんどデジタルカメラを使うようになり、リバーサルフィルムの仕上がりをチェックするビューワーの出番はほとんど無い。
 デジカメはデータが電子化することが一番のメリットだが、模型を撮影するときの利点として、撮影感度が高い、フィルム面に当たる撮像素子の面積が小さく被写界深度が深くなることもあげられる。
 拙宅に持ち帰った「阿寒鉄道」、久しぶりに広げてみて、デジカメで撮影を試みた。
 カメラはキヤノンのPower Shot G7。もう3年ほど前のモデルであるが、露出、ピントともにマニュアルモードがあるので買ったものである。ただし、最大絞りは8までしかない。
 プラットホームに編成を停車させ、レール面に直接カメラを置いて撮影してみたのが、この写真。絞りが8までしかないので後ろの方がぼけてしまうが、遠近感などは自然な感じに仕上がっている。
HK-20090826-01
  もう一つのサンプルは、いわゆるデジイチのニコンD300を、やはりレール面に直接置いて撮影したもの。レンズはシグマの18-50mm F2.8である。f18まで絞ったのでさすがに綺麗に写っているのだが、レンズ中心高さがキヤノンの26mmに比べ、50mmと高い位置にあるので、脚立 の上から撮影したような構図になってしまった。
HK-20090826-02
 実際の鉄道写真に似た構図を得るためには、できればレール面上20mm程度のレンズ中心のカメラで、最大絞りがf16以上あるようなものがあれば、かなり実感的な写真が撮れるのだろう。次のコンパクトデジカメを買うときの、一つの選択基準ができたのかもしれない。