モデラーな日々 とれいんスタッフブログ

月刊とれいんスタッフの,模型と格闘していたりしていなかったりする日々をお送りします.

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9月26日,西武鉄道から,実に“マニアック”なリリースが発表された.
題して
「サステナ車両」小田急電鉄譲渡車両のデザイン・車両形式が決定

今年5月に西武へやってきた小田急8000形の形式が8000系に決まったということである.
 “なんだ”というなかれ,実に解りやすく,だれもが納得できる結論ではないか.
20240926_8000系側面
なんだか30000系の姉妹車のような色遣いである.でも大きく異なるのは,30000系には横ストライプがあしらわれているのに対して,8000系では市松模様となっていること.グラデーションの付け方も違っている.写真:西武鉄道
20240926_8000系前面
続いて前面.lこちらも窓下は30000系の香りがする.でも,窓上のラインは,8000系ならではの直線基調.この辺りの融合性は,三次元……すなわち実物で確かめてみないと.写真:西武鉄道

側面と前面のイラストには“8103”なる車号が描かれている.このところの西武鉄道の付番基準(?)では,6輛固定編成だから8163とでもなるかと思っていたのだが…….
 それと,“レオライナー”8500系との番号の重複はどうなるのだろうか.あちらは8500番代で8501から8504,8511から8514,8521から8524を使っている.百の位を編成順位とするならば,5輛目は850xとなるわけで…….8500系を改番する? 趣味的には興味津々なことである.
20240926_8000系側面拡大
側面の市松模様拡大図である.画面中央下部の赤い逆三角形はドアコックの位置を示す表示.写真:西武鉄道

なおこのデザインは西武鉄道が社員に対して募集し,応募作から“当社のコーポレートカラーである“ブルー”“グリーン”をベースに“永遠”や“発展”,“繁栄”を表す市松模様にアレンジしたデザイン”を採用したのだそうである.
 なお,このリリースでは,営業運転開始時期については“2024年度末(令和6年度末)としか記されていない.
 もうひとつ,構想が発表されてから間もない,昨年10月5日のここでいろいろ予想した,導入数.その後の各方面での動きから推定想像妄想してみると,どうやら“5編成30輛”ではなく,もっと多くが西武にやってくることになりそうだ.現在,小田急に籍のある8000形は9編成程度.その全部,ということはいかないだろうが,7編成あたりだろうか……最新の鉄道ファン誌には7編成42輛と記されている…….

さて,現役車輛である6000系にも動きがあった.“変な”6000系アルミ合金車に気づいたのは9月半ば過ぎのこと.そういう時に限って出張が多くて,確信を持つことができたのは下旬になってから.そして撮影できたのは9月28日朝のことだった.
 この日はお昼から“軽便鉄道模型祭”の取材に出掛ける予定があったのだけれど,少し早めに……とカメラを持って中村橋の駅へ.
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幸運なことに,10分も経たないうちに,お目当ての編成がやってきた.6156編成がそれ.
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振り返ってパンタグラフ本体を……さすがに1/320秒のシャッターでは止まるわけもなかった.

そこで折り返してくるのを練馬駅で待ち構えることにした.
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パンタグラフのクローズアップ.ホーンが2本のタイプ……40000系と同じようにみえるのだけれど,取り付け位置は少し高いような気もする.新品であるようだが,銘板は見えない.反対側に取り付けられているのか? 形式を確かめたかったのだが.

などと思っていたのだが,池添智和さんが届けてくださっていた,秋津駅跨線橋から見下ろした写真をじっくりと観察してみたら……
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黄色く塗られた台枠の右上隅,碍子台への脚のところに,黒地の四角い銘板があった.これではホームから目を凝らしても,見えるわけがない.この写真からは電磁鉤外し用電線管下降用空気管が台枠の下から顔を出しているのも,見える.菱枠パンタグラフだった時代には,車体中央よりの台枠下からパンタグラフの横を通ってヒューズ箱に達していたわけだが.このあたりは本誌の8月号MODELERS FILEで写真をたくさん掲載している.

そして今日の夕方.用事があって少し早く事務所を退出したら,練馬の駅で黄色い帯を巻いたステンレス車体を発見した.6117編成である.
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西武有楽町線開業30周年記念ラッピング車で,所沢方にはヘッドマークをつけていた.写真は池袋方先頭車.あれ?ヘッドマークは……???

