WALTHERSが2009年のカタログの表紙にニューヨークセントラル鉄道(NYC)の豪華列車20世紀特急(20th Century Limitede)1948年編成を据えた時はびっくりしました.えっ?ハイアワッサ号の次は20世紀特急をやるの?米国東部の鉄道が好きな私としては気になる新製品の登場です.
発売方法はハイアワッサ号と一緒で1年を掛けてゆっくりと色々な客車がリリースされます.たぶん最後はディーゼル機関車か展望車で締めるのではないでしょうか.4月号では,その第1陣として 4-4-2 Sleeper と 22 Roomette が登場しました.
20世紀特急はニューヨーク=シカゴを結ぶオール個室の豪華特急で,米国を代表する列車の一つです.グランド・セントラル駅を出てハドソン川を北上する20世紀特急.そして同じシカゴを目指し,ペン・ステーションを出て,フィラデルフィアからハリスバーグへ西進するペンシルヴァニア鉄道(PRR)のブロードウェイ・リミテッド(Broadway Limited).両社がどう思っていたかは知りませんが,市井では良きライバル,豪華特急の双璧という事になっていたようです.この分だと私の大好きなブロードウェイ・リミテッドが製品化される日も近いかもしれませんね.(笑)
さて,その第一弾が会社に届いてほどなくBS2では,ヒッチコックの『北北西に進路を取れ(North by Northwest)』が放映されました.この映画は久しぶりでしたので,面白くて最後まで見てしまいました.冒頭で人違いに遭い,殺人者と勘違いされ,追われながらシカゴを目指す主人公のソーンヒル(ケーリー・グラント).この時に20世紀特急に乗るわけですが,ちらっと見える出発ホームの赤絨毯に20世紀特急のロゴが入っているのが,なんとも格好良い!
しかし,ウォルサーズの製品化とBS2のこの映画のタイミングがあまりに良すぎませんか?もしかして,番組担当者は米国型ファンなのかな? 思わず勘ぐってしまいます.
その数日後,海外オークションサイトのeBayで模型を落札したら,出品者が発送先の Erie Limited (かつての弊社の海外ブランド名)という文字を見て,「私はいまでも御社の20世紀特急を大事に持っている.あれはとても良い製品だ.そんな製品を出した会社の人に私の模型が渡るのは嬉しいことだ」というメールをくれたのです.あれれ,またまた奇遇にも20世紀特急の話題が飛び出しました.
そうです,昔からのモデラーならご存じでしょうが,弊社もかつては20世紀特急を,当時としては“超”豪華仕様で製品化していたのです.基本編成が60数万とかフル編成が80数万とか,とにかくまだ学生だった私には目玉が出るほどの高額商品だったことを覚えています.
そうか,この人は大枚をはたいて弊社製品を購入し,今でも大事にしているんだなぁ.そのことをエリエイ社員である私に言いたかったんだ・・・ 少し感動した私は感謝の言葉を返信したのです.すると今度はこれだよ,と自分のコレクションを写真にとって添付ファイルで送ってきました.見てみるとまだまだ綺麗.本当に大事にしているんですね.(あ,下の写真は私が撮影したものですよ,念のため・・・)

弊社の豪華製品,20世紀特急は様々な試みが盛り込まれた意欲作
少し気になったので,会社にわずかに残るサンプルを引きずり出してみました.ウレタンはすっかりヘタっていましたが,幸いにも塗装面は傷めていません.フルインテリア,室内灯装備,テールサイン点燈,ニッカドバッテリーを使った集中給電,スプリングにより軸箱可動の台車など,豪華でありながら,かなりの意欲作です.松・謙氏の野心が触れた手のひらから伝わってくるようです.
なんとなくウォルサーズ製品と並べてみました.印刷だから可能な細い黒のピンストライプはなく,現在のプラ製品ほどの表現力はありません.でも,ラッカー塗装だから引き出せる金属特有の光沢,そして対照的なマットな黒い屋根,ロストとダイキャストを細かく組み合わせた立体感溢れる台車・・・ 存在感は現行製品にも一歩もひけをとっていません.
海の向こうで今でも弊社製品を大事にしている人がいる.もちろん私は20世紀特急の製作には携わっていませんが,何か様々な奇縁で結ばれた20世紀特急三昧の一週間でした.







