モデラーな日々 とれいんスタッフブログ

月刊とれいんスタッフの,模型と格闘していたりしていなかったりする日々をお送りします.

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第2次世界大戦中,“不要不急路線”として複線を単線にされたり,あえなく廃止されてしまった鉄道路線は少なくない.
 新京阪……阪急嵐山線もそのひとつで,経緯についてはレイル49号で下嶋一浩さんが詳しく述べられている.ちなみに,嵐山で接続していた愛宕山電鉄は“廃止撤去”され,戦後も復活できなかった路線の一つである.
 その稿の中,24頁で“残っている橋桁は撤去されなかったものか戦後復活したものか不明”と記されているのが気になっていた.
 気になりつつも,嵐山線を訪問する機会に恵まれなかったのだが,今年早春のある日,ほんの少しだけ沿線を歩くチャンスがあった.そこで,上桂と松尾の間に架かっているトラフ桁の下を潜り抜けられることに気づいたので,しばし観察してみた.
 その結果はといえば,断定はできないものの,元の橋桁であると考えられる手掛りを発見したので,写真をお目に掛けることにした.

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この橋梁の名前は“宮ノ前避溢橋”.残念ながら銘板が見当たらない.そこでなにか手掛りになるものはないかといろいろ探索…….

避溢橋とは,大雨などに際して,築堤が水をせき止めて洪水にならないよう,水を逃がすために設けられた橋のことだそうである.だから橋といっても普段は水はなくて,ここでも通路となっている.だからこそ,橋桁の真下に潜り込んで構造材を見ることができたのだ.
  しばしのちに発見できたのは“SEITETSUSHO YAWATA”の銘.すぐ脇には“BS 9×3”などという,規格や寸法を示す刻も見える.ちなみにBSとはBritish Standardsの略,9×3は9インチ掛ける3インチを示すそうだ.では製造年が……と探すも,それは見つからない.けれど,別の部材に“ヤワタ”と いうカタカナの銘があった.ということは,こういう銘を刻んでいた年代を特定すればいいわけだ.いろいろ探しているうちに,九州大学の“九州大学学術情報リポジトリ(QIR)” の中の八幡製鉄所研究論文の中の“第 4 章 第一期拡張計画”に行き当たった.それによれば,この銘を使っていたのは明治末から大正にかけてとのこと.ならば“戦後復活した”という可能性は低い.も ちろん,戦争が終わってからどこかから移設してきた考えられないこともないけれど,その場合には,同じ形,同じ寸法の桁を揃えることは容易ではないはず.

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陽が当たってちょっと見えづらいが,右端にカタカナを読むことができる.なお,この画像は180度回転して掲載している.実際には文字は天地逆になっているわけである.

なにしろ,現用されている橋桁と,すくなくともディテールは全く同じなのだから.電車の先頭に立って観察してみれば,それは他の橋梁でもことごとく当てはまること.
 ということで,嵐山線は,線路こそ撤去されたものの,橋桁は撤去の計画だけで実際にはそのまま存置されたと考えるのが妥当ではなかろうか…….

