鉄道総研では,毎年夏の終わりに“技術フォーラム”と題した,同所の成果発表会を行なっている.いつも郵便で案内をいただくのだが,この数年はなかなか都合が合わなくてご無沙汰になっていた.しかし今年はなんとか都合をつけて,今日の朝から夕方まで,鉄道の新技術に浸かってきた.
 このブログをお読みの多くの方は先刻ご承知かと思うが,今は財団法人となっているこの鉄道総研,元は国鉄の技術研究所であり,第二次世界大戦が終わって間もない昭和24/1949年(だったと思うが)にこの地に来るまでは大井町にあって……と語りはじめると,それだけで本が1冊出来てしまう.今の鉄道総研のウェブには,諸般事情があるのか,財団法人化以降の歴史しか記されていないのが,ちょっと残念.

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この地に建設された当時は一面農地だった周囲も,いまやすっかり住宅地.エンドレスだった周回試験線路はとっくの昔に道路交通の支障になるからと分断され,かろうじて繋がっていた中央本線からの引込み線も,中央本線高架化計画ともなって切られてしまった.構内試験線路の直流1,500Vは,JR東日本から給電されているようだが.※朝は気が急いていて撮影し損ねたので,この写真は休憩時間に撮影したカット.“光線の向きがぁ”といわれる前にイイワケ.

さてこの技術フォーラム.秋に開催される,周辺に住んでいる人たちとの交流を目的とした“平兵衛祭”とちがって,純粋の技術発表会.でも,鉄道に関する事柄ならば何でも関心のある僕には興味津々.久し振りということもあって,各種展示やプレゼンテーション,講演会など,あちこちくまなくお邪魔してきた次第.
 その中から,趣味的に興味深い,いくつかの話題をご紹介しよう.研究開発の本質から外れたコメントもあるかと思うが,そこはそれ,ご理解いただければ幸い.
 各実験設備の見学ツアーにも,架線レス路面電車の最新の姿など興味のある題材がたくさんあったのだけれど,撮影禁止であったのが残念至極.

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最初に目に止まったのは“省保守・低騒音新型式軌道”.道床をコンクリートで形成してしまう“スラブ軌道”にはじまり,最近ではバラスとの混合で“変わり枕木”ともいうべきコンクリート枕木を採用した線路が増えているが,これもそのひとつ.レールの断面がこれまでの全く異なるが最大の特徴.完成した線路ではレールはほとんどコンクリートの中にあり,併用軌道のようにも見える.思ったのは“このレールがなにかに再利用されても,そうとは気づかないで見すごしてしまうかも”という危惧だった.開発の本質とは全く違う面での感想で恐縮だが.

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次は“集電系の高性能化と保守の高度化”.効率的な集電性能を得るために,パンタグラフの枠と集電舟との間に空気バネを仕込んだり,主軸に空気アクチュエータを組み込んでバネ圧を制御するなどの試みを見ることができた.そのうちのシングルアームパンタグラフには見慣れない形の集電舟が装着されていた.このまま実用化されれば,今までの集電舟の形というものの認識を改めさせられることになるだろう.

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最後は“自動沈下補正まくらぎ”.バラスを使った普通道床部と,スラブ軌道などレールが硬い材質の道床と直結されている軌道(橋梁部などを含む)との境界部では,局部的に路盤が沈下して線路の通りが狂うことが多い.それを自動的に補正しようと試作開発中の装置がこれ.枕木の下部に大きな筒を仕込んでいるのだが,その筒は二重構造となっており,内側には粒状の物質が詰め込まれている.そして内筒は枕木に,外筒は路盤に固定され,路盤が下がる……外筒が下がると粒状物質が落下して隙間を埋め,線路の沈下を抑止する.上を列車が通ることによって自動的に突き固めも行なわれ…….我が模型の組立て式線路にもこんな装置を組み込むことができれば,机や地面と線路との間にボール紙や木片やその他の材料を入れて調節する必要がなくなる……かもしれないのだけれど.