モデラーな日々 とれいんスタッフブログ

月刊とれいんスタッフの,模型と格闘していたりしていなかったりする日々をお送りします.

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先週の土曜日,京都市交通局竹田車両基地で地下鉄20系電車への,鉄道友の会ローレル賞受賞式が開催された.
 ほかにも用事があったので現地を訪れたのだが,セレモニーだけではなく最新の第4編成についても観察することができた,というのが今回のテーマ.
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鉄道友の会の佐伯 洋会長から表彰状を受け取る門川大作京都市長.右に見えるのが,9月27日から営業運転に就役した第4編成.
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続いて柚原 誠副会長から記念盾を受け取った北村信幸管理者(公営企業管理者交通局長).
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賑々しく鏡開きも行なわれた.このあとの乾杯は,もちろん伏見の酒.

当初懸念された天候もまずまずの薄日模様で,なによりであった.

そして第4編成はといえば.

外観はこれまでの3編成と変りはないが,室内妻板鴨居部の装飾と,両先頭車に設けられている,おもいやりエリアの展示工芸が新しい.
 釘隠しは“京生まれ”をテーマとして,2234号車が蹴上発電所,2334号車が中央卸売市場,2634号車が映画上映,そして2734号車が駅伝.
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2334号車の中央卸売市場.これまでと同じ彫金による.
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竹田方先頭車である2134号車は京鹿の子絞.展示物の保護や耐久性の確保にはさまざまな工夫が凝らされている.
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限られたスペースに,コンパクトながら効果的なディスプレイにより京鹿の子絞の概要を知ることができる.

2834号車は京表具がテーマである.襖や屏風,そして掛け軸などを作り,そして保守する技術である.

これからも着実に10系電車を置き替えることになる20系.今後が楽しみである.

2023.09.29追記

そして今日の10時,鉄道友の会の島秀雄記念優秀著作賞の発表があった.その中で注目は特別部門の

『こんにちは京都市電―「京都市電関係資料」をひもとく』(京都市文化財ブックス第35集)

2021年秋に京都市歴史資料館で開催された交通局関係の史資料簿冊類が市の文化財に指定記念特別展の図録である.特別展の様子は本誌2021年12月号でご紹介した.
 僕もほんの少しお手伝いさせていただいたのだが,この種の図録としては異例の,大増刷が行なわれたことを耳にしていた.
 簿冊類が京都市文化財に指定されることになった直接のきっかけは,京都市電2号電車(いわゆるN電2号)の国重要文化財指定であろう.この電車に関してはレイルNo.116での“京都市交通局2号電車について”が受賞しているから,これまた異例の,同じ電車での2度目の島賞ということになる.

この9月,京都市交通局は新旧ともに,まことにめでたい秋となったことである.おめでとうございました.




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夏真っ盛りの7月に刊行されたレイルNo.127に,“暖房車”が大集合した.
 この“暖房車”,本線の定期列車で活躍していたのは昭和40年代半ば過ぎまでだたから,もう55年以上も前のこと.保存車があるわけでもなく,どのぐらいの関心を呼ぶことができるのか,実のところ大いに不安だった.そもそも,どのぐらいの分量の写真類が集まるか,まったく自信がなかった.
 直接的なきっかけは編集後記にも記した通り,佐竹保雄さんからの“暖房車の写真がたくさんあるんだが,活用できないだろうか”というご提案である.福田静二さんを通じてそのご意向を聞いてリサーチを始めたのは今年の初め…暖房車の活躍シーズンだっただろうか.

僕が暖房車という車輛を初めて見たのは,昭和43/1968年1月の天王寺駅だった.そういう車輛が存在すること自身は,機芸出版社から刊行されていた,片野正巳さんのイラスト集“陸蒸気からひかりまで”によって知ってはいた.知ってはいたが,天王寺などという身近な場所にいる,などという具体的な情報はなにも持っていない中学生だった.
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スヌ312.“天リウ”とある.“リウ”が竜華を指すということは,どうやらら既に知っていたようだ.でも,その日その時に乗ったEF52牽引の紀勢本線直通列車には暖房車は連結されていなかったから,使い道はわからなかった.それは今でも不明のままである.天王寺 昭和43/1968年1月5日 写真:前里 孝

この年の4月には米原機関区でマヌ34 20を見ている.なぜここに?という疑問はあったはずだが,そういう記憶はあまりない.ということは,交直接続区間で使っていたことを,知っていたのだろうか.でも,その時点ではEF70はもちろん,ED70にも電気暖房装置を取り付けていたはずだから,なぜ残っていたのか,大いに疑問ではある.

