伊豆急行および東京急行電鉄は2017年3月1日,東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテルにおいて,同年7月より横浜-伊豆急下田間で運行開始を予定している伊豆観光列車,THE ROYAL EXPRESSの料理監修者&クルーズプラン報道向け発表会を開催した.
この列車のメインテーマは,“煌めく伊豆.美しさを感じる旅”.目的地に向かうためだけの乗車ではなく利用客ひとりひとりの記憶に残る感動体験ができ,かつ憧れの旅となるように,との思いが込められている.
使用車輛は既に月刊とれいん2017年1月号(No.505)の“いちぶんのいち情報室”で速報をお届けした通り,元アルファ・リゾート21の2100系最終増備車8輛編成をベースに,水戸岡鋭治氏の手によりプレミアムな観光列車に仕立て上げた車輛である.デザインコンセプトは,“美しい,煌めきの旅の演出”.ロイヤルブルーに金色のラインをアクセントに配した外観と,内装は先端技術から生まれる素材や職人技を融合させて車輛ごとに意匠を変えるなど,“水戸岡デザイン”ならではのテイストが随所に感じられる.1・2・7・8号車が客室,3号車がマルチスペース,4号車がキッチンカー(仮称)になる予定だ.編成定員は100名とされているが,ミニコンサートや結婚式,会食,展示会,商談といった多様なニーズに対応可能とするパーティション(可動壁)で仕切れるなど,これまでの観光列車の概念を打ち破る設計が特色だ.シンボルマークは“ROYAL”の“R”をモチーフに,水資源が豊富な伊豆半島のイメージから水滴をデザインし,その上に王冠を組み合わせて視認性の向上と品格を兼ね備えたものを目指したという.
会場では,まずクルーズプランの概要が公表された.2日間におよぶ行程の1日目は横浜駅出発後にTHE ROYAL EXPRESS車内で昼食を採り,伊豆急下田駅到着後は下田エリアの観光を経て,上質なおもてなしに定評がある6つの指定旅館・ホテルの貴賓室・スイートルームが用意され,ここで夕食と宿泊となる.2日目は宿泊先での朝食後に伊豆急下田駅よりTHE ROYAL EXPRESSで伊豆高原駅の観光一時下車.列車に戻って昼食タイムの後,伊東駅でスーパービュー踊り子号などで横浜駅帰着,ということである.
発表会後半では,車内で提供される料理・飲料の4人の各監修者が挨拶を行った.料理監修では世界で最も予約が取りにくいといわれるスペインの3つ星レストラン“エル・フジ”でフェラン・アドリア氏に従事し,素材をムース状にする“エスプーマ”による料理を日本に広めた山田チカラ氏(東京・南麻布にある同名レストランのオーナーシェフ),そして大地が育んだ食材にこだわり和を中心とした創作料理を得意とする河野美千代氏(大分市“方寸”)が担当.一方飲料監修では中米エル・サルドバル国立コーヒー研究所に留学経験を持つコーヒー栽培・精選のスペシャリスト川島良彰氏(株式会社ミカフェート代表),茶葉生産者で世界農業遺産に登録された環境保全にも貢献する“静岡の茶草場農法”を継承しながら日本茶のみならず農薬不使用栽培の紅茶や烏龍茶の生産に情熱を注ぐ松本浩毅氏(カネロク松本園)が,その任に就いている.ちなみに河野氏以外の3名は,いずれも静岡県出身ということで,伊豆の地域活性化も視野に入れた人選だ.
会場では試食料理の提供と撮影会も行われ,山田氏の洋食は焼豚をタルタルソースで和え,板状のタタミイワシに挟んで楽しむ料理やトマトをアレンジしたエスプーマメニューが,和食ではラッピングが美しい河野氏の創作おにぎりと漬け物が登場.飲料では川島氏のこだわりコーヒーと松本氏の薫製紅茶が振る舞われた.静岡県産の素材にこだわった逸品揃いで見た目も美しく,流れる車窓のエッセンスが加われば,より個性的な美味しさを楽しむことができるだろう.また車内では音楽演出もあるとのことで,プロデュース担当であるヴァイオリニストの大迫淳英氏による優雅で心地よい生演奏も試食中に披露された.
気になる価格は1名10万円(乗車のみの場合は2-3万円で設定あり)で,4月下旬より予約をスタートさせる予定だとか.
海も山もある風光明媚な伊豆の鉄道旅,その全く新しい楽しみ方が凝縮されたTHE ROYAL EXPRESSの運行開始は,今から期待が高まるばかりだ.

