22日は午前中がプレスと特別招待者のみの開放だったから,ひとまず会場全体を一巡り.オリンパスカメラが
OMデジタルソリューションズと名前を変えているのは承知していたのだけれど,どう目を凝らしても
ペンタックスの名前が見えない.リコー名義なのかと思って目をこすりながら探してみても,ない.折りよく出会った知人に訊ねてみたら,去年も出展していない,とのこと.一般向けの販売を終了した645Zのその後や,
フィルムカメラ開発プロジェクトのことなど,いろいろお話を伺いたかったのだが.けれどまぁ,前回から7年も経っているから,ペンタックスに限らず,面識のあった担当者がまだ同じ部署におられるかどうか,ではあるが.
OM SYSTEMのロゴが大きく掲げられたブース.レンズは伝統のズイコーであり,コンパクトなサイズの撮像素子の恩恵による,フィルム時代のOM-1以来受け継がれている軽さは大きな魅力.
ニコンでは新形のミラーレスカメラを発表するという声も聞こえてはいたのだが,実際には“開発発表”すらなくて,ちょっと拍子抜け.もっとも,他のメーカーでも“えっ”という新製品の企画発表は,僕が巡ってみていた範囲では,あまりなかったような.
この会場で発表されたものではないけれど,ミラーレスカメラ用の新シリーズレンズ“PLENA”の135mm f/1.8 S.点光源の描写が美しく,滑らかなボケ味もすばらしいという評判.ということで試写させてもらった.僕が初めて手にしたニッコールの望遠レンズが135mmだったということで,ちょっと(かなり?)気になる存在.
デジタルカメラの進歩によって存在価値が問われている“中判”カメラだが,ハッセルブラッドでは約1億画素の907X & CFV 100Cを投入して新境地開拓の一歩を踏み出した.このカメラが,僕にとっては今回のCP+で最大の注目製品だったかもしれない.なにしろ,50年以上も墨守してきた組立暗箱と4×5判フィルムの組み合わせによる形式写真撮影が,フィルムの供給,価格,現像に要する時間などの諸問題から,“仕事”としては実用性が,ほぼ失われてしまっているから.問題は,その価格である.
伝統的なボディのスタイリングとウェストレベルでの撮影姿勢を維持していることが,なによりすばらしい.中国のDJIという,ドローンや空中写真機材を製造する会社の資金力を得て,今後,どのように進展するか.
中国の会社といえば,今回,
SIRUIとか
SAMYANGといった,中国系ブランドのレンズがたくさん展示されていた.7年前には考えられなかった光景であった.ニコンやキヤノン,ソニーやルミックスなど各社のマウントを用意し,純正レンズにないラインナップでユーザーの関心を惹いている.
SAMYANGのブース.ケンコー・トキナーが日本国内の販売を受け持っている.ケンコーといえばレンズフィルターの老舗ブランドである.カメラバッグや三脚なども撮影行には必要なアクセサリー.とりわけバッグは自分の条件に合致する製品を見極めるのが,なかなか面倒.耐久性は使ってみないと判らない.そしてさらに大切なのがアフターサービス.
日本国内のメーカー以外で,バッグ類を独立したブースで展示していたのがバンガード.折しも今日から4月末まで,同社の対象製品を購入し応募したユーザ全員にプレゼントキャンペーンを実施中とのこと.
デジタルカメラは,フィルムカメラの時代よりも出来上がる写真への関与が強い.だから(?)写真フィルム産業は衰退してしまったわけである.その代わりに大切な存在となったのがメモリーカード.
一時は米国や中国資本の会社に席巻されていたこの分野だが,東芝から分離した
KIOXIA(キオクシア)や
SUNEAST(サンイースト=旭東エレクトロニクス),
Nestorage(ネクストレージ)などといったブランドが勢力を伸ばしはじめているようだ.
そのうちのひとつ,ネクストレージブースでは,助川康史さんのプレゼンテーションが行なわれていた.
テーマは編成写真,流し撮り写真,鉄道風景写真,鉄道イメージ写真.どのテーマでも,構図の決め方が第一とはいえ,連写に耐える処理速度と高い信頼性を持つメモリーカードの選択も大切であると,制限時間一杯,語られていた.
プレゼンテーションといえば,キヤノンブースでは山崎友也さんが,キヤノンレンズの特性を生かした撮影譚や,オフィシャルパンフレット用写真の撮影にまつわる裏話などを語っておられた.そうそう,会場にはメディア関係のブースも設営されていた.大部分がカメラ関連出版社であるのは当然だが,僕たちにも馴染みのある名前も,見つけてしまった.
“旅と鉄道”.グッズ類ばかりでなく,写真集も販売されていた.
もうひとつが“鉄おも”.今や子供向けともいえない高度な趣味的内容に生長した雑誌である.残念ながら(?)本の販売はなかった.というところで,心地よい疲れとともに会場をあとにした僕だったが,せっかく,久し振りにやってきた横浜だもの.復路は根岸線経由にした.運がよければ根岸発着の貨物列車に遭遇できるから.
ということで,やってきたEF210-135牽引の石油輸送列車.大阪環状線を走る列車とともに,都会のど真ん中を頻繁に走る,今や貴重な貨物列車である.こうして今日一日を,幸せに締めくくることができた,僕であった.
会期は2月25日の日曜日まで.どうぞ事前登録の上でお出ましを.