では暖房車はどこで使っているのか,それを知ったのは,鉄道ジャーナル誌の昭和44/1969年4月号だった.レイルに再録した列車追跡シリーズ“暖房車は走る 電化区間のカマ焚き列車”だった.筆者は平井憲太郎である.
 今回,鉄道ジャーナル社のご厚意により再録させていただけることとなり,トップに据えてみた.そうしたら,“あの記事に感激して中央東線に行ったです!”というお声が,たくさん聞こえてきた.僕以外にも同じことを感じた人がたくさんおられたわけである.
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新宿駅で発車を待つ中央東線夜行列車のマヌ34 5と牽引機EF13 6.“いつか暖房車のついた列車に乗りたい”と,“少年”の心を鷲掴みにした写真である.新宿 昭和44/1969年 写真:平井憲太郎

実現したのは2年後の春で,なおかつ.それが最初で最後の体験となった.

と,いう具合であるから,暖房車を“趣味的に”実体験できた人というのは,少なくとも還暦を過ぎた年代ということになる.冒頭の不安の理由は,そこにあった.

資料としての暖房車は,藤田吾郎さんとそのお仲間である豊岡 潔さん,小松重次さんが図面や表を駆使して纏めてくださった.佐竹さんの写真とともに,この稿がなければ,レイルNo.127は,成り立たなかった.

一方,活躍情景の写真は,藤田吾郎さんのコレクションに加え,僕自身でもアンテナを張って手配した.いろいろな“難儀”を列挙しているときりはないが,なかからひとつだけご紹介するのが
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たった一度だけ,EF58 61が牽いた暖房車.御召列車ではないがご乗用列車である.有楽町(東京-新橋) 昭和28/1953年11月6日 写真:星山一男(西尾克三郎写真コレクション)

この年の夏に落成したばかりの御召牽引専用機が,初めて迎える暖房車の季節.蒸気発生装置に一抹の不安があったのだろう.スヌ31を特別整備して起用したということのようである.この時の写真は,佐竹保雄さんが撮影されているはずなのだけれど,ネガが見つからないということで,“どうしよう”状態だった.ふと思い立って西尾さんから引き継いだアルバムを繰っていたら,僕の目の前に姿を見せてくれたのである.西尾さんと星山さんは,同じ毎日新聞社にお勤めだったことを思い出し,相談した大先輩からも“ここで使えば,西尾さんも星山さんも喜んでくれるんじゃないか?”と言ってくださった.で,見開きでの起用となった.

グラフ頁を既にご覧になっている方にはお気づきのことと思うが,写真のトリミングや配置は,ふだんと大きく異なっている.
 それは,いつもと主役が違う,ということ.いつもなら,機関車を見開きで左右頁に割ることは,できるだけさけるのだけれど,今回に限っては,切れ目になっている写真が多い.
 星山さんのEF58 61も,その中の1枚.普段なら,EF58 61,それも日章旗を掲げて走る状況で,機関車を見開きの真ん中に置いて“泣き別れ”に配置するなど,まったくあり得ないことである.でも今回の主役はスヌ31なのである.
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和田岬線のD50.兵庫駅を発車するB50 25と木造客車による列車.昭和27~30/1952~1955年頃 所蔵:藤田吾郎

ボリュームの面では暖房車に圧倒されてしまったものの,内容的には必見といえるのが,高見彰彦さんの“和田岬線とB50”.最後の存在となった原形の面影を強く残す103系電車の引退にちなんで纏められたものである.
 歴代の和田岬線用車輛については,纏める気になれば,“有象無象”の木造客車やロングシートで片側のみ3扉…しかも両開き…のオハ64,片側にしかまともな側扉のないキハ35系など,ちょっとしたボリュームになるはずである.しかし,それらを集め回るには,相当のエネルギーが必要であることもまた,間違いない.
 同時に旋回橋“跡”についても研究を進めてくださった.これも使用開始,停止ともに時期が判然としないのだが,今回の稿によって,かなり絞られてきたようである.
 今後に期待したい……とはいえ,その道は険しいかもしれないが.