会場でふるまわれた和と洋の試食料理と飲料.素材は全て静岡県産を使用しているとのこと

THE ROYAL EXPRESSの完成イメージ.プレミアム感を随所に感じさせる水戸岡デザインのテイスト随所に見て取れる.今回のデザインコンセプトは“美しい,煌めきの旅の演出”だという
イラスト提供:東急電鉄/伊豆急行

会場に設置された大型スクリーンの様子

山田チカラ氏が腕をふるった2種のエスプーマ料理.左は焼豚を酸味の軟らかいタルタルソースで和えたもので,生のマッシュルームスライスがアクセントされている.板状のタタミイワシに挟んでいただく.まさに和洋中のコラボ作品だ.わさびで味付けしたというトマトも絶妙な仕上がりである

河野美千代氏の手による,おにぎりをメインとした和食メニュー.素材や味だけでなく見た目にもこだわったラッピングが美しい

河野氏の和食料理をアップで見る.右蒡の漬け物はきゅうりと牛蒡,左のおにぎりは写真の牛蒡のほか,めざしをトッピングしたものと2種類が用意された.おにぎりの具には甘辛く炊かれたシソの実の佃煮が仕込まれている

茶葉生産者で世界農業遺産に登録された“静岡の茶草場農法”は環境保全にも貢献しているようだ.これを継承した茶葉生産者,松本浩毅氏提供の薫製紅茶は,スモークが薫るこだわりの逸品である

