今日4月20日の午後,箱根登山鉄道入生田(いりうだ)検車区で,2輛編成のアレグラ3100形が披露された.
 もととなった3000形は平成26/2014年4月に落成し,その年の11月から営業運転をはじめた箱根登山鉄道のエース.本誌では平成26/2014年12月号でMODELERS FILEの題材とした.このブログでは同年11月27日付で取材余話をご紹介している
 2輛製造され,在来車との併結で3輛編成を組むことを想定した電車だったのだが,あまりの好評ぶりに,同形式車2輛を組んでの運転も頻繁に行なわれてきた.“ならば”というわけでもないだろうが,昨年12月5日に2輛編成の“アレグラ”製造の計画が公表された.そして川崎重工で3100形1本が製造され,4月8日に甲種輸送列車で兵庫から松田経由で到着した.
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強羅方がクモハ3200形,小田原方がクモハ3100形である.パンタグラフはいずれも小田原方に搭載している.広くない入生田の車庫では,なかなか2輛全体をワンカットにおさめることは難しく,まずは車庫から顔をだした3200形を…….

基本的には3000形を片運転台にしたということで,主制御装置やパンタグラフ,補助電源装置,台車…いずれも“ほぼ”同形式.というのも,例えば総合車両製作所製の台車は,外観こそ同形であるものの,正式の形式名は3000形のTS330Bに対してTS330Cとなった.その他にも細かい変更点はあるかもしれない.それらは,これからの観察によって,追い追い判明してゆくことになるだろう.
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続いてはクモハ3100形を車庫内で.そういえばこの車庫.確か3線ではなかったかと思ったら,検修能力向上と,建物自身の耐震性向上などを目的として,大改良工事が実施されたとのこと.


これまでは車庫内への留置可能輛数が3+2+2の7輛だったのに対して,3+3+2+2の10輛に増えている.クレーンは2.5トンを3基,7.5トンと2.8トン,そして5トンクレーンが各1基備えられている.事務所や宿直室,ロッカー室や浴室なども建屋内に設けられて労働環境も大幅に向上した.

さて話題を車輛に戻そう.
 3000形と大きく異なっているのは,当然のことながら連結面.貫通路つきの切妻だが,幌は設けられていない.急曲線の多いこの路線では,日常的に車輛間を往来することは,無理.ということで貫通路はあくまでも非常用.
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連結面の客室.貫通扉も妻窓も,3000形では運転室だった部分の側窓もガラス面積が極めて大きく,新たな視界が開けそう

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連結面の外観.切妻とひとことでいってしまえばそれまでだが,車両限界を突破しないための面取りもあり,屋根の形も含めてちょっとなんだか愛嬌のある“顔”が出来上がった.


デザイン監修は3000形と同じく,岡部憲明アーキテクチャーネットワーク.さすがに全く不自然さを感じさせない仕上がり……というか,もしかしたら,最初からこのような展開も念頭に置いて3000形がデザインされていた…の,か,な?

営業運転開始は5月の予定.単独2輛と,1輛増結の3輛での運転が予定されている.当然ながら,3000形とのペアを,大いに期待したいところである.