モデラーな日々 とれいんスタッフブログ

月刊とれいんスタッフの,模型と格闘していたりしていなかったりする日々をお送りします.

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JR東日本がバラスト(砕石)輸送や無動力車輛の牽引,構内入換作業のために開発したGV-E197が,高崎地区で営業列車牽引を開始することになった.
 その試乗会が催されたは,ちょうど2週間前,7月3日のこと.とれいん8月号の締め切り間際ではあったが,この車輛の量産車をじっくりと見たくてお邪魔してきた.集合は高崎駅改札口に午前9時.目的地は信越本線の横川……といえば,合点がゆく方も多いことだろう.
 これまで電気機関車やディーゼル機関車が担ってきた,高崎と横川の間の“SLぐんま横川”の片道を,GV-E197が牽引することになったのである.
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高崎駅2番ホームに到着のGV-E197,TS-08編成.“編成”というのは,201と202の2輛がペアになっているから.画面右端のホームは,かつて信越本線や上越線の長距離列車が次々と発車していった1番線.今では客扱いする列車がなくなり,構内案内図には“1番線”が見当たらない.

連なる編成は12系客車3輛(スハフ12 162+オハ12 366+スハフ12 161)にD51 498.ちなみにGV-E197は横川方が201で202が高崎方であった.
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D51 498のナンバープレートは,2年前の取材時には鮮やかな青だったわけだが,ナンバープレートの地色も黒に戻り,日常的な落ち着いた風情であった.機関車前では招待試乗客の求めに応じてJR社員が記念写真撮影のお手伝い.

そうこうしているうちに早くも9時47分の発車時刻が迫る.楽しい旅立ちの前って,なんでいつもこんなに慌ただしいのだろう.
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北高崎,群馬八幡と通過し,10時4分には安中着.東邦亞鉛の貨物列車が廃止されてしまって構内に貨車や移動機の姿はなく,がらんとしていた.でも線路は丁寧に保守されている様子.再起を期待したいところである.

ここまでの車内では長谷川秀治高崎駅長や平井浩二安中駅長の挨拶があり,そして安中からは,安中総合学園高校・観光ビジネス系列の生徒さんたちによる太鼓や笛の演奏が披露され,沿線の魅力案内が行なわれた.
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安中総合学園高校生徒によるおもてなしは,これまでも“DL(EL)・SLぐんま横川”運転時に横川駅構内で行なわれていて,好評を得ている.

10時12分の発車後,列車はいよいよ横川に向けての急勾配に挑む.信越本線の勾配区間といえば横川以西……というイメージがあるが,松井田辺りも険しい勾配があり,なにより,現在の西松井田駅付近にあった旧松井田駅は元来スイッチバックであった.
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車窓から勾配標を探していたのだが,多くは草に覆われていて数字が読めない.ようやく25/1000を見出すことができたのは,もう横川駅構内だった.

横川駅に到着後は高崎車両センター社員によりD51 498とGV-E197の技術的な解説が行なわれた.
 GV-E197は,本誌では2022年7月号“いちぶんのいち情報室”での速報以来,まだ詳しい紹介ができていないが,最新技術による電気式気動車で,2輛の動力車の間にホッパー車GV-E196を4輛挟み込んで砕石輸送を行なう車輛である.
 現在までに0番代4輛と,砕石撒布時などに使う特殊機能を備えない100番代10編成,そして自動ブレーキ読み替え装置を搭載した200番代2輛の合計16輛が製造されている.配置は全て高崎車両センターである.
 なお,200番代の2輛だけは,ペアとなるホッパー車を持たない,牽引及び入換専用車である.必要になれば,ほかの編成のためのホッパー車を組み込んでの運用も可能なのだろうが.
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横川駅に停車中のGV-E197.手前が201で高崎方が202.連結器は他のGV-E197と同様,双頭連結器を備え,客車との連結時には自連,GV-E197同士の連結には密連が使われる.

