横浜地下鉄ブルーラインに3000V形という新形式車が登場した.現車は昨年12月に豊川の日本車両で落成し,横浜市交通局上永谷車両基地に搬入済みだったから,いつお披露目されるのか,楽しみにしていたものである.
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湘南台方から見た3000V形編成.手前から3611(TC1)+3612(M2)+3613(M3)+3614(M4)+3615(M5)+3616(TC6)と続く.


基本的な車体寸法は既存の3000A,3000N,3000R,3000Sと同じで車体幅は2,760mm,側扉は片側3枚ずつで扉幅は1,500mmである.
 一方,今回から採り入れられた新しいこといえば,主制御装置にハイブリッドSiC(シリコンカーバイド)素子を使ったこと,室内燈や前・尾燈などの照明をLED化したこと,室内側扉上に液晶の情報表示装置を設置したこと,全ての両車端にガラス製の貫通扉を設置したこと,腰掛表地の色を従来のオレンジ系からブルー系に変更したこと,ポリカーボネイト製の袖仕切りを設けたこと…….
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3612の客室全景.側扉上の液晶モニターは17.5インチワイドタイプで,列車運転情報と広告を表示する.腰掛袖仕切りはポリカーボネイト製.ガラス製貫通扉には1輛ごとに異なる横浜の観光名所が描かれている.

貫通扉の絵柄は湘南台側から,みなとみらい,赤レンガ,三塔,山下公園,ベイブリッジ.室内燈はコイト電工製の間接照明・直接照明ハイブリッドタイプ.
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運転室.右手操作式のL形ワンハンドル.これまでは片手操作式のTタイプだったのが変更になっている.メーターナセル上部にはホーム状況画像表示モニターを設置している.


主制御装置はM2とM4,補助電源装置はM3とM5,電動空気圧縮機はTc1とTc6に取り付けられている.いずれも三菱電機製.湘南台に向かって左側床下に取り付けられている.主電動機は定格出力140kWで形式はMB-5170-A,電動空気圧縮機はC2000.補助電源装置と電動空気圧縮機は湘南台に向かって左側に取り付け.

そして台車は新日鐵住金製のボルスタレスだが,中間電動車と両先頭車とでは大きく外観が異なっている.軸箱支持装置はモノリンク式で共通だが,電動台車では一般的な外観であるのに対して,付随台車では軸箱の両側にコイルバネを設けている.
 これは,両先頭車の連結面寄りに“PQモニタリング装置”を装備するための方策.“PQモニタリング装置”とは輪重(P),横圧(Q)を連続的に測定するためのシステムで,東京地下鉄などで既に実用化されているもの.ちなみにこの装置は1線区に1セットあればよいとされており,従って第2編成以降は通常構造の台車に変更されると思われる.
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電動台車SS162A.極めてあっさりした外観のボルスタレス式.軸箱支持装置はモノリンク.

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先頭車の付随台車SS182.側枠は鋼板4面合わせ構造で,軸箱の両脇にはコイルバネも配されている.写真は排障器の付いた先頭台車の集電シュー付き側.

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“PQモニタリング装置”は,中間寄り台車に装備されている.連結面側1軸は横圧を測定するため特殊な平面タイプ輪心の車輪が使われている.輪重測定装置は4輪全ての軸箱上部に設置されている.これらの装置のために軸箱支持のためのリンクは軸箱下部に取り付けられている.


営業運転開始は4月9日の予定.今後,今や最古参…平成4/1992年の登場だから25年!……となった3000A形を順次置き替えて行くことになっている.楽しみなことである.

※2017.03.24:ハンドル形状記述訂正