昨年の11月に登場したこのラッピング編成,“しばらく見掛けないなぁ”ということが時々あって,今日も“久し振りっ”ということで,思わず電車を降りて撮影した次第.でも,ヘッドマークが,ない.“約1年間”とされていたから,ヘッドマーク掲出は終わってしまったのかもしれない.今後も注目せねば.

※2024.10.07:配管の種類訂正

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前回,レイルNo.130を紹介した6月13日のここの冒頭には
“令和6/2024年も早や6月半ばに差し掛かった.”と記した.
時間が経つのは早いもので,もう1年の3/4が過ぎ去ろうとしている.いや,レイルが3ヵ月ごとの発刊だから,当たり前のことなのだけれど.
 ちなみにレイルは書籍の扱いであり,“季刊誌”ではない.シリーズ書籍としての番号を振っているだけであり,それは文庫本や新書で“○○新書 第△巻”などと通し番号が振られているのと同じである.
 ちょっと違うのは,新書や文庫では,1冊ごとにひとつのテーマで纏められているのに対して,レイルは,No.116のN電No.110の20系寝台客車,あるいは湯口 徹さんの“私鉄紀行”のような単独テーマで刊行することもあれば,幾つかの話題を乗り合わせでご紹介することもあるあたり.
 けれども,話題の組み合わせにはいつも智恵を絞っているつもり.なんらの関係もない組み合わせのこともあるけれど,なんらかの関連性があっての組み合わせということも,少なくない.それらは,ある程度は僕が企図することもあれば,自然に(?)吸い寄せられるように組み上がってくることも,ある.
 今回のコンビネーションは,そのふたつの,中間かもしれない.
 No.126の刊行後すぐに,西村雅幸さんと八木邦英さんから後日譚が寄せられた.“いつ……”と思っていたら,高見彰彦さんから福井市の鉄道を頂戴した.
 ならば……と考えたのが,八木さんと8620形機関車との触れ合いの思い出を語っていただこうと考えた.そして新澤仁志さんによる8620形の形態観察だった.それに加えて,レイル編集部秘蔵のメーカー写真一挙公開と,8620形機関車特集が組み上がった次第.
 さらに加えて,そもそもの越美北線の後日譚と,高見さんの稿を組み合わせたら,“福井県の鉄道特集”ともなった.テーマがオーバーラップした,複合特集というのは,これまで,あまり例がなかったのではないかと,思う.
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八木さんの作品中での極め付けは,越美北線での御召牽引の翌年に実現した,長崎県国体に際しての8620牽引御召列車.C11も加わって西九州各線で蒸機御召が乱舞したが,連日の快晴に恵まれて,昭和天皇のお出まし時の好天,俗にいう“晴れ男”が実証された1週間であった.早岐機関区 昭和44/1969年10月29日 写真:八木邦英

この時の模様は鉄道趣味月刊誌各誌で華々しくレポートされた.けれども趣味団体にも属さず,趣味人との個人的なおつきあいもなかった,当時の大阪在住の少年は情報入手の手段も知らなかった.いや,たとえ知っていたとしても,時間的資金的な制約から,実際にはただ指を咥えて西の空を仰ぎ見るしかなかったであろう.

新澤さんの形態分類は,モデラーらしい視点で纏められており,いつもと変らない“現地主義”に基づく,間違いのないレポートに仕上がっている.
 最大の驚きは,テーマのご相談をした数日後には第一稿を見せてくださったこと.日常的な趣味活動の積み重ねがあってこその“スピード”といえよう.

恥ずかしながら,この稿で初めて深く認識した事実に,“曲げられた主台枠”というのがある.8620形機関車において,曲線通過をスムーズにするため先輪と第一動輪は島式先台車と呼ばれる,特殊な構造が採用されているのだが,台枠が曲げられ(絞られ)といるなど,思いもよらぬことであった.
 新澤さんですら気づかれたのは近年のことのようだが,認識後はすぐに現車観察に出向かれている.これは“保存機の時代”となった現代ならではのことかもしれない.現役の,生きた機関車の主台枠をのぞき込むことは,たぶん,至難の業だっただろうから.
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レイル誌面よりもトリミングし,さらに“絞り”の具合が判るように丸印で囲んでみた.機関車は北海道音更町で保存されている48624.写真:新澤仁志

ブレーキシリンダーに刻まれたインチ表記も興味ぶかく,僕も,図らずも今年の春に別の車輛で実見することになるのだけれど,それはまた別の機会に…….