なおこのGV-E197による営業列車は,7月19日の“GV・SLぐんま横川”でスタートする.当日は出発前に高崎駅でセレモニーが催される予定となっている.
 今後は,信越本線のほかに両毛線の“GV・SLぐんま桐生”も運転されることになっている.なお両毛線では往路が蒸気機関車,復路がGV-E197の牽引となる.今年夏の信越本線は7月19・20日,8月10・11日,9月13日に運転の予定.両毛線は7月21日と8月9日に運転されることになっている.
 さらに詳しい情報は,JR東日本のウェブサイトをご覧願いたい.
GV・SL横川ヘッドマーク(JR東高崎支社)のコピー

試乗列車ではヘッドマークなしでの運転だったが,営業運転ではこのようなデザインのマークが掲出される.信越本線(左)
は妙義山,両毛線(右)は赤城山を採り入れでおり,併せてGV-E197の持つ先進性や近未来感を表したという.写真:JR東日本高崎支社

さてこの,本来は事業用車であるGV-E197が営業列車を牽引するという異例の運用を逆手にとって(?)アピールしている高崎支社の心意気のこれからに,大いに期待しつつ,横川を訪問したら欠かせない峠の釜めしを食しながら帰路についた僕であった.
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ずっと変わらない佇まいの荻野屋本店.手前右の道路に見えるラックレール活用側溝蓋や,EF63 3の輪軸なども健在であった.

※2025.07.18:ヘッドマーク画像を高精細度のデータに差し替え




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【オススメ記事】
JR西日本が新しい夜行列車として117系電車を活用して産み出したのが"WEST EXPRESS 銀河"です.車体のシルエットにこそ117系電車の面影を留めているものの,外装の色彩デザインや内装は一新されました.今月のMODELERS FILEでは,その"ウェスト エクスプレス 銀河"の全てを仔細に観察し,その魅力をご紹介しています.
 模型は営団地下鉄08系と東京地下鉄16000系,蒸気機関車作品群,60周年を迎えたOJゲージの機動楽会運転例会での作品取材と,特徴ある作品を集めています.
 各種レポートをはじめ,連載や一般記事も満載です.


【目次】
MODELERS FILE------------------------------------------
  4 MODELERS FILE 西日本旅客鉄道
   117系7000番代電車 WEST EXPRESS 銀河
   夜汽車の夢を叶えるカジュアル観光特急     まとめ:足立 繁和
            写真:来住 憲司/足立 繁和/なんこう/前里 孝
            取材協力・資料提供:JR西日本・京都鉄道博物館
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 3・32 営団地下鉄08系 (16番)           鹿倉 明祐
 38 東京地下鉄16000系 (16番)           中村 文人
 20 青春コレクション
    蒸気機関車を作ろう! Part.1       製作:チームおやびん
 46 機動楽会 60周年 記念運転例会
    2025年6月27日 於:東京都品川区小山 小山台会館
                     レポート:鶴見 克則(会長)
 68 グランシップトレインフェスタ2025 Part.2
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 52 線路は続くよいつまでも 第180回 /信沢 あつし
    トロッ子さんのお陰で未知の線路を発見
    元金物屋の線路兵庫県養父市
 54 英国鉄道へのいざない
    第34回 鉄道開業200周年とロコモーション号
 58 Diesel Power in USA! /佐々木也寸志
    Vol.114 2024 シカゴ鉄道情報
 62 ABC of DCC Evolution 【第16回】
    専門知識ゼロでも絶対使えるようになる!
    解説・加工:加坂紳(サウンドトラケージ)
    加工:吉田有甫(サウンドトラケージ)
 66 モデリング・リサーチ・センター /解説:P.S.
    第131回 プラモのためのガラスヤスリ
 72 台鉄ナビ
    文:邱 浚嘉  翻訳:黃 昱嘉
 74 E.NUKINAのB級コレクター道 /貫名 英一
   第169回:マン島1987(その7)

 75 新車登場
 98 コンさんの工作メモ /今野 喜郎
   第19回 動輪の分解・組立について
100 伝言板
118 BOOKS
119 甲種・特大輸送実績 2025年6月分
   JR東日本在来線車輛の動き 2025年5月
120 各種募集のご案内
122 月刊とれいんバックナンバーのご案内・とれいんスケール呼称早見表
124 いちぶんのいち情報室
128 新車登場INDEX
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2025年7月18日(金)発売
定価:1,804円(本体1,640円 税率10%)


