モデラーな日々 とれいんスタッフブログ

月刊とれいんスタッフの,模型と格闘していたりしていなかったりする日々をお送りします.

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先週のここでお伝えした新型車たちのうち,京急電鉄のトイレ付きL/Cカー,新1000形について,1月27日にダイヤ改正のリリースに含めて運用が発表された.
 それによれば,クロスシート状態での運転は,早朝6時9分に三浦海岸を4輛編成で発車し,横須賀中央に停車して6時27分に発車の後,金沢文庫で2100形8輛と併結して堂々の12輛編成となって品川へは7時28分に到着するという.

そしてそのリリースの中では,先日の発表から一歩進んで製造途中ながら屋外で撮影された車体の外観写真も掲載された.
 車号は1月20日付けのリリースで既に明らかになっている通り,1891-1~1891-4と1892-1~1892-4である.
 なお前回のブログで京急がハイフン方式の車号を付けるのは800形以来かと記したが,新600形に存在,しかも現存していることを失念した,誤りである.ここで訂正させていただく次第.失礼しました.
 そして“モーニング・ウィング3号の定員が128名増える”とも記された.すなわち1890番代は4輛で128名,ということは1輛平均の座席定員は32名ということになる.
車体外観

総合車両製作所
横浜事業所構内で撮影されたと思われる京急電鉄の1891-1.先週の予想通り,側板は継目のないsustina構体となり,赤と白もラッピングではなく塗装であることが明らかとなった.写真:京急電鉄


新たに読み取ることができたのは,正面では窓上の前照燈がコイト電工製の花形らしいLEDに変更されたこと,腰板の尾燈+通過表示燈のケースが小型になったこと,正面窓下の“1000”表示と車号の取り付け位置が窓に近くなったこと,社業の書体が新しくなり,従来より小さくなったことなどが挙げられる.
 側面では乗務員扉の上隅に丸味がついたこと,幕板の列車種別・行先表示装置が少し大型になったこと,“KEIKYU”ロゴが車号とともに戸袋部へ移動したこと,幕板に車外スピーカーが2個取り付けられたこと,構体構造の変更により,雨樋が側面上端に隠されたことなどが判る.
 画面右奥にも京急電車が写っている.おそらくは1890番代なのだろうが,先頭車なのか中間車なのかまでは断定することができない.
 それにしても乗務員扉と最初の側扉との間の極端に縦長の窓は,なにを意味するのだろうか.

インテリアでのその他の特徴は,フリーWi-Fiを設置,腰掛には交流100Vの電源コンセントを取り付け,防犯カメラを設置,などである.また,運転室直後のスペースは新1000形の途中,ステンレス鋼製となった際に立席スペースとなっていたが,今回は“前面展望席を復活”とある.超縦長の窓は,その展望席用なのだろう.
多目的トイレ外観イメージ図
2号車車端部に設けられる多目的トイレの外観である.男性用トイレは3号車に設置される.

トイレを設けたら処理設備を建設する必要がある.これは金沢文庫と久里浜に整備中とのことである.

今回製造される1890番代は4輛編成が2本である.朝の上り列車に使って車庫入りではあまりにももったいない.せっかくのL/Cなのだからロングシートでの通常運用にも充当されることを大いに期待したい.

さてここで,在来の1800番代との比較をしてみたい.掲載したのは前回の“京急特集”に際して撮影した写真だから,3年前の姿ということになるが,少なくとも大きな変化はしていないはずである.
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在来の1800番代.前照燈はシールドビームで,車体側面の車号書体は,いわゆるゴシック体.側面のロゴと車号は腰板に取り付けている.これが,今までの京急電車の標準であった.金沢検車区 2017-9-5

さて,この1890番代が京急線内に搬入されるのはいつのことだろうか.リリースには“モーニング・ウィング3号”の増結に使用されるのは5月頃からと記されている.とすると,3月初めごろの落成でも,充分に間に合うだろうか.

さらに京急電鉄では“貸切イベント列車などフレキシブルな…”と謳っている.ということは,今回の2編成を皮切りとして,もっともっと増やす構想があるということになる.どのぐらいの規模になるのだろうか.

春よ来い!早く来い!である.