越美北線の8620形写真では,西村雅幸さんが見せてくださった.越前田野と越前大野の間の真名川橋梁がとても新鮮だった.
 52年前に8620形を追って訪問した時にはもちろん,昨年2月の再訪時にも気づかなかった情景である.
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越前田野駅からは約1キロぐらいの距離とはいえ,単機回送区間ということもあって,全くノーマークだった好ポジション.この写真のように山々が美しく見えるかどうかは,運次第だが.越前田野-越前大野 昭和48/1973年3月15日 写真:西村雅幸

高見彰彦さんの“福井市の鉄道”では,主に福井鉄道と京福電鉄福井支社の古い情景が集められている.高見さんも“現地主義”の実行者であるから,単に古い写真を蒐集するのではなく,撮影場所の現状を熱心に探究されている.
 また,国鉄……鉄道省の記録も充実していて,移転前の福井機関区の位置は,この稿によって僕の頭に認識させることができた.
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新福井駅の踏切を渡る京福電鉄のテキ521.この機関車は,つい先日まで除雪など作業用に残されていたが,新除雪車輛の導入によって,残念ながら廃車となってしまった.昭和50/1975年5月24日 写真:豊永泰太郎

締めくくりはヒギンズさんの鹿児島市電と屋久島の森林鉄道.この項目だけが異質となったが,それもまた善き哉(!?).吉富 実さんとお仲間による解説によって,生き生きとしたグラフに仕上がった.今回はさらに,地元のベテランファンである水元景文さんが解説に加わってくださったことによって,一段と臨場感溢れるセクションとなった.
 屋久島は,貴重な現役森林鉄道時代の記録.裏表紙にも使わせていただいた“乗り下げ”が圧巻.
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伐り出した木を山からおろす時,機関車牽引の運材列車ではなく,台車ごとに人が乗ってコントロールするのが“乗り下げ”.屋久島でこの運材風景を記録した趣味人は多くない. 昭和39/1964年3月4日 写真:J.W.HIGGINS

ということで,駆け足でNo.131をご紹介した.10月には次のNo.132(とれいん10月号に予告を掲載してます)が発刊されるから,書店の店頭では残り少なくなっているはずである.お求めはお早めに!


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T2410

【オススメ記事】
9月号の2300系に続く,阪急京都線車輛のMODELERS FILEです.京阪間直通から千里線,地下鉄乗り入れとオールマイティに活躍を続ける8300系を採り上げました.新造時の車体バリエーションも豊富であるのに加え,近年のリニューアルによってさらに賑やかになったラインナップをお楽しみください.
 呼応して神宝線の7000系を模型作品で紹介しています.真鍮製16番自作車輛の味を堪能していただくことができましょう.
 "林"発掘再生工場は最終回となりました.鉄道省の異色機ED54で締めくくりです.
 一般記事やJAMコンベンション,JNMAなどイベントレポート,連載も満載です.


【目次】
注目記事---------------------------------------
  4 MODELERS FILE 阪急電鉄
    8300系電車
     京都線VVVF第一世代の現況
     まとめ:足立 繁和
     写真:足立 繁和/なんこう/前里 孝(注記除く)
     取材協力・資料提供:阪急電鉄
 20 阪急7000系
     真鍮16番への熱き思いが生んだ神戸線リニューアル7008編成
                           製作:依田 悠希
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 3・42 英国鉄道へのいざない
     第29回"Flying Scotsman"の100年を振り返る(1)
 28 "林"発掘再生工場Season5 第24回 (最終回)  工場長:林 信之
     作り直しの連続!ついに再生を諦める? 鉄道模型社製 ED54
 31 韓国鉄道探訪 番外編
     韓国型初の量産プラスチック製Nゲージ発売!     加坂 紳
 34 鉄道模型同好会どうりん 2023年度競作
     『地方の鉄道』
 54 第29回 JNMAフェスティバル
 58 第23回 国際鉄道模型コンベンション Part.1
 64 JAMコンベンション2024 企業ブースレポート
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 32 線路は続くよいつまでも 170回 /信沢 あつし
    奇跡的に残された荒物屋と線路
    日光御成道岩槻宿正能屋商店
 40 工作に役立つアイテムを紹介 ツールセレクション
    第53回 ハンダ台・コテ台・調圧器他 /山中 洋
 46 Nゲージ古典機への誘い /小川 謙二
    第39回 BEYER PEACOCK(英)
 50 Diesel Power in USA! /佐々木 也寸志
    Vol.109 サンフランシスコのPCCカー(2)
 70 モデリング・リサーチ・センター /解説:P.S.
    第125回 ガイアセメント
 72 入門者必読! 誰も教えない基礎・
    応用テクをプロモデラーが伝授
    Nキット上達への道 /解説:P.S.
    第28回:グリーンマックス 江ノ電1000形タイプ-(4)
 74 台鉄ナビ
    文:邱 浚嘉  翻訳:黃 昱嘉
 76 E.NUKINAのB級コレクター道 /貫名 英一
    第159回:東京電鉄のOゲージ(その2)
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 77 新車登場
 98 コンさんの工作メモ /今野 喜郎
    第9回 ハンダ付け作業こぼれ話
 99 子連れ鉄日記 /写真・文:山本 晃司
    第125回:京阪電車"プレミアムカー"
100 伝言板
118 BOOKS
119 甲種・特大輸送実績 2024年8月分
   JR東日本在来線車輛の動き 2024年7月
120 各種募集のご案内
122 新車登場INDEX
124 いちぶんのいち情報室
128 月刊とれいんバックナンバーのご案内・とれいんスケール呼称早見表
129 Combo Caboose・掲載広告索引
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J97

