今月は,とれいんの8月号と同時にレイル69号が出荷される.

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今回のレイルの表紙.仙山線といえば忘れられないのが,各種交流試作電気機関車.美しいED45 1の写真は久保 敏さんの撮影.定価:本体3,600円+税 7月21日ごろ発売!

今回のテーマは仙山線.話しの発端は,もう数年以上前に遡る.仙台や山形に在住の趣味人とお目にかかった時のことである.汽車好きが集まった時の例に漏れず,話しはあちこちに拡散したのだけれど,やっぱりなんとなく仙山線というのは,こちらも地元の皆さんも気になる存在であって,気がつけば仙山線の思い出や現状に話題が戻ってくるのだった.“仙山線の本を纏めましょう”というのは,同席していた人たちの,暗黙の結論となったのだった.
 しかし,ことはそう簡単には進まなかった.資料は少しずつ集積されている気配はあったものの,最後の“えいっ”というきっかけを,みんなで掴みかねていたのだった,
 一転して気運が高まったのは昨年の春,久保 敏さんからの提案があってから.
“実は,鴨宮物語に続いて,学生時代の実習の思い出を書いてみようと思うのだけれど”と.
 このお話を,仙台と山形の皆さんに伝え,“1冊の本というのはハードルが高いけれど,レイルの1冊としてなら”ということになったのが,昨年の春頃のことだったろうか.
 久保さんの回顧録をいただいて,それを仙台・山形に回送したのが今年の初め.
 地元側のまとめ役は,“奥羽本線福島・米沢間概史”の著者であり,レイル62号で“奥羽本線 福島-新庄間及び支線区の機関車小史”の筆者でもある,進藤義朗さん.
 2月に入ってすぐのころ,進藤さんから届いた原稿を読んでビックリ仰天.これまでの,どのレイルの原稿も及ばない大作だったのである.“これならば,やっぱり1冊の本に……”と思いはしたものの,周囲の気運は完全に“レイルで”でまとまっているような感じであり,もう動かしようがなかった.
 せっかくここまで進んだにもかかわらず,春には当方のスケジュールの関係で,動きが少し止まってしまった.
 毎年恒例の,とれいん誌向けのニュルンベルク・メッセ新製品情報まとめだけならともかく,今年の春は,近鉄やJR東日本や京成や東京都電や,そして昨年から持ち越しの相模鉄道や……と,注目に値する新車が相次いで登場したものだから,その取材スケジュール調整や実際の撮影,資料の手配など忙殺されてしまったから.
 で,気づけばもう4月.手許に集まった原稿や写真を,どのように美しく纏め上げるかを考える時間は,ほんの少ししか残されていなかったのである.
 そんな,さまざまな制約の中で,しかし一所懸命纏め上げたつもりの“仙山線物語”.皆さんの感想を,いつものレイル以上に楽しみにしている,今の僕である.

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陸前白沢と熊ヶ根の間に架かる,有名な第2広瀬川橋梁の上で,長い棒をもって測定に勤しむ若き日の久保さんのお仲間.列車の窓から下を覗いただけでも怖いのに…….

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山寺駅に到着せんとする9600の列車.立石寺への階段から捉えられたこの情景は,地元のベテランファン,柏木璋一さんの撮影.子供の頃から憧れの人だった.“いつの日にか柏木さんの写真で本を作りたい”という願いが,ようやく叶った.

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山寺と山形の間の電化完成祝賀列車.この写真は山形の国鉄OBである松木寿雄さんの撮影.仙山線といえば,ついつい派手な交流電化試験区間を思い浮かべるけれど,こちらも忘れてはならない,貴重な記録.

ここでお目に掛けた情景は,本書の内容の,ほんの一部に過ぎない.7月21日ごろには書店や模型店の店頭に並ぶはずである.どうぞご覧いただきたい.店頭に見当たらない場合は,そのお店か,弊社あて,お申し込みいただければ幸い.もちろんサイバーとれいんでも扱うことになっている.(7月9日現在では未登録です.ちょっとお待ちください)