平成元/1989年にオープンした東武博物館が,早くも20周年を迎えた.これを機会に,長期休館という大胆な施策の上で,全面的なリニューアルを果たし,来る7月22日に再オープンする.
それに先だって,7月17日に内覧会が行なわれ,本誌もお招きいただいて取材してきた.詳細は来月発売の9月号でお目に掛ける予定だが,とりあえず速報として,若干の思い出話を含めたレポートをお届けする次第.
思えばオープン時,僕の撮影機材は,まだニコンF4を購入する以前,ニコンF2やニコマートELが主力だったかった時代である.F4は既に発売されていて,テストレポート用のボディとレンズ,そしてストロボも当時の最新鋭SB24を拝借した記憶がある.
それが今回は,なんとか自前のD700とSB800というストロボの組み合わせ.レンズはタムロンの17-35㎜である.館内照明の色温度の違いなどをほとんど気にすることなく,ストロボなしの手持ちでも,なんとか綺麗な写真を撮影することができた.まったく20年という時間とは,偉大なものである.
さて,今回のリニューアルの目玉は,今年2月号“いちぶんのいち情報室”で搬入の模様をお目に掛けた,モハ5701と近江鉄道から里帰りしたED4001……101号電気機関車.
101号電機は,車体塗装を茶色に変更し,ステップを撤去するなど.現状でできる範囲で原形の面影を取り戻した.機械室の内部は,東武から近江へ譲渡した時とほとんど変っていないということで,現状維持.
新調された101号電気機関車の番号板と東武鉄道の銘板.製造所銘板はオリジナルである.
モハ5701はといえば,現役の最終期ちょっと手前という状態に整備されての搬入であり,“将来的には原形の非貫通2枚窓に戻したいんですよね”と花上嘉成館長が語っておられたのだが,なんと,お披露目までの短い間に,それが実現してしまったのであった.
この復元のためには,まず原形当時の図面入手に苦労し,施工段階でも,台枠と屋根を切断して新調して…….無闇に台枠や屋根を切断してしまうと車体全体がゆがんでしまうため,それを防ぐ手当てを施して……,と,苦労の多い作業だったという.しかもその作業現場は鉄道工場ではなく,博物館の館内.難工事であっただろうことが,容易に想像できる.
みごとに非貫通2枚窓,通称“ネコひげ”が蘇ったモハ5701.傍らで状況を説明するのは花上館長.
実物車輛はもう1輛……といっていいのかどうか,だが,かつて東武鉄道が多数保有していた貨車の中から,杉戸工場で事業用に使われていたトキ25000の“ショーティーモデル”.どんな姿であるかは,想像を逞しくしていただきたい.そして,どのようにして姿勢を保っているのかは,現地で観察していただきたい.
あとは,シミュレーターが,向谷 実さんのプロデュースで一新されたし,大パノラマレイアウトも,現在建設工事真っ盛りの“東京スカイツリー”が,1/600スケールで早くも登場するなど,面目を一新…….
シミュレーターも一新.10000系,50050系,そして“旧型車”としての8000系の3種.プロデュースは向谷 実さん.写真は,自ら運転を披露しつつ“攻略本がいるかもしれないほど楽しさ満点です”と語る向谷さん.
日光から浅草まで,関東平野を一望できる大パノラマレイアウト.話題の中心は,なんといっても“東京スカイツリー”だろう.
書き始めるときりがない.あと1ヵ月間,ワクワクドキドキしながら次号の発売を待つか,時間のやりくりをつけて東向島に駆けつけるか,どちらでも,それはみなさん次第である.