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昨年12月11日のJR東日本総武・横須賀線用E235系1000番代お披露目以来,しばらくの間,新型車や新車の発表やお披露目が途切れていた.ところが今週,それも19日から今日にかけて,構想の発表から現車の落成,お披露目の知らせが相次いた.世の中,ままならぬものである.

最初は昨日寝屋川車庫で披露された,京阪電鉄の新しいプレミアムカーである.
 最初は8000系を改造しての登場だったプレミアムカーサービスだが,好評をもって受け入れられ,すべての特急車に組み込まれることになった.
 そのために3000系の中間車を新造したということなのである.
 プレミアムカーとは,2017年に,京阪電車創業以来初めての,有料座席指定サービス車のこと.京阪神間では乗車券だけでクロスシートにゆったり座って旅ができる,というのがこれまでの常識だったのだけれど,時は流れて特別車の需要が生まれたということなのだろう.
 当然のことながら客室のグレードは一段高くて,腰掛けは通路を挟んで1/2人掛けのリクライニング式.アテンダントが乗務し(現在は休止中だが)するという充実ぶりであった.
 前特急車に組み込むとなると,8000系の時のように在来車の改造というわけにはいかない.そこで3000系の中間車を6輛新造して在来の6号車を置き替えるという手法が採られた.新設計だから,インテリア設計の自由度は高い.
 シートピッチは1,040mmに拡大し,窓配置と座席の配置が一致するようになった.仕切壁には大型テーブルを設置した.室内の情報表示装置にも新機軸が採用された.側扉は,当然のことながら本来の3000系に準じた両開きである.
 営業運転は1月31日から始まる予定.早く乗ってみたいものである.
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僕の世代では“京阪特急”といえばカーマインレッドとマンダリンオレンジのツートーンカラー……なのだけれど,今回の青一色というのも悪くないと,来住憲司さんが撮影してくださったこの写真を見て,ふと思ったことである.寝屋川車庫 2021-1-20 写真:来住憲司
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本当に京阪電車?と,思わず見つめ直してしまいそうな豪華な客室.窓割と腰掛のピッチが一致しているというのは,やっぱりよいものである.欧州大陸などではあまり頓着していない節があるけれど.寝屋川車庫 2021-1-20 写真:来住憲司

京阪のプレミアムカーに驚いていたら,同じその20日,京浜急行電鉄からロング・クロス変換シート(L/C)装備車をデビューさせるとの発表があった.
 このリリースでビックリさせられたのはL/Cだけではない.なんと,トイレを備えるというのである.京急始まって以来ではないだろうか.

このトイレ付きL/Cカーは,いまや京急で最大勢力となっている新1000形のうち4輛編成の1800番代をベースとした1890番代だという.それも,800形で採用された,ダッシュ“-”つき番号で,1891-1と,製作中の写真にはっきり見える.
バリアフリー対応トイレのコピー
大型車椅子対応トイレの中.これも,“ホントに京急電車なの?”と思わせる光景である.しかも,男性用トイレも別に設けるというのだから,徹底している.4輛の中で,どのように配置されるのだろうか.写真:京急電鉄
最終製作中(2020年12月現在)
昨年12月現在の1891-1.やはり全面塗装である.しかも側窓上下に継目はない.総合車両製作所の“sustina”構造を採用したことが明らかである.乗務員扉と最初の側扉の間のスリット状の窓?も気になる.この部分にも腰掛を取り付けたのだろうか.写真:京急電鉄
クロスシート製作中
トイレと新しい車体の話題に,L/Cの存在が霞んでしまいそうだ.写真は製作途中の客室に据えられた腰掛.クロスシート状態を示す.写真:京急電鉄

京急電鉄のクロスシートへの“情熱”はなみなみならぬものがある.例えば,混雑時とそうでない時のせめぎ合いから,収納式クロスシーとともいうべき“ツイングルシート”というアイデアが,現在の600形に採用されたこともある.
 今回は4輛編成2本が製作され,春から営業運転を開始する予定とのこと.さて,お披露目はいつだろうか.

京阪のお披露目と京急の発表の前の日,19日にはJR東日本から新しい事業用車輛の発表があった.形式はGV-E197系とE493系.
 近年のJR東日本の車輛付番方式から,前者は電気式気動車,後者は交直流電車と判る.ではその中身は?