こうして,暖房車なんてまったく要らない夏の真っ盛りに完成したレイルNo.127
 僕の懸念をよそに,多くの追加注文をいただいた.いや,いまもご注文は途切れていない.ほんとうにありがたいことである.ありがとうございます.
 これからのレイルにも,引き続いてご支援くださいますよう,お願い申し上げます.


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【オススメ記事】
線路や架線など,列車が走るための基盤となる施設の保守は,どの鉄道事業者にとっても最優先されるべき仕事のひとつです.JR西日本では,それらの状態を見守るための検測車を新造しました.DEC741がそれです.車体側面や屋根上などに数えきれないほどの計測機器や照明装置,カメラを搭載した姿は,モデラーにとっても興味深い存在です.
 その詳細をMODELERS FILEで紹介するとともに,連携して紙成模型塾も開講しました.
 毎夏恒例の国際鉄道模型コンベンションと鉄道模型コンテストが,今年も開催されました.それぞれにレポートをお楽しみください.
 春にオープンした"スタジオツアー東京"に展示されている英国蒸機の正体が"英国鉄道へのいざない"で明らかになりました.
 各地のイベントレポートや一般記事,連載も満載です.


【目次】
注目記事----------------------------------------
  4 MODELERS FILE 西日本旅客鉄道
     DEC741気動車
     車上から地上設備を検査する新鋭検測車
     まとめ:足立 繁和 写真:五十嵐 弘幸/峰雪 剛/前里 孝
     取材協力:JR西日本・近畿車輌・京都鉄道博物館
3・12 紙成模型塾 第六十七講 JR西日本 DEC741
     ペーパーを駆使して複雑な屋根を作ろう!   講師:中村 文人
131 紙成模型塾 型紙 DEC741-1,DEC741-101    講師:中村 文人
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 20 韓国鉄道探訪 その2
     新商品 プラスチック製ムグンファ号木目初期型客車紹介
                 執筆/撮影:加坂 紳(soundtrackage)
 24 ベネルクス鉄道紀行 第2回(最終回)       大島 仁知
 32 英国鉄道へのいざない
     第23回 保存鉄道を探訪する/Hall Classが来日
 36 Nゲージ 古典機への誘い
     第35回BORSIG/SCHWARZKOPFF(独)    小川 謙二
 52 JAMコンベンション2023 企業ブースレポート
 59 第22回 国際鉄道模型コンベンション
 66 鉄道模型コンテスト2023
    第15回 全国高等学校鉄道模型コンテスト
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 18 線路は続くよいつまでも 第158回 /信沢 あつし
    鉄道廃線後はトロッコの線路が敷設された
    旧白棚線 梁森駅からの白河炭鉱引込線跡
 30 Coffee Cup /前里 孝
    開業日に行ってきた宇都宮ライトレール
 40 N GAUGE EURO REMIX /解説:橋本 孔明
    第49回 ETR610型"ペンドリーノ"
 44 Diesel Power in USA! /佐々木 也寸志
    Vol.103 ウェスタン・パシフィック鉄道博物館
 48 入門者必読! /解説:P.S.
    誰も教えない基礎・応用テクをプロモデラーが伝授
    Nキット上達への道
    第20回:グリーンマックス国鉄80系初期型湘南編-(2)
 50 工作に役立つアイテムを紹介 ツールセレクション /山中 洋
    第49回 重力式エアブラシ/充電式エアブラシ
 72 台鉄ナビ
   文:邱 浚嘉
   翻訳:黃 昱嘉
 74 E.NUKINAのB級コレクター道 /貫名 英一
    第147回:インターアーバン・ワールド2023(その1)
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 75 新車登場
 97 輝け!日本の運転会
 98 子連れ鉄日記 /写真・文:山本 晃司
    第113回:長崎の旅(その1)
099 伝言板
118 BOOKS
119 甲種・特大輸送実績 2023年8月分
   JR東日本在来線車輛の動き 2023年7月
120 各種募集のご案内
122 新車登場INDEX
124 いちぶんのいち情報室
128 月刊とれいんバックナンバーのご案内・とれいんスケール呼称早見表
129 Combo Caboose・掲載広告索引
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2023年9月21日(木)発売
定価:1,694円(本体1,540円)