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◆西濃鉄道 2109を偲ぶ

◆三河鉄道のガソリンカーによる鉄道・軌道直通運転

◆ヒギンズ写真の真髄 15 
関東の大手私鉄を巡る その2
京王帝都電鉄 京成電鉄・新京成電鉄
京浜急行電鉄 西武鉄道 多摩湖線

◆英国系100ftポニーワーレントラス・補遺
台湾 虎尾糖廠鐵橋

◆虎尾糖廠鉄道寸景 


レイNo.135は,久し振りにオムニバス形式として,長編成高速電車から狭軌の小さな車輛や情景までを包み込みました.
 15回目となるヒギンズ写真の神髄は京王帝都電鉄,京成電鉄・新京成電鉄,京浜急行電鉄,西武鉄道 多摩湖線をお目に掛けます.
 続いては藤井 建さんによる三河鉄道ガソリンカー.昭和初期に鉄道線のガソリンカーが軌道線と直通運転を行なっていた事実の検証です.
 三番目は明治期の我が国鉄道における立役者のひとり,2100形2109の物語です.昭和13/1938年12月に西尾克三郎さんが撮影された姿に始まり,内藤久雄さんによる,西濃鉄道美濃赤坂駅に留置されていた頃の思い出,そして白井 昭さんが手塩にかけて動態への復帰を果たした1993年夏の情景を振り返ります.2025年2月に逝去された白井さんへのレクイエムでもあります.
 英国系100ftポニーワーレントラス桁の補遺が西和之さんから寄せられました.台湾の製糖会社線に残る歴史的遺産の現地観察です. 

定価:4,180円
(本体3,800円 税率10%)


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仙台の翌日は東京臨海高速鉄道の八潮車両基地を訪問して71-000形報道公開に臨んだ.
 趣味誌関係の取材メンバーは多くが連日の出動で“きのうはお疲れさまでした”が挨拶となった.
 さてその71-000(ななまんいっせん)形は,同線が開業してから初めての新造車投入とあって,公開のお膳立ては完璧であった.インターネットメディアの皆さんも大勢参加されていたので,既に速報をご覧になっている方も少なくないかもしれない.
 このブログでは,昨年11月21日のここで,最初の編成の甲種輸送の時に観察した結果をいち早くお目に掛けているので,ご記憶の方も多いだろう.
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30年の歳月を感じさせる並び.70-000形は209系がベースなので車体は裾絞りのない狭幅.まぁるい前面構体と多角形(と円弧を組み合わせた窓に独自性を展開している.

今回の71-000系は総合車両製作所のsustina S24(20m級で片側4扉)シリーズをベースにしており,JR東日本のE233系に極めて似ている.
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表情豊かな,オリジナルデザインのFRP製前面は措くとして,一般構体部は窓の上下に継ぎ目が見えない.ということは相模鉄道12000系と同じ工法であるということになろうか.

編成は大崎方から新木場方へ順に71-101(Tc')+71-102(M')+71-103(M)+71-104(T)+71-105(M')+71-106(M)+71-107(T)+71-108(M')+71-109(M)+71-110(Tc).11月の現車目撃からの推定からは,71-101をTcからTc’へ,-105をTからM’へと訂正している.失礼しました.
 ということで,編成の構成はE233系7000番代とも相模鉄道12000系とも異なっている.
動力台車は台車は銘板読み取りの通りTS-1050,付随台車は先頭がTS-1051,中間がTS-1051Aだった.

甲種輸送の時には見ることができなかった山側には,三菱電機製の主制御装置MAP-148-15V362,東洋電機製造製の補助電源装置RG4110-A-Mが取り付けられている.

さて客室.
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妻の壁や一般部の腰掛の表地,吊手などを青系に統一し,愛称である“りんかい(臨海)線”のイメージを強調している.情報表示モニターは全ての側扉上部に17インチワイドモニターを2面ずつ設置.照明は反射式直管タイプのLED.

側扉の窓は複層ガラスで内張は化粧板付きである.また床は灰色基調だが“お台場海浜公園のビーチ”をイメージさせるため黄色のチップを混ぜているという.

運転室.
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マスコンとブレーキは左手操作式のワンハンドル.各機器配置は直通運転先の埼京線用E233系7000番代と操作性を統一している.

報道公開では点検庫のピット線を往復するという行程が含まれているという.床下機器に強い興味を持つ僕……でなくても,モデラーの皆さんなら……には,この上なく嬉しいプレゼントだった.
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例えば,普段ならしゃがみこまないと確かめることが難しい高圧引き込み線の車体下部での処理の様子も,このように立ったままの目の高さで撮影することができるのも,ピット線での撮影ならでは.


最後には各種行先表示が披露された.
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川越や新木場など日常的に見ることができそうな行先のほか,このような表示も見ることができた.