コーヒー栽培・精選のスペシャリスト,川島良彰氏が監修した一杯.深い苦みの中に甘さと酸味がバランスよく共存する.「コーヒーは果物」という氏のコメントも印象深い

試食メニューを前に顔を揃えた料理・飲料監修のみなさん.画面左から河野氏,川島氏,松本氏,山田氏

車内の音楽演出担当のヴァイオリニスト,大迫淳英氏(画面右)による心地よい生演奏も披露された
この列車のメインテーマは,“煌めく伊豆.美しさを感じる旅”.目的地に向かうためだけの乗車ではなく利用客ひとりひとりの記憶に残る感動体験ができ,かつ憧れの旅となるように,との思いが込められている.
使用車輛は既に月刊とれいん2017年1月号(No.505)の“いちぶんのいち情報室”で速報をお届けした通り,元アルファ・リゾート21の2100系最終増備車8輛編成をベースに,水戸岡鋭治氏の手によりプレミアムな観光列車に仕立て上げた車輛である.デザインコンセプトは,“美しい,煌めきの旅の演出”.ロイヤルブルーに金色のラインをアクセントに配した外観と,内装は先端技術から生まれる素材や職人技を融合させて車輛ごとに意匠を変えるなど,“水戸岡デザイン”ならではのテイストが随所に感じられる.1・2・7・8号車が客室,3号車がマルチスペース,4号車がキッチンカー(仮称)になる予定だ.編成定員は100名とされているが,ミニコンサートや結婚式,会食,展示会,商談といった多様なニーズに対応可能とするパーティション(可動壁)で仕切れるなど,これまでの観光列車の概念を打ち破る設計が特色だ.シンボルマークは“ROYAL”の“R”をモチーフに,水資源が豊富な伊豆半島のイメージから水滴をデザインし,その上に王冠を組み合わせて視認性の向上と品格を兼ね備えたものを目指したという.
会場では,まずクルーズプランの概要が公表された.2日間におよぶ行程の1日目は横浜駅出発後にTHE ROYAL EXPRESS車内で昼食を採り,伊豆急下田駅到着後は下田エリアの観光を経て,上質なおもてなしに定評がある6つの指定旅館・ホテルの貴賓室・スイートルームが用意され,ここで夕食と宿泊となる.2日目は宿泊先での朝食後に伊豆急下田駅よりTHE ROYAL EXPRESSで伊豆高原駅の観光一時下車.列車に戻って昼食タイムの後,伊東駅でスーパービュー踊り子号などで横浜駅帰着,ということである.
発表会後半では,車内で提供される料理・飲料の4人の各監修者が挨拶を行った.料理監修では世界で最も予約が取りにくいといわれるスペインの3つ星レストラン“エル・フジ”でフェラン・アドリア氏に従事し,素材をムース状にする“エスプーマ”による料理を日本に広めた山田チカラ氏(東京・南麻布にある同名レストランのオーナーシェフ),そして大地が育んだ食材にこだわり和を中心とした創作料理を得意とする河野美千代氏(大分市“方寸”)が担当.一方飲料監修では中米エル・サルドバル国立コーヒー研究所に留学経験を持つコーヒー栽培・精選のスペシャリスト川島良彰氏(株式会社ミカフェート代表),茶葉生産者で世界農業遺産に登録された環境保全にも貢献する“静岡の茶草場農法”を継承しながら日本茶のみならず農薬不使用栽培の紅茶や烏龍茶の生産に情熱を注ぐ松本浩毅氏(カネロク松本園)が,その任に就いている.ちなみに河野氏以外の3名は,いずれも静岡県出身ということで,伊豆の地域活性化も視野に入れた人選だ.
会場では試食料理の提供と撮影会も行われ,山田氏の洋食は焼豚をタルタルソースで和え,板状のタタミイワシに挟んで楽しむ料理やトマトをアレンジしたエスプーマメニューが,和食ではラッピングが美しい河野氏の創作おにぎりと漬け物が登場.飲料では川島氏のこだわりコーヒーと松本氏の薫製紅茶が振る舞われた.静岡県産の素材にこだわった逸品揃いで見た目も美しく,流れる車窓のエッセンスが加われば,より個性的な美味しさを楽しむことができるだろう.また車内では音楽演出もあるとのことで,プロデュース担当であるヴァイオリニストの大迫淳英氏による優雅で心地よい生演奏も試食中に披露された.
気になる価格は1名10万円(乗車のみの場合は2-3万円で設定あり)で,4月下旬より予約をスタートさせる予定だとか.
海も山もある風光明媚な伊豆の鉄道旅,その全く新しい楽しみ方が凝縮されたTHE ROYAL EXPRESSの運行開始は,今から期待が高まるばかりだ.

会場でふるまわれた和と洋の試食料理と飲料.素材は全て静岡県産を使用しているとのこと

THE ROYAL EXPRESSの完成イメージ.プレミアム感を随所に感じさせる水戸岡デザインのテイスト随所に見て取れる.今回のデザインコンセプトは“美しい,煌めきの旅の演出”だという
イラスト提供:東急電鉄/伊豆急行

会場に設置された大型スクリーンの様子

山田チカラ氏が腕をふるった2種のエスプーマ料理.左は焼豚を酸味の軟らかいタルタルソースで和えたもので,生のマッシュルームスライスがアクセントされている.板状のタタミイワシに挟んでいただく.まさに和洋中のコラボ作品だ.わさびで味付けしたというトマトも絶妙な仕上がりである

河野美千代氏の手による,おにぎりをメインとした和食メニュー.素材や味だけでなく見た目にもこだわったラッピングが美しい

河野氏の和食料理をアップで見る.右蒡の漬け物はきゅうりと牛蒡,左のおにぎりは写真の牛蒡のほか,めざしをトッピングしたものと2種類が用意された.おにぎりの具には甘辛く炊かれたシソの実の佃煮が仕込まれている

茶葉生産者で世界農業遺産に登録された“静岡の茶草場農法”は環境保全にも貢献しているようだ.これを継承した茶葉生産者,松本浩毅氏提供の薫製紅茶は,スモークが薫るこだわりの逸品である

コーヒー栽培・精選のスペシャリスト,川島良彰氏が監修した一杯.深い苦みの中に甘さと酸味がバランスよく共存する.「コーヒーは果物」という氏のコメントも印象深い

試食メニューを前に顔を揃えた料理・飲料監修のみなさん.画面左から河野氏,川島氏,松本氏,山田氏

車内の音楽演出担当のヴァイオリニスト,大迫淳英氏(画面右)による心地よい生演奏も披露された