まずGV-E197から.両端に動力車を置き,中間にホッパー車を4輛組み込んで1ユニットとなっている.形式は動力車がGC-E197,ホッパー車がGV-E196.ホッパー車は貨車ではなく付随気動車という扱いなのだろう.現車は1月20日に新潟トランシス最寄りの藤寄から新津まで輸送されたようである.この最初の編成は高崎に配置とのこと.
GV-E197系
車体は20m級の長さのようだから,機器類は全部床下に取り付けることができそうに思うのだが,大きな側扉や換気口のようなスリットが見える.中身は? 写真:JR東日本

続いてE493系.車体はGV-E197と同じようにもみえる.とすれば製造は新潟トランシスが担当するのだろうか.2輛1ユニットのようである.
E493系
正面デザインなども両車共通に見える.連結器が,いわゆる双頭連結器であるのも同じ.交直両用だが,中央本線などの狭小トンネルは通過することができるのだろうか.写真:JR東日本

ともに今年春以降に投入されるとのこと.レール輸送は既にキヤE195系がどんどん装備されている.
 そうなると,DE10やDD51,EF64,EF65,EF81,そしてED75の命運は? “カシオペアクルーズ”の牽引機は?……趣味人としては大いに気になることである.

そして,今日.横須賀線逗子の駅から,真っ赤な電車が4輛,JR貨物のDE10 1666に牽かれて旅立って行った.しなの鉄道のSR-1系一般車である.
 形式はL/C仕様と同じで番号が200番代となった.車体そのものはもちろん,機器類もL/C仕様と同じに見える.けれど,赤い出で立ちが,いかにも華やかである.春から営業運転を開始する予定とのことだが,一日も早く,信濃路を走る姿を見てみたいものである.
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逗子の駅を出発した,しなの鉄道SR-1系一般車4輛.写真:前里 孝

JR東日本の721系に始まるこの正面の表情も,ずいぶんと仲間が増えたものである.そういえば千葉ではE131系が営業運転をはじめることになっている.報道公開が待ち遠しい.

と,4社5種類の新車を,一気に駆け足で紹介することになった,今週のブログである.



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【今月のオススメ記事】
キハ10,キハ20と発展してきた国鉄の汎用気動車.その集大成ともいえる存在が,キハ40系でした.登場してから既に40年以上を経て,いよいよその活躍にも終わりが見えてきました.
 12月号でのJR西日本の現況観察に続き,3月のダイヤ改正で全面引退がアナウンスされたJR東日本の五能線用車輛たちと,こじんまりした世帯ながらオリジナルの面影を強く残すJR四国の車輛たちを,MODELERS FILEとして徹底観察しました.存分にお楽しみください.
 模型記事では,紙成模型塾を含め,新年号に引き続いて小田急関連の作品が並びます.
 昨年来,その活動に大きな制限が生じているライブスチーム,庭園鉄道ですが,市川蒸気鉄道クラブでは,この機会を利用してレイアウトの大規模整備を実施しました.そのレポートをお届けします.
 好評をいただいていた連載"国鉄時代の私有コンテナ"が.105回目の今回で締めくくりとなります.次の展開をご期待ください.
 その他の一般記事や好評の連載記事も充実満載です.