ちなみにこのカットは1/60秒での撮影だが,1/500秒なら全く無問題.1/800秒で少し文字が欠け始めるという程度だった.“森尾電機製の新方式によるセレクトカラーです”とのことだった.これから,LED式表示装置を備える車輛の走行写真撮影事情が,大幅に改善されるかもしれない.

この71-000形電車は,現在納入済みの2編成ともに,E131系800番代と同様,総合車両製作所の新津製作所で製造されている.
 営業運転開始は今年度下期の予定と発表されている.第3編成以降第8編成までは令和9年度上期までに投入し,70-000形を置き替える予定である.
 なお70-000形については既に先頭車10輛をJR九州に譲渡することが明らかになっている.今後も別の鉄道事業者へ譲渡される可能性もあるとのことで,推移に注目したいところである.



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先週の東急電鉄6020系に続き,今週月曜日の6月30日にJR東日本の仙石線用E131系800番代が公開された.さらにその翌日には東京臨海高速鉄道の71-000系も披露された…….
 ということで,今週はまず,インターネットメディアでのレポートが少なく,なおかつ僕が久し振りに仙台を訪問した取材結果をお話ししよう.
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石巻方から見たE131系800番代の第1編成.手前からクモハE131-801,サハE131-801,モハE130-801,そしてクハE130-901.編成番号はN1.車体四隅にはホーム状態監視カメラが備えられている.

主制御装置はクモハE131とモハE130に,補助電源装置と電動空気圧縮機はサハE131とクハE130の,いずれも山側(石巻に向かって左側)に搭載している.補助電源装置と電動空気圧縮機の並び順がサハとクハで逆になっているのが特徴.
 主制御装置は三菱電機製のSC129,補助電源装置は富士電機製のSC124.ちなみにこれまでのE131系では日立製のハイブリッドSiC制御装置だったのだが,今回は三菱製.もしかしてフルSiCに変更された?それとも?
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クハE130の台車間真横.電動空気圧縮機が石巻方に,補助電源装置(SIV)が仙台方に配置されている.屋根には通常の列車無線アンテナのほかにATACSアンテナも見える

なお,線路設備モニタリング装置は最終1本前のN13編成に実装,最終のN14編成は準備工事となる予定.この2編成は880番代となる.
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台車は動力台車がDT80,付随台車がTR273系.バネなどの違いで枝番が与えられている可能性があるが,海側を観察することができなかったので,全ての銘板による確認はできていない.写真はサハE130のTR273B.

客室はオールロングシート.クモハE130の山側に大形車椅子対応トイレを設けている.
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客室全景.腰掛の表地は座面が濃い青,背摺が淡い青.側扉上部には2面の情報表示装置が千鳥上に配置されているほか,防犯カメラを設置している.側扉ガラスは複層で内張はステンレス鋼無塗装.写真はモハE130.

今回は,残念ながら運転室内での撮影はできず,仕切り壁の窓ガラス越しの観察となった.
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写真は石巻方先頭車であるクモハE131.基本的にはこれまでのE131と変わりないように見えるが,速度計はATACS(Advanced Train Administration and Communications System=無線通信による車上信号方式の一種)対応タイプであり,周辺の配置も新しい.頭上にはホーム状態監視用モニターがあり,映像が映し出されている.

写真でお気づきと思うが,鶴見線用に続いて前面非貫通となったため,運転室は広々としている.

さてその“前面非貫通”だが,鶴見線用では貫通扉風にデザインされていたのに対して,今回は貫通扉の面影は完全に払拭された.クハニ67のようだという譬えは古すぎるだろうか.
 そして車体には裾絞りが.新しいパターンの登場である.
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クハE130の顔.まさに……と同意してくださる方はおられようか.なお併結運転は考慮されていないので自動電気連結器は備えていない.


さてこのE131系800番代,現在落成している第1編成と第2編成は総合車両製作所の新津製作所で製造された.配置は仙台車両センターの宮城野派出所である,用意されるのは前述の通り14編成56輛.205系3100番代の1615編成からは1本の減少となる(本来は19編成だったが大震災による津波で2編成が廃車,今年3月に“マンガッタンライナー”ラッピング編成が廃車となっている(さらに6月にも1編成が廃車となったようである).
 営業運転開始は今冬との発表されている.おそらくは年度内に14編成の製造が完了することになるだろう.E131系投入線区の前例からは,その後にワンマン運転が始まるのではないかと予想される.

※2025.07.13:205系廃車数を追記

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