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【第93号の主な内容】
特集:昭和30年代の四国を巡って   


穏やかな風景のなかを行く8620,C58たち
 予讃本線/土讃線/高徳本線/徳島本線   
 牟岐線/宇和島線

国鉄蒸機最終形式に会いに行く
   雪のなか,D51・D61兄弟機の力闘       
    
“みかん臨”が走る 初秋の和歌山線
   スイッチバック前後の勾配区間を歩く   

復活を果たしたLNER A4型4498号
“Sir Nigel Gresley”


とれいん
11月増刊
定価:3,300円(本体3,000円)
A4判横綴じ84ページ

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9月6日,西武鉄道は“旧2000系最後の6両編成 新宿線で活躍した2031編成引退にあわせ3種類のイベント開催!”と題するプレスリリースを発表した.
 それによれば,9月30日(土)は“新宿線の黄色い電車を撮影しよう”,10月4日(水)は“ありがとう 2031 編成撮影会”,そして10月5日(木)は“さようなら2031 編成 ラストラン乗車ツアー to 横瀬車両基地”という内容.
 いずれも有料で,9月30日の分は既に発売開始,10月4日の分は9月26日からの発売.EMotオンラインチケットのウェブサイトから申し込む.なおパソコンやタブレット端末からの申し込みはできず,スマートフォン経由のみである!なんと!!
 10月5日の分は西武トラベルの特設頁で既に発売されている……この文章を書いている時点では既に満杯!
 ということで,直接的にお役立ち情報ではないわけだが,10月5日は,11時半頃に小手指駅を出発して13時頃に横瀬駅着という行程だそうである.
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今回撮影やツアーの対象となる旧2000系2031編成.写真:西武鉄道

旧2000系については,このブログでも度々話題にしてきた.最近では3月9日の“西武鉄道6000系が新宿線に! そして新宿線の2000系が大変化中”があった.
 その前は去年5月12日の“西武鉄道の話題二題 さよなら2007編成 そして ようこそ・ハリー・ポッター”,さらにその前の3月17日の“西武鉄道旧2000系最後の8輛編成が引退へ”,さらに遡れば2021年12月30日の“今年の締めくくりの西武電車観察”となる.
 本誌では2021年7月号のMODELERS FILEで,新旧2000系の2輛編成をピックアップして採り上げている…….

僕自身はといえば,いつもお話している通り,新宿線にはとんと疎くて,大した記録を残すことができないでいる.このところは国分寺線での使用が多いようだから,今週のうちに時間を盗んで観察に出向こうと思っていたのだが,あと1日しかない!さてどうなることやら.
 などとぐずぐずしているうちに,池添智和さんからは,丹念な記録写真が続々届いて圧倒されるばかり.
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その中から1枚.所沢方に2輛を従えた10輛編成での急行で快走する晴れ姿! 田無 2023-1-4 写真:池添智和

せめて…というわけでもないのだが,先週の土曜日夕刻,いつもは踏切が閉まっている時に目の前を通過して行く電車を眺めている,新井薬師前と沼袋の間で,30分という,ほんの少しだけれどカメラを構えて2000系を待ってみた.

夏の夕刻には側面にも日が回るけれど,それ以外の季節は曇りの日限定場所である.
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やってくるのは30000系や20000系ばかり.お目にかけるのは30102編成.つい先日,1週間ほど池袋線を走った編成である.
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ようやく姿を見せたのが新2000系8輛の拝島行き.先頭は2086である.
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そろそろタイムアップ,というところで,20000系20105編成のL-TRAINが姿を見せた.これでようやく,2編成とも記録することができたことになる.

そうそう,10輛編成の30000系といえば,8月末,対向列車に“切れ目のない長い30000系”を見掛けたような気がした.そこでその日の夕刻,帰り際に江古田駅のいつもの場所で少し待っていたら…….
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池袋行き急行で姿を見せたのは,トップナンバー30101編成だった.2023-8-29

あっという間に現われて,またたく間に古巣へ戻って行ったようだ.
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最後にお目にかけるのは,8月初旬から運用に就いた4000系ロングシート車第12編成,40162編成.この日の“いつもの場所”では,レールの更換を終えて仮のレール置き場を撤収しているところだった.2023-8-8


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