【目次】
MODELERS FILE-----------------------------------
  4 四季の彩りを纏い行く晩年のキハ40系
                撮影:伊藤 一己・菅原 修・冨山 浩二・
                   鳴海 望・なんこう・平野 聰 
 10 東日本旅客鉄道 キハ40・48 五能線
     引退迫る国鉄時代からの主役たち
            写真:冨山 浩二/なんこう/平野 聰/脇 雅恵
                まとめ:前里 孝 資料提供:JR東日本
 21 四国旅客鉄道 キハ40・47系
     オリジナルの面影を求めて
        まとめ:岡本 真和 写真:岡本 真和/北野 勝也/北岡 信
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  3 けんかつ運転会"ちょびっとJAM"開催
 28 紙成模型塾 第五十五講            講師:箕川 公文
     小田急デハ2600形(NHE)
     小田急初の20m大型通勤車を作ろう! Part2
 36 Nゲージで辿る小田急電車の系譜
     第1回 戦前の車輛とHB車            大島 仁知
 40 関東鉄道の気動車を作る               市川 豊光
 42 国鉄時代の私有コンテナ               吉岡 心平
     第105回(最終回)  UT9形タンクコンテナの解説(2)
 46 チームおやびん気動車大集合! part.1
 60 英国鉄道へのいざない 第7回
     黎明期の蒸気機関車(模型編)
 64 サロン・ド・庭園鉄道
     運休中の行徳レイアウト整備実施
                    市川蒸気鉄道クラブ 渋谷 映輔
 68 鉄道模型コンテスト2020
     第12回 全国高等学校鉄道模型コンテスト
 74 Products Data file カトー製 東武8000型更新車(N)
131 紙成模型塾 型紙小田急2600形 中間車(デハ2600・2700・2800)
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 34 線路は続くよいつまでも 第126回 /信沢 あつし
    500年の歴史の中に埋もれる線路
    長野県上諏訪丸多田中屋(2020年9月19日)
 52 Diesel Power in USA! /佐々木也寸志
    Vol.87 シーメンス・チャージャーSC-44
 56 モデリング・リサーチ・センター /検証:P.S.
    第90回 ガンダムマーカー(1)
 58 工作に役立つアイテムを紹介 ツールセレクション /山中 洋
    第21回リムーバー・洗浄用品
 72 台鉄ナビ
    文:邱 浚嘉 翻訳:濱川 真由美
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 76 新車登場
 92 輝け!日本の運転会
 94 E.NUKINAのB級コレクター道 /貫名 英一
    第115回:箱根登山鉄道モハ1(その2)
 95 子連れ鉄日記 /写真・文:山本 晃司
    第81回:模擬テストと鉄道
 96 伝言板
118 BOOKS
119 甲種・特大 運行計画 2021年2月
120 各種募集のご案内
122 新車登場INDEX
124 いちぶんのいち情報室
128 月刊とれいんバックナンバーのご案内・
   とれいんスケール呼称早見表
129 Combo Caboose・掲載広告索引

2021年1月21(木)発売
定価:本体1,450円+税


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R117


◆東京・山手線をめぐる
 原宿駅の謎 高輪海中築堤の発掘

東京の山手線は,その成立以来,東京の人々の大切な足として機能してきました.
 その長い歴史の中には,数えきれないほどのエピソードがありますが,今回はその中から駅本屋の扱いで話題になった原宿駅と,高輪地区再開発に伴って発掘された,鉄道創業時に築かれた海中築堤について採り上げてみました.
 原宿駅は,建物財産標に記された竣工年月に疑問を感じた高見彰彦さんが,蒐集資料や写真から,その謎に迫ります.
 高輪海中築堤については,発表された現況の写真に加えて,明治初期から中期にかけて撮影された貴重な写真コレクショから列車の走行風景を目に掛けます.
 ヒギンズさんのモノクロ写真作品集の第2回目も,今回のテーマに沿って,昭和30年代から40年代にかけての,山手線にちなんだ情景や車輛の写真をご覧いただくことにしました.
 高橋卓郎さんからは,昭和50年代前半に遭遇した昭和天皇の御召列車運転状況を含め,原宿駅周辺の思い出写真をご提供いただきました.


◆阪急京都本線小史 
   貨物専用線・西院貨物駅の沿革

第2テーマは,阪急京都線の西京極や西院の駅に残された歴史的構造物から,貨物輸送も視野に入れた新京阪鉄道の壮大な構想の一角を,林 宏祐さんが解き明かしてくださいました.


2021年1月21日(木)発売   定価:本体3,600円+税 

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昨年12月はじめにJR東日本から発掘が発表された“高輪海中築堤”l.高輪ゲートウェイ駅建設とその周辺の再開発工事にともなって発掘された,鉄道創業時の遺跡である.
 その報道公開が1月8日に実施され,幸いにも参加することができたので許された範囲内でじっくりと観察してきた.

当日の朝はすごく寒かったけれど風はなく,空も雲ひとつなく晴れ渡って,遺跡観察には好適の日和であった.
 集合場所から敷地の中に入り,現場事務所の前でブリーフィング.取材陣は3ヵ所の公開ポイントを3つのグループに別れて順に撮影観察を行なうという段取りであった.

僕たちのグループが最初に案内されたのは,クリアランスが線路下から1.5mしかない,高輪橋架道橋や大木戸跡にほど近い,ポイントB.
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四角い石を横に目が通るように積まれた石垣.右端が途切れているのは,そのすぐ右側(北側)に水路のための擁壁を作るためだったかもしれない.そのさらに右側に高輪橋架道橋がある.画面右上に見える立ち木の場所が,大木戸跡である.

石垣の積み方にはさまざまな様式があって,なかなかに奥が深い世界のようである.
 今回発掘された石垣は,切込継布積と呼ばれる様式のようである.見た目は美しいが石材の加工や構築に手間が掛るとのことで,それは素人の目にも明らかである.

続いて案内されたのが,もっとも品川駅に近い,ポイントA.7号橋梁の橋台が露出した部分で,今回公開された遺跡の中で,ハイライトともいうべき部分である.
 この橋台の写真はJR東日本から12月2日に発表されたニュースリリースにも添えられていて,先のブログとれいん1月号の“いちぶんのいち情報室”でもお目に掛けたのだが,周囲が写り込んでいないものだから,大きさを掴むことができなかった.
 それが現地を訪問してみれば一目瞭然.明らかに3線分の幅がある.
 3線……明治5/1872年の鉄道開業時,本線は単線だった.複線化は明治9/1876年,のちの山手線を加えて3線となったのは明治32/1899年のことである.
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品川方から田町方を望む.先ほどのポイントから南へ下がったポイントである.大木戸跡付近も写りこんでいる.かつての山手線や京浜東北線の線路跡にパワーショベルが留置されている.発掘された築堤からこちら側は田町電車区の敷地になるのだろうか.

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7号橋梁橋台のクローズアップ.手前(海側)と奥(山側)とで石材の表面の仕上げが異なっていることが判るだろうか.露出した部分のほぼ中央から山側が線増時の増築分で,手前が創業時の石垣.手前の方が表面の仕上げが平滑である.
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7号橋梁橋台を田町方から見る.翼の石積みも美しい状態で残されている.石垣の裾部分には丹念に縁取りが施されている.海面にはたくさんの杭が見える.

数えきれないほどの数の杭はいずれも松材.昭和のはじめころまでは大きな構造物の基礎部分に松材が多用されていた.そういえば東京駅の復元作業でも大きな松杭が発掘されたのを見せてもらったっけ.

最後は,もっとも田町寄りのポイントA.かつて京浜東北線の乗り越し線や,品川客車区の札の辻群線,東京機関区があったあたりになるだろうか.
 ここでは,築堤を横断して山側に回ることができた.
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右手に見える高架橋は東海道新幹線.石垣は海側よりも切り立っている.随所に手作業で進められた発掘作業の跡が見える.

この部分で,自分の歩幅によって築堤幅を測ろうとしていたら,最初の複線分の幅が6.4m,3線分で15mと説明された.そのぐらいあれば,確かに充分である.
 そして大正期には,海側は東京機関区や品川客車区が新設されることで埋立が進み,山側は山手線や京浜線の線増で陸地化して,海中築堤は姿を消すことになった.
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山側の石垣をクローズアップで見る.海側とは積み方が全く違っている.谷積みというのだそうである.

谷積みとは,石を斜め(対角線が縦になる)にして積み重ねる様式で,江戸時代後期に始まった積み方だとか.有名な例は五稜郭の石垣だそうである.

……来週,20日前後には店頭に並ぶ予定の“レイルNo.117”の68から69頁には,この石垣の現役時代の姿を掲載している.
 レイルの締切時点では現場を見ることができていなかったため,明治32年以降の3線化以降ではないだろうかと推定して記した,6150形が列車を牽いて走る走る写真の撮影時期が,石垣の積み方からも立証できた.ほっ.
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品川から新橋目指して快走する6150形牽引の旅客列車.レイルの写真説明ではバラストの新しさを撮影年代推定の根拠としたが,現地を観察して,石垣の積み方からほぼ確証となった.写真所蔵:前里 孝


ということで,レイルNo.117の発売を,楽しみにお待ちいただきたい


実は,1月10日から12日に掛けて実施された一般向けの見学会にも申し込んでいたのだが,残念ながら外れてしまった.報道公開に参加できたからよかった……と思っていたら,一般公開では,同時に発掘された汽車土瓶などが展示され,石垣の石,引き抜いた杭などを間近で観察することができたそうである.そういう意味では,残念!ではあった.次の機会を待つことにしよう.

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