東急電鉄がこの春にその計画を発表した田園都市線用2020系電車.
 本誌11月号“甲種・特大運行情報”でもお伝えした通り,28日に製造所である総合車両製作所最寄りの逗子を出発し,八王子で6輛と4輛に分割し,そのうち6輛が昨日の昼,残り4輛が今日の昼に長津田へ到着した.
 それに合わせて,東急電鉄では報道関係者向けのお披露目を実施した.
 そのお披露目は,JR東日本と東急電鉄との間の授受線での作業風景撮影という,異例のお膳立てでスタートした.
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八王子から12時29分に到着した2020系の渋谷方4輛,約10分の後に授受線へと姿を見せた.
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牽引(推進)はJR貨物の新鶴見機関区配置のDE10 1666.昭和49/1974年の日本車輌製.その横を東京地下鉄の08系が駆け抜けて行く.

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検車区からのお出迎えは,“総合検測車トーク アイ”ことデヤ7500とデヤ7550.今度は,長らく田園都市線の輸送を担ってきた8500系が姿を見せた.


作業待ちの間に,台車形式がTS-1041(電動車)とTS-1402(付随車)であること,主制御装置は三菱電機のMP-144-15V317であること.情報管理システムがJR東日本のE235系などに採用されている最新のINTEROSであることなどが観察できた.

13時49分,東急の長津田駅方面に引き上げ,そのまま折り返して検車区へと移動.取材陣もそれを追い掛けて検車区へ.

待っていたのは,昨日のうちに到着していた中央林間方6輛.“まだ電気を入れることはできないのですが,暫定的に室内をお目にかけます”.とのことだったのだが……
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ちゃんと室内燈が点っていた.驚いたのは床.通勤電車で見慣れた樹脂材ではなく,なんと木製.腰掛は5050系4000番代第10編成“Sibuya Hikarie”や5177編成と同じハイバックタイプ.


妻や荷物棚上部の幕板部にはE235系とおなじようにたくさん…中間車は36面…の液晶画面が並ぶ.荷物棚やスタンションポールなども同様だが,袖仕切りの形は異なる.色遣いが全く違っているので,“同じだなぁ”という感じはしない.

運転室も見せていただくことができた.
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マスコン・ブレーキハンドルは東急標準のT字形両手操作タイプ.スピードメーターは液晶画面に指針が表示される.運転席は従来の東急電車より一段高くなっている.

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そして外観.側窓部分にうっすらと継目らしき筋が見えるほかはスムーズな側面.幕板にはラインカラーである緑のストライプ.その上は屋根とともに白で塗装されている.運転室周辺は幕板からおりてきたストライプとともに白塗装.前照燈は新タイプのLEDが6燈.一種独特の造形に目を惹かれる.



この電車のデザインは,商業施設などのデザインを幅広く手掛けている丹青社の監修だという.これまでとは異次元の世界でもセンスが発揮されたことが.この顔の表情を一目見ただけで確かめることができた.
 車号は渋谷方から2121,2221,2321,2421,2521,2621,2721,2821,2921,2021.パンタグラフは2321と2921に2基ずつ,2621に1基搭載している.

今日の観察で判明したのはここまで.ニュースリリースには低騒音型の主電動機や駆動装置を採用していること.制御装置には次世代の半導体素子を採用していることが記されている.次世代半導体素子というのはシリコンカーバイド(SiC)のことだろうか.
 今年度は3編成30輛を製造し,平成30/2018年春から営業運転開始予定とのこと.

今回もまた,詳しい取材ができる日が待ち遠しい電車の紹介であった.