【第97号の主な内容】

特集:C58の魅力を各地に追って

丹但(たんたん)のプレーリー
    宮津線 勾配区間に魅せられて  田路和男    
近代蒸機C58の印象 
    高山本線の情景とともに   川本紘義    
道東の大自然のなかを 
    四季を走る釧網本線     奥野和弘    
ある夏の日の思い出
    陸羽東線のC58       遊川 清    
“準急”を牽いた時代へ
    行楽地へ向かう列車たち   佐竹保雄    
湖と台地と田園を巡って
    遠州 二俣線のC58      麻生郁彦    

人々の暮しを乗せて走る国際列車
   -ネパール ジャナクプル鉄道-     巻本彰一   


とれいん
11月増刊
定価:3,300円(本体3,000円)
A4判横綴じ84ページ
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9月8日,熊本市交通局上熊本の車庫で,新形電車2400が披露された.本来は9月1日に一般公開,8日に報道公開の予定だったそうなのだが,台風の影響で同日の開催になったとのことである.
 惜しいところで9月21日発売の,とれいん10月号に間に合わなかったので,ここで速報する次第.
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なにしろ約10年振りの新造車輛,しかも熊本としては初めてのアルナ車両“リトルダンサー”とあって,注目度は極めて高かった.写真:熊本市交通局

全体的に福井鉄道F2000形と近似性が高い.カテゴリーは同じ“new-L”に属する.それはスタイルも3車体で両端車体にボギー台車,中間車体には車体に固定されたボルスタレス台車が配されているという全体構成も同じである.
 しかし寸法を見れば,全長はF2000形の21,400mmに対して21,350mm,全幅はF2000形の2,600mmに対して2,380mm,床高さはF2000形では380mmで2400形では330mm…….側窓の配置だって,両端車体の前頭部は大きく異なっている.ということで“同形”ではない.
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白と黒を基調としたカラーリングも,熊本オリジナルである.写真手前から2301B+2401C+2401A.A車にシングルアームパンタグラフを搭載している.写真:熊本市交通局
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運転席.中央のメーターナセルは共通だが,ブレーキ・マスコンハンドルは右手操作タイプ.そのため,スイッチ類が左手に移動している.速度計の目盛は時速80キロまで刻まれている.写真:熊本市交通局

諸元表では最高速度は時速40キロとされているが,福井と同等邱殿性能を秘めているのではなかろうか.主電動機の定格出力は85kWであり,F2000形の60kWよりも高い.

客室に目を向ければ,収容力重視のオールロングシートであり,両端車体の連節部に“おひとりさま席”があることも同じである.ただし車椅子スペースの配置は違っている.なにより,腰掛表地の色遣いが違っていて,モノトーンのとてもシックなイメージに仕上げられている.
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F2000形では中間車体(C車)腰掛の前に出っぱりがあるのに対して,2400形にはない.これはひとえに1,067mm軌間と1,435mm軌間の違いによるものである.腰掛表地の柄は三角形で纏められた幾何学模様である.写真:熊本市交通局

ロングシートの採用により,編成定員は112名を確保している.うち座席定員は42名.
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2401Bの正面.前照燈はコイト電工製の花形を腰に配置,その内側に横長の尾燈を取り付けている.写真:熊本市交通局

形式の2400は,これまでの熊本市電の通例から,西暦の下二桁から採ったものに間違いなかろう.
 最初の開業から100周年となる記念すべき年にデビューした2400形が,ラッシュ時の混雑緩和に活躍し,構想されている路線の延長区間の輸送にも貢献することを祈っている.

熊本へ行きたい.


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