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現在も電車が通っているほうの橋桁.カバーが掛かっていたりして,充分な観察はできなかったけれど,構造といい外観といい,同じものであることに,ほぼ間違いないだろう.
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先週3月11日に起きた東北・東日本大地震は,日が経つにつれて被害の甚大さが明らかになり,我々編集部では幸いにして大きな被害はありませんでしたが,自然災害の恐ろしさにただ身のすくむ思いです.被災された方には心よりお悔やみ申し上げます.
 現在も多くの方々が避難所での生活を余儀なくされ,首都圏では計画停電など生活への影響が続いておりますが,どうぞ心をしっかり落ち着けて,復興に向けて日々を立て直して参りましょう.
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さて今日は,海老名駅前のショッピングモール“ViNA WALK”にオープンした“ポポンデッタwith小田急トレインギャラリー”にお邪魔して参りました.
  先日は博多駅ビルにオープン(4月号“新車登場”も御覧下さい)して,九州進出を果たしたポポンデッタですが,今度のビナウォーク店は,小田急電鉄とのコ ラボレーションにより,店内に小田急の歴史や実物のトレインマーク,電車の運転台などを展示しているのが新しい試みです.
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ビナウォーク6番館2Fのテラス沿い(隣はTOHOシネマズの入口)という,明るく分かりやすい場所にオープンしたお店は,店内の左側に大きな二層式のNゲージレンタルレイアウトが設置され,箱根湯本駅や江ノ島などご当地神奈川の風景が表の大きなガラス越しに覗けます.
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その右側には小田急を中心とした鉄道グッズなどの販売コーナー,そして鉄道部品や実物の5000形運転台などが展示され,模型売場以外にも見所は一杯あります.
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運転台は実際に座って操作することも可能で,初日には間に合いませんでしたが,運転台正面にプロジェクターを設置して展望ビデオも流すとのこと.小田急ファンのみならず電車好きには嬉しいアトラクションですね.
 鉄道模型店と鉄道会社のタイアップによる新たな試みで,これからの模型店がさまざまな情報の発信源としてファンの集う場所となる可能性を感じます.
 冷たく澄んだ空気のなか,表のテラスから駅方向を振り返ると丹沢の山々がとても綺麗に見えました.
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今回の地震について,状況確認をしているうちに,いくつもの,賞賛すべきできごとがあったのを知ることもできた.世の中,本当に便利になったもの で,職場や自宅にいながらにして,16年前の神戸の地震のときとは比べ物にならない分量の情報を,手元に手繰り寄せることができる.
 それらは,例えば国土交通省が 纏めている“災害情報 平成23年東北地方太平洋沖地震(総括)”や国土地理院が撮影した地震発生翌日の空中写真のような,事実を冷静客観的に列挙した資 料や,地方紙のほんの小さな記事の中から見いだすことができるのだけれど,大マスコミの多くは,そういう[無事]であることは,大きくは報じてくれない.
  例えば,仙石線の2本の列車が,永らく連絡不能であったことは報じられ,その後,確認されたことも伝えられたのだけれど,津浪に流された車輛はTVや新聞 に何度も登場したのに,もう1本の列車については,なんら報じられなかったように思う.ならば自分で探すしかないだろうというわけで,国土地理院の“平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震による被災地の空中写真” を探して,見つけた.その列車が,野蒜駅の少し石巻方にあるカーブした切り通しの中に,ひっそりと佇んでいる写真を見いだしたときには,本当に驚いた.写 真を見るかぎり,偶然この場所に停車したとは,とても思えないのだ.乗務員が機転をきかせて,津波に対して安全な場所を選んで意図的に停車したのだと,信 じている.
 常磐線の新地駅に停車中のE721系2連×2は,残念なことに津波の猛威の前に線路から大きく逸脱して大破してしまったけれど.乗客も乗務員も,無事であったと報じられた.地震を感知した乗務員が,跨線橋の上に乗客を誘導したというのだ.
 どちらの状況も,“安全確保”という精神がしっかりと身についている,確かな証しであろう.なにしろ地震が発生したときには新幹線も含めて列車がたくさん走っていて,被災した列車も多いのに,乗客に死者が一人もいない,というのは驚嘆し,賞賛すべきことだと思う.
 ちなみに野蒜駅の写真は“石巻市周辺”に含まれている.写真番号はCTO-2010-4-C04_1508.jpgである.

陸中野田駅~久慈駅間で復興支援列車を運転します。” という三陸鉄道のリリースも,大きな驚きだった.路線図を見れば判る通り,運転区間は,距離にして約11キロ.ほんの2駅に過ぎない.過ぎないけれども, 地元の人々にとって,“列車が動いている”という事実は,大いなる心の支えになるに違いない.しかしその三陸鉄道では,高架橋が崩壊して島越駅が消失して しまうなど,甚大な被害を受けているのだ.そんな中での列車運行再開には,大いなる意気込みを感じざるをえない.

三陸といえば,各地に小さな酒蔵がある.しかし“口を運ば”なければ味わうことができない銘柄が多い.
 ところが,地震直後の週末,気分転換に近くの酒屋さんに出向いたところ,棚からの視線を感じた(いや,オカルトなどではない.皆さんも,似たような経験をしておられるはずだ.酒屋ではなく模型屋であるかもしれないけれど).
 近づいてみれば,大きく“純米酒”.醸造元は陸前高田市…….“酔仙”というお酒だった.すぐさま購入したことは,いうまでもないだろう.
 持ち帰って,改めて観察(!)し,記された住所はを検索してみたら,そこは何度もTVに登場していて,市街地は跡形もない.なんたる.
 さらに見れば,ラベルには会社のURLが.恐る恐るアクセスしてみたら,生きてるではないか.外部サーバーなのか?それとも?
 さっそく夕食時に開封したのだが,“米の旨味とバランスの良さ…冷やで良し、燗で良しの呑み飽きしない、ふるさとの純粋で素朴な味わいをお楽しみ下さい。”とある通りの素直な呑み口だった.

14日の月曜日,東京電力の五月雨的停電による混乱をかいくぐって出勤してきた堀口嬢にこの話しをしたのだが,翌朝,さらなる混乱にもめげず会社に到着して一番のセリフが
“あのお酒,陸前高田でしたよね”と.
きょとんとしていたら,
“陸前高田の酒造会社の社長さんがNHKのインタビューに出てたんですよ!”と.
間違いないと思いながら,件のサイトにアクセスし,“会社概要”に登場する社長さんの写真を見せたら,一瞬首をかしげたものの,すぐに
“髪の毛を乱して,ヒゲを生やせば……この人です!”.

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“酔仙 純米酒”.復活してください.復興の祝い酒として,呑みたいです.

仙台港には船舶が接岸して救援物資の搬入が始まった.上越線経由だろうか,根岸から日本海縦貫線を経由しての貨物列車による石油の輸送も開始される.
 不通になっている各路線の開通や,被災した車輛の修復も待ち遠しいが,その計画,施工,管理に関係する人々は,くれぐれもご自身の健康第一で業務に携わってください.祈ってます.

2011.03.17.23:59:一部追記修正
2011.03.22.09:09:さらに誤記訂正(すみません)
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T1104
【今月のオススメ記事】
●MODELERS FILE 201系京葉線
中央線快速電車から引退してから後も,引き続いて京葉線で 201系電車が使われてきました.しかし,それもE233系5000番代の投入によって,引退が目前に迫っています.そこで,まだ現車を見ることができる この時期に,改めて201系の特徴を観察してみました.併せて,最終期に京葉線で働いた201系試作車の姿を,鉄道コレクションを使って再現してみまし た.
●2011年欧州製品最新情報
毎年4月号といえば,欧州型ファンには待ち遠しい,ニュルンベルク見本市での新製品情報です.今年は見本市会場でのサンプル写真もふんだんに掲載し,今まで以上に濃い内容となっています.

注:配送状況について
3月11日午後に発生した“東北地方太平洋沖地震”に関連して,日本全国の物資輸送状況が極度に悪化しております.
 関東地方以北については,ほぼ完全に輸送手段が失われておりますので,商品の発送が不可能となっております.
  また,それ以外の地域につきましても,東京電力が実施している五月雨的な停電により,東海道本線の一部区間が運転不能となっている(3月15日12時45 分現在)など,極度の混乱状態に陥っております.その結果として,新刊のみならず,弊社直接,模型店や書店経由などすべての窓口において,商品がお手元に 届くまで,相当時間を要することが考えられます.
 ご迷惑をお掛けいたしますが,事情をご理解いただき,ご協力下さいますよう,お願い申し上げます.
 地震関連で被災された皆様には,心からお見舞い申し上げますとともに,一日も早い復旧,復興を願っております.

とれいん2011年4月号(通巻436号)目次
特集--------------------------------------------------------
8 MODELERS FILE 201系京葉線
     JR東日本最後の201系を観察する
        写真:高見一樹・前里 孝・平野 聰/解説:高見一樹
18 お手軽加工の京葉線201系             /平野 聰
     鉄コレ塗り替えで900番代編成を再現
特別企画----------------------------------------------------
20 2011年欧州製品最新情報
     特別協力:Spielwarenmesse eG Nuerberg/
     ニュルンベルク国際玩具見本市日本代表部/
     チムニー/モデルバーン/現地各会社
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3 カルタゴ カラーグラフ
4 模型千一夜物語             /畑中 博
    6.5mmレイアウトを作ろう!
    第2回 ポイントの製作
6 Products Data file
    トミックス製 JR西日本183系“たんば”“まいづる”(N)
38 保存車輛めぐり 3月14日オープン! JR東海 リニア.鉄道館
46 ABC of DCC 第2回               /加坂 紳
    ワンタッチでデコーダー搭載!
52 MODELERS FILE FRAGMENT JR東日本E233系5000番代
    −京葉線の最新車輛を観察する(その2)−
                    /撮影・解説:高見 一樹
54 OS-TRAMを組む・楽しむ・改造する
     第7回(最終回) ついに完成!  製作・解説:武田 光市
62 MODELERS FILE 東日本旅客鉄道 出場間近のC61 20
          /写真:大穂 孝悦/前里 孝 協力:JR東日本
70 合運リレー PART2   取材:西原 功/撮影:松本まさとし
    関西合運から関東合運へ 2週連続で週末を席巻!
73 紙成模型塾 EXTRA 2010年の成果発表
    中学生からベテランまで,みんなが楽しんだペーパー作品集
82 電車のB級グルメ? 373系と107系    /小竹 純・木村 則之
    165系の後を引き継いだご当地電車たち
87 鉄道模型とあそぼう              /楠居 利彦
    15回目を迎えた神戸恒例のお祭り
94 Bluebell Railway Footplate Experience Report  /星野 公男
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42 Great Structures /山田 宜司
    1/150スケール世界遺産レイアウトに浸る
    第5回 サナアの旧市街登場
50 蕗狩通信 /北村 昌三
    第2回 Baldwin outside flame 2-6-0“SARASVATHI”
58 連載 サンフランシスコベイエリア 乗物めぐり
    第13回 BART(その2) /新宮 琢哉
66 おとなの工作談義 /嶽部 昌治・武本 典幸
    つくるを知れば模型は3倍楽しくなる
    第8回 プラ板から始まる自作宇宙
76 線路は続くよいつまでも /信沢あつし
    第8回 亜炭坑のトロッコ探しが…軽便鉄道!?
    上信電鉄山名付近 ナローの痕跡
78 Diesel Power in USA! /佐々木也寸志
    Vo.28 北米鉄道最新情報 part.5
    シカゴ周辺で出会ったカラフルなディーゼルたち
88 国鉄時代の私有コンテナ /吉岡 心平
    第2回 私有コンテナの規格とサイズ
92 輝け!日本の運転会
97 つけたりはづしたり /なんこうやすひろ
98 新車登場
121 日本の車窓から /島田 萌
   第37窓 今年はどこへ行きましょう
122 伝言板
148 いちぶんのいち情報室
154 BOOKS
155 甲種・特大 運行計画
156 各種募集のご案内
157 G線上のマリア 第9回:どこからきたの? /荻野目かおる
    モデラーな日々 とれいん出張所
158 新車登場INDEX
160 とれいんバックナンバーのご案内
161 Combo Caboose・掲載広告索引

2011年3月19日(土)発売(注:予定)  定価:本体1,429円+税

バックナンバーの内容はこちらからどうぞ

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J43

蒸機の時代最新刊 No.43のご案内です
■第43号の主な内容(登場順)
親不知
電化直前の日豊本線
版画と蒸汽機関車
庄野鉄司 作品集 その14
御殿場線の思い出
筑豊のC55 冷水峠にて
中央西線 田立付近
日豊本線 延岡−宮崎間 電化直前
東北本線 松島付近
高松にて
昭和46/1971年3月
北海道撮影行 その2
終焉期の西独蒸機 その2

2011年3月19日(土)発売(注:予定)
定価:3,300円(本体3,000円)

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バックナンバーも好評発売中です
第25〜32号…各巻 定価:3,133円(本体2,848円)
第33号〜……各巻 定価:3,300円(本体3,000円)
[品切れ:第1号~24号]


注:配送状況について
3月11日午後に発生した“東北地方太平洋沖地震”に関連して,日本全国の物資輸送状況が極度に悪化しております.
 関東地方以北については,ほぼ完全に輸送手段が失われておりますので,商品の発送が不可能となっております.
  また,それ以外の地域につきましても,東京電力が実施している五月雨的な停電により,東海道本線の一部区間が運転不能となっている(3月15日12時45 分現在)など,極度の混乱状態に陥っております.その結果として,新刊のみならず,弊社直接,模型店や書店経由などすべての窓口において,商品がお手元に 届くまで,相当時間を要することが考えられます.
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 地震関連で被災された皆様には,心からお見舞い申し上げますとともに,一日も早い復旧,